動きを捉えるときは、乱雑な背景よりすっきりしたシンプルな背景の方がよりペットの動きが明確に見える。
そのためには被写体と背景が離れている方が良いし、その背景もきれいにぼかした方が良い。
次の写真のような場合、背景が空なのでぼかすことに気を配る必要がない。F値を絞り込んでピントがあう位置を広くとることができるので、近付いてくるペット撮影のピント合わせ練習には最適だろう。
|
撮影データ ISO1250 f10 1/1600 0ev 200mm |
背景が空以外のときは工夫が必要だ。
まず、被写体と背景が離れているところ、すなわち広い場所で撮影することが重要だ。更に背景をぼかすには、絞り値、つまりF値は小さい数値に設定して撮った方が良いのだ。 F値が小さいほど、つまり絞りを開けるほど被写体深度が浅くなり、ピントが合う範囲が狭くなる。その結果、背景はよりきれいにぼけるのである。
|
撮影データ ISO640 f5 1/1000 0ev 180mm |
|
撮影データ ISO200 f3.2 1/4000 -0.33ev 200mm |
この際、ピント合わせが最も重要で難しい。いくら動きが激しくてもピント合わせは正確にしなければならない。ブレてなくてもピントが合っていなくては、それは失敗作なのである。
F値が小さいほど背景をぼかした写真が撮れるが、被写界深度が浅くなるのでピント合わせがシビアで難しくなるのだ。
とはいえ、練習を積めばf2.8でもピントは合わせられるようになるだろう。
|
撮影データ ISO400 f3.2 1/2500 0ev 190mm |
|
撮影データ ISO200 f2.8 1/5000 0ev 200mm |
|
撮影データ ISO200 f2.8 1/3200 0ev 125mm |
F2.8では被写体深度が浅いので全身にピントを合わせることは不可能だ。
そこで、確実に目にピントを合わせなければならない。
目にピントが合っていないと、動物は生き生きとして見えないのである。
そうするにはいわゆるオートフォーカスの機構を使う方法もある。
私が愛用しているニコンの場合、まずはフォーカスモードを「S」(シングルAFサーボ)ではなく「C」(コンテニュアスAFサーボ)にして動きを追う。シングルAFサーボはシャッターボタンを半押しして一度ピントを合わせると、半押ししている間、ピントを固定しておくことができるモードで、コンテニュアスAFサーボはシャッターボタンを半押ししている間、ピント合わせを続けるモードだ。コンテニュアスAFサーボに設定することによってフォーカスロック(ピントを固定すること)は作動せずに、シャッターを切るまでペットの動きに合わせてピントを合わせ続けられるのだ。(キヤノンでは「AIサーボAF」と呼ばれている)
またAFエリアモードだが、私は顔、特に目にピントを合わせたいのでシングルポイントAFモード(複数のフォーカスポイントのうち、撮影者が選択したフォーカスポイントだけを使ってピントを合わせるモード)を使うがダイナミックAFモード(最初はシングルポイントAFモードと同じで、被写体が一時的にフォーカスポイントからはずれたとき、ほかのフォーカスポイントが引き続き被写体にピントを合わせるモード)でもいいと思う。
しかしF2.8などのような明るいf値を使うと被写体深度が非常に浅いので、最初のうちは目に正確にピントを合わせるのは難しいと思う。
結論から言えば「習うより慣れろ」という風に、飽くなくペットを撮り続けることが上達への道かも知れない。
この小さいペットの動きが追えれば子供だろうが電車だろうが動く被写体が簡単に撮れるようになると思う。
次回は高速で走るイヌと連写の話をしよう。
(注)
私の場合、撮影する被写体の子犬は2ヶ月前後のものが多い。周囲に人がいないことを確かめてから放すが、子犬といえども大型のイヌや成犬はドッグラン以外のところではリードを離してはいけないだろう。
|