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デジカメPopeye
第10回 ヒストグラム入門
 

おなじみのカアさん

デジカメ画像掲示板「電脳光画部」、RIOさんの作品
(No.6917)
あぁ、春も近いのかな・・・

 
(2004.3.10)
 

ヒストグラムってなに?
いつもスタジオグラィックスをご愛読頂きまして、誠にありがとうございます。今日は「ヒストグラム」についての話をしようと思うんです。と、いうのもレタッチ講座や撮影術ではよく「ヒストグラム」ってのが出てくるんですが、読者の方の中には「ヒストグラムっていうのはどうも苦手だ。だいたい一体、なんだってェーんだヒスグラムってのは、畜生めぃ」という江戸っ子もいらっしゃることでしょう。そこで、少しばかりお時間を頂きまして、ヒストグラム入門を攻略してしまおうというワケです。

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上は超露出アンダーな画像のヒストグラム。左に偏っているというよりは、左にしかデータがありません。中央は明るめ、下は暗めの画像。下より中央の画像の方がレタッチで救いがたい、ある理由があります。

ヒストグラム自体は一般的な用語で「分布を調べる度数分布図のこと」です。で、デジタル画像でヒストグラムというと、主に画像のデータ分布を表わしたグラフをさします。ここでいう画像のデータ分布とはどういうことかと言うと、横軸に明るさ、縦軸に明るさごとの画素数を積み上げ、「画像の明暗の傾向を山なりのグラフで示したもの」です。デジタル画像は細かい点々で表わされ、明るさや色は内部で数値化されていることはご存じかと思いますが、暗い点は左に、明るい点を右に積み上げていったものがヒストグラムです。例えば、一般的なデジタル画像であるRGBの8ビットなら、横軸を0〜255(256階調)として、真っ黒は0、純白は255、中間はその間の数値として、画像の中の点を横軸の該当する場所に積み上げていくわけです。こうして画像のデータ分布がグラフ化されるわけです。したがって、ヒストグラムを見ると山が左に行くほど暗く、右に行くほど明るい傾向の画像である、ということがなんとなく解るわけです。

ヒストグラムでわかること
今、解説したように、ヒストグラムは画像の分布を示すグラフですから、傾向を把握するためのものに過ぎません。ですから、ヒストグラムのカタチで写真の善し悪しは決まりません。しかし、ヒストグラムを理解することで、撮影時の失敗を防ぎ、レタッチの熟練度を上げることができます。その理由を具体的に説明します。

人によってヒストグラムの活用方法は様々ですが、2〜3の事例を説明することによって、より理解が深まると思います。全体の傾向として、ヒストグラムは横軸全般にデータが散在していた方が、明るいところから暗いところまで明暗の階調が豊かでバランスが取れた画像ということができます(それが良い写真というわけではありませんよ、くれぐれも)。しかし、いろいろな構図や明るさの写真があっていいように、ヒストグラムも様々あっていいのです。写真いっぱいに青空が拡がるような構図では、ヒストグラムの山は右に偏りますし、黒っぽい壁をバックにして黒っぽい服を着た人を撮影すれば、左に偏るのは当然のことですよね。したがって、まず注意をしたいのは右と左のキワ(端っこ)です。すなわち、「0」と「255」の近辺です。
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白飛びを防ぐ
デジタル一眼レフカメラでは通常、撮影した画像の再生時にヒストグラムが表示されます。ユーザーが特に注意したいのもこのキワです。小さな液晶画面では撮影した画像の細かな階調まで把握するのは困難ですので、ヒストグラムのキワを見て「白飛び」と「黒つぶれ」がないか確認するのです。

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露出オーバー気味な画像。注意したいポイントは右のキワです。ここが白飛びを表しています(下)。
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「白飛び」とは本来、少なからず階調があるはずの部分がすべて白(255、または250〜255近辺)で表現されてしまった状態のことです。白ベタとも呼びます。階調が残っていれば、レタッチで調整して綺麗な画像に後で修正できますが、すべて255になってしまっていては、どんなレタッチのプロでも調整のしようがありません。ベタはベタです。その逆が「黒つぶれ」(黒下手・・いや黒ベタ)です。

というわけで、右の写真を見て下さい。
被写体の正面から当たる順光ではないため、やや露出オーバーめに撮影した画像です。冬の強い日差しが横から照らしているため、被写体の左側に白飛びらしき状態が発生しています。

これをヒストグラムで見るとこうなります。
全体に山が分布して一見して良い感じに見えますが、注意するポイントは最も明るいキワ、右端です。ここの数値が極端に多く、この最高値を縦軸にしているため、他の山が低く見えます。つまり、階調を表現できない「白飛び」(255)が発生している可能性が強いということになります。次に、この白飛びが画像のどの部分で発生しているかを推測することも重要です。例えば、バックの空が白飛びしているのは許容範囲というカメラマンもいるでしょう。推測した結果、おそらく被写体の顔や左側の部分が白飛びしているから、露出をひとつアンダーにして撮ろう、ということにもなるわけです。

プロカメラマンやハイアマチュアが利用するデジタル一眼レフカメラでは、液晶モニタにヒストグラムを表示する際に、白飛びしている危険性がある画像の部分を反転して表示してくれる機種もあります。この機能を「白飛び警告」と呼びます。小さな液晶ではつかみづらい細かい階調の具合をヒストグラムによって把握することができるわけです。

ヒストグラムを意識することがステップアップにつながる

なになに、「私のカメラにはヒストグラムの表示機能がない!!」ですって。でもヒストグラムのしくみを知識として持つことで、白飛びの構造は解ったでしょう? また、レタッチにフォトショップなどを使っている人は、ヒストグラムの山がどのように表示される画像を撮っておいた方がレタッチしやすいか、また、どのような山に調整すれば綺麗な画像になるかを意識しておくことで、レベルアップになるのではないでしょうか。また、レタッチで白飛びを起こしてしまいがちな人にとっては、ヒストグラムの理解はとても役に立ちますよ。
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ヒストグラムから解る情報は他にもあります。続きはまた次回に。
お楽しみに。
>> 第11回 レタッチとヒストグラム

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