コンテンツのトップページへ コンパクトデジタルカメラで撮る水中写真
オヤジの夏休み 奇跡の海
第6回 オヤジの夏休み 奇跡の海 2011 その1.
    石垣島ダイビング 川平石崎、マンタが踊る海
 
オヤジの夏休み2011
 
■ 20年ぶりの石垣島へ
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ
 

「来年の夏は受験だから、きっと私はどこにも行けないでしょ?
だから今年の夏はどこかにダイビングに連れて行って〜!!」

娘がしつこく言うので「来年になったって勉強なぞしないクセに」と、こっそりと思いながらも夏休みにダイビング旅行を検討することにしました。

中学2年生の娘がひょんなきっかけでスクーバダイビングのライセンスを取得したのは3年前、まだ小学生でした。その様子は「オヤジの夏休み2008 〜神子元島から沖縄の美ら海へ〜」を参照してください。

ダイビング旅行はいいですが、うちには愛犬ちゅらがいるので家族全員での旅行はちょっと無理。弟はまだダイビングのライセンスがとれない年齢だし、ということで、カミさんと弟の了解を得て、娘とふたりでダイビング旅行に行くことになりました。

Click で拡大
石垣島川平地区の底地ビーチの風景
マンタポイントまではここから約5分
Click で拡大
石垣の海の特長のひとつは珊瑚礁
みごとな群生がいくつもあります
Click で拡大
一面サンゴの海をダイバー達が行く
世界に誇れる海です
Click で拡大
透明度の良いきれいな海は、娘もリラックスしてダイビング。巨大珊瑚の前でピース。フィンや器材で珊瑚を傷つけないように注意注意…
Click で拡大
Click で拡大

キンギョハナダイやカラフルな熱帯魚がたくさん

Click で拡大
マンタポイントに向かう私たち親娘
ダイビングサービスが撮影

そうはいっても既に7月の後半。

娘が行ける日程を見ると早割も終わってます。
「高いなぁ」と眉間にしわを寄せつつも、沖縄まで行くのなら、いっそ久しぶりに石垣島まで足を伸ばすか、と決めました。

石垣島と言えば、いまなお残る見事な珊瑚礁の群生が有名です。また、ダイバーの間ではマンタと遭遇できるポイントとしても知られています。

ケラマ諸島にも珊瑚礁やマンタのポイントがありますが、珊瑚礁は年々痛々しくなっています。また、マンタポイントはケラマより石垣の方が遭遇の確率がぐーんと高いのが魅力です。

石垣の想い出

石垣島への旅行が決まって早速、いいことがありました。20年ぶりに古い知人と電話で話す機会ができたからです。

その知人は20年前にダイビングを通じて知り合った石垣島出身の人で、カミさんとも共通の友人です。今では畑を経営していて、世界一おいしいパイナップル(だと僕は思っています)を作っています。

沖縄のパイナップルはおいしいことで有名ですが、石垣は本島より気温が2〜3度高いため、独特の味わいがあって更においしいのです。収穫の時期も本島より1〜2ヶ月早いので8月は既に終期で甘味が若干落ちているのが残念ではありますが、石垣の夏にはぜひ楽しみたいものです。

知人と最後にあったのはもう20数年前、知人が運転する軽トラックで灯台にホタルを見に行った夜です。僕は荷台にのっかって満点の星空を眺めながら、ビュンビュン落ちる流れ星を数えていました。その頃の石垣島は海に近い山道を行くと道路にたくさんの巨大なヤシガニがゾロゾロと歩いていました。その大きさと迫力、太い木の枝をバキリと折ってしまうパワーに驚いたものでした。

マンタ、それは最大級の魚類

さて、ダイビングとマンタの話に戻りましょう。

マンタは美ら海水族館をはじめ、いろいろな水族館で飼育展示されていますのでご存じの読者も多いと思いますが、最も大きなエイの種類です。プランクトンやオキアミなどを主食としていて、毒針も持っていないので危険はありません。

ところでマンタは今まで「オニイトマキエイ」と訳されていましたが、現在ではそれが改められ、マンタは2種類に分類されるようになりました。

ひとつが大型の「オニイトマキエイ」、もうひとつが「ナンヨウマンタ」です。

このふたつは別の種類の魚として認知されるようになり、よくいうマンタは一般にナンヨウマンタが多いため、一部の水族館でもネームプレートの貼り替えが行われているようです。

その雄大で癒し系の容姿から「オニ」はないなぁ、と個人的には常々思っていたので名前がナンヨウマンタになってかわいくなったな、と思います。まぁ、マンタはマンタでいい気もしますけれどね(笑)。

着いたその日にマンタポイントへ

石垣では沖縄本島と同様に、午前中に石垣空港に到着すれば、到着日ダイビングのプランを提供しているダイビングサービスやツアーが多くあります。 今回利用したシーウォーターダイビングサービスさんもそのひとつ。

僕と娘は今回、朝6時にANA便で羽田を発ち、那覇を経由して10時40分に石垣に入りました。
ダイビングサービスに石垣空港まで送迎に来てもらい、そのまま送迎車に乗り込んで川平(かびら)へ。同日のお昼過ぎには器材を担いで、川平石崎のマンタポイントのボートの上にいました。つまり、到着して1本目からマンタポイントへGO、という状況で 長い日程がとれないマンタ狙いの人にはうれしいサービスです。

マンタポイントは島の北側にあり、8月は南風で安定していることが多いので海が静かなことが多いようです。天気は快晴、海も凪ぎ。僕は20年ぶり、娘は初めてのマンタポイントに胸が躍ります。

実は石垣のマンタ最盛期は9〜10月で、出現率が高くて数も多いようです。ただ、10月頃からは北風が吹き始めるため、風が強いとマンタポイントに入ることが難しくなります。なにより娘の学校の休みに合わせると8月しか行けないので、マンタには単体、2〜3枚と会えればラッキーだと考えていました。もちろん遭遇できないことも覚悟はしていました。

ところが奇跡の海は僕たち親子を大歓迎で迎えてくれました。

マンタとの遭遇

娘も久しぶりながら上手にダイビングをこなしていました。ボートから海に飛び込み、潜行してマンタの根に向かうと透明度が良いので遠くからでも巨大なマンタが根を上をホバーリングしている様子がすぐ見えました。その大きさは圧倒的な迫力です。

Click で拡大
大きな巨体がバサリバサリと羽ばたく様子は遠くからでも確認できます

マンタは小魚に身体をクリーニング(掃除)してもらうために、ここにやってくると言われています。そのため、マンタはエラとクチと大きな翼を拡げて、ホバーリングで根の上にとまっていたり、根をゆっくりと回ったりします。

Click で拡大
Click で拡大
根に太陽光がキラキラと挿し込んで明るいうえに、ゆっくりとホバーリングしているのでシャッターチャンスは多くあります。

水深が浅いので太陽の光を浴びて、マンタも根もキラキラと輝いています。しかも、潜行してから浮上するまでの間ずっと、複数のマンタがその根の上を回っていたり、出て行ってもすぐに戻ってきたりと、その姿を常に見せてくれました。広い海の中で、悠然と泳ぐこの不思議な姿をした複数のマンタと出会えた幸運を噛みしめました。

Click で拡大
Click で拡大
マンタが複数になると迫力はまさに圧巻です。ひとつの根を囲んでゆっくりと回ったり、並んで泳いだり、ダイバーのエアに驚いて翻ったり…
Click で拡大
マンタたちが上空をかすめていきました
Click で拡大
マンタほどシルエットが似合う被写体も滅多にいませんね…

圧巻だったのは二日目。

一日目と同様、潜行すると既に複数のマンタが根を回っていたのですが、そこに別のグループ(大きな姉御マンタにオスマンタがぞろぞろとついてくる)が加わり、本当にダンスのように根をグルグルと回ったり、パレードのように大周りで行進したり…。グループがいくつもやってきて合わさり、一度に8〜9枚のマンタがまわりを、上空を乱舞する様子に出会うことができ、私達にとってはまさに奇跡のような時間でした。

Click で拡大
たくさんのマンタが根の周りに集まってきたため、オリンパスのコンパクトデジカメ「XZ-1」の水中ハウジングに純正のワイドレンズを付けて広い構図を狙ってみました。
Click で拡大
根の周りをたくさんのマンタが踊るようにまわります…ISO400を選択してしまい、極端にノイズを拾ってしまったことが反省点です。コンパクトデジカメでは比較的大きい撮像素子の「XZ-1」であっても、ISO設定は200が実用限界でしょう。
Click で拡大
ワイドレンズを使うと視野が広くて気持ちの良い写真が撮れます。一方で被写体が小さくなるので、群れを格好良く表現するにはメインの被写体を決めてそれに近づくことが大切です。

川平石崎のマンタポイントは外洋に面した隠れ根ですが、海は全く穏やかでほとんど流れがなく、透明度も良くて、水深も浅く、娘にとっても安心して潜れるポイントでした。

同じポイントをシュノーケリングで見るツアーもあって、ダイバーでなくても自然に泳ぐマンタの乱舞を上から見るチャンスがあります。
ただ、マンタは僕たちダイバーのすぐそば、手を伸ばせば触れられるようなところを何度も通るので、同じ船に乗っていたシュノーケリングツアーの人は上からそんな光景を見ながらダイバーが羨ましかったと言っていました。(でもダイバーは上からのマンタが見られないんですよ…)

あ、水中写真の話を忘れていました(笑)。
撮影の話もしなくちゃいけませんね。

今回、僕はオリンパスのコンパクトデジタルカメラ「XZ-1」を純正の水中ハウジングに入れて撮りました。また純正のワイドレンズを水中で装着して撮影もしました。娘には私が昨年まで使っていたソニーのコンパクトデジタルカメラ「Cyber-shot DSC-W300」を持たせました。

透明度は良いし、流れもないし、マンタの方から触れる距離まで近寄ってくるし、さらには被写体がでかくてゆっくりなのでピントもめったに外れない…ということで水中写真にもやさしい海でした。
これじゃあ、水中写真の撮り方の記事にはなりませんね(汗;)。

Click で拡大
マンタの編隊飛行は本当に格好いいですね。ワイドレンズ使用。
Click で拡大
ワイドレンズならではの構図の一枚。マンタの大きさを感じることができます。個人的には気に入っている写真です。

僕は神子元島でもマンタを見たことがあり、別のポイントでもマンタを何度か見ましたが、突然すれ違ったり、泳ぎ去っていくマンタは早くてスーッといなくなってしまうため撮影も難しいのですが、 マンタが根について回ってくれるというのがやっぱりココの大きな特長です。

ダイビング時間中ずっと見ていられるというのは素晴らしい体験ですし、シャッターチャンスもそれだけ多いのでいろいろな写真を撮ることができます。実際、中学二年の娘が撮った写真の中には私が撮った写真より良いものもあったり…。また、マンタとのツーショット写真も夢ではありませんよ。

ところでコンパクトデジカメに動画の機能が付き、XZ-1などはハイビジョン動画撮影ができるので、わざわざ高価なビデオカメラ用ハウジングを買わなくても、水中動画が気軽に撮れるようになりました。これはとても素晴らしいことですね。さっそく動画 (SD画質で編集) もご覧ください。(ご注意 : 再生すると音楽が流れます)
720pハイビジョン編集の動画(Premire Elementsで編集版)も追加しました。 > こちら

更に、おまけで娘が撮った写真と、ちょっとお遊びの写真も掲載しておきますね。

Click で拡大 Click で拡大
娘が撮影したマンタ (Cyber-shot DSC-W300) 娘が撮影したマンタ (DSC-W300)
Click で拡大 マンタと娘のツーショット写真(拡大なし)
シュノーケリングツアーのゲストのみなさんに
ご挨拶に行くマンタ達 娘が撮影(DSC-W300)
マンタとツーショット ストロボ付き
ダイビングサービス撮影
マンタと娘のツーショット写真(拡大なし) マンタとオヤジのツーショット写真(拡大なし)
マンタとツーショット ストロボなし
僕が撮影
マンタとオヤジのツーショット
娘が撮影

ところで、知人とはダイビングが終わってから一緒に食事をして、石垣の街の夜景と星空を見に行きました。天の川がきれいで流れ星もたくさん見ることができ、娘は昼も夜も大はしゃぎでした。更に、パイナップルにドラゴンフルーツ、シークワーサー、シャカトウなど、お土産もたっぷりもらいました。知人の元気な姿を20年ぶりに見られたことと、近況の話が聞けたこともなによりのお土産になりました。

そうそう、水中写真についての詳しい話は、次回のハンマーヘッドシャーク撮影 2011 の回で詳しくお話ししたいと思います。

>> NEXTオヤジの夏休み 奇跡の海 コンパクトデジカメで神子元島のハンマーヘッドシャークの水中写真を撮る
>> 目次コンパクトデジカメで撮る水中写真 オヤジの夏休み 奇跡の海

                                               (初出 2011/08/24)

メールマガジンに登録しませんか

スタジオグラフィックスで「水中写真テクニック講座 中野誠志の 海Photo! 楽Photo!」の連載
水中写真テクニック講座

>> デジタルカメラとデジタル画像の活用サイト「スタジオグラフィックス」 トップページへ

スタジオグラフィックス 人気記事ピックアップ
今更聞けないiPhoneのカメラ撮影術   いまさら聞けないiPhoneのカメラ撮影術
iPhone カメラ機能の基礎知識と撮影テクニック
デジカメユーザのためのスマートフォン活用講座。基本カメラアプリの操作方法をおさらい

ミラーレス一眼と一眼レフの違い   ミラーレス一眼の特徴としくみ (2)
ミラーレス一眼と一眼レフの違い 〜位相差AFとコントラストAFの違い
一眼レフの「位相差AF」とミラーレスの「コントラストAF」はどう違うの? どっちが優れもの?

萩原和幸のポートレート撮影術 〜女性の撮り方テクニック講座〜   萩原和幸のポートレート撮影術 〜女性の撮り方テクニック講座〜
モデルは谷内里早、佐山彩香、相楽樹、纐纈みさき、飯村未侑、疋田英美
グラビア撮影現場から撮影テクニックをグラビア編/解説編/テクニック編で説明

動物園での写真撮影の基本 〜オリの消し方と背景をボカすテクニック   動物園での写真撮影の基本 〜オリの消し方と背景をボカすテクニック
内山晟の「動物写真・撮影テクニック講座」
動物園での動物撮影で最初の課題は檻や金網。これを撮影時にドロンと消す方法。

オヤジがキスデジで撮る!初心者向けスナップ講座   オヤジがキスデジで撮る!初心者向けスナップ講座
ポートレートモードとストロボ攻略
左の2枚の写真はほぼ同じ時刻に同じ場所で、同じカメラで撮ったもの。なぜこんなに違う?

Adobe Photoshop CS6 レビュー   Adobe Photoshop CS6 レビュー
新機能と強化された機能
薮田織也のフォトショップ早わかり Photoshop Tips & Manual

Photoshop Elementsで、空を青く、芝生を緑に演出する方法   Photoshop Elementsで、空を青く、芝生を緑に演出する方法
(フォトショップ・エレメンツ de ゴーゴー!)
青い空、緑の芝生…記憶の色を取り戻す魔法のカラー補正術

逆光の失敗写真を明るく、青空をもっと青く補正するレタッチ術   逆光の失敗写真を明るく、青空をもっと青く補正するレタッチ術
Picasa3 徹底活用講座
思い出の写真を家族や友達とウェブで共有 無料アプリでここまでできる

荻窪圭の 写真で見る 三脚の使い方&選び方 三脚活用テクニック入門   荻窪圭の 写真で見る 三脚の使い方&選び方 三脚活用テクニック入門
三脚はなぜ必要? 三脚の役割とメリット
三脚&雲台 活用テクニック講座 入門スタート

夜景写真やイルミネーションをきれいに撮ろう   夜景写真やイルミネーションをきれいに撮ろう
デジタルカメラ時代の レンズフィルター初級講座
キラキラの夜景をみたままに近い写真に撮る方法

広角レンズレビュー 「TOKINA AT-X 17-35 F4 PRO FX」   萩原和幸の広角レンズレビュー 「TOKINA AT-X 17-35 F4 PRO FX」
F4.0 コンパクト広角ズームの実力
F2.8とF4.0ズームの特徴比較と使い分け

ウルトラの星輝く時ごちそうさまですの   ウルトラの星輝く時ごちそうさまですの ゆきぴゅーのタダでごはん
お父さんのための特撮講座〜ウルトラマンとウルトラマン商店街の巻〜
世田谷区に実在するというウルトラマン商店街とは?

神子元島ダイビング ハンマーヘッドシャークをコンパクトデジカメ XZ-1 で撮る   神子元島ダイビング ハンマーヘッドシャークを XZ-1 で撮る
石垣島ダイビング マンタの乱舞をXZ-1 で撮る
コンパクトデジタルカメラでどこまで撮れるか!? マンタとハンマーヘッドの撮影に挑戦

 

 
 
  このページのトップへ
 






     
 
 

     
 
Presented by
飛鳥のWEBサイトへ
Created byy
サンタ・クローチェ
トライセック
リンクについて
著作権について
プライバシーポリシー