2011年も伊豆の神子元島でたくさんのハンマーヘッドシャーク(シュモクザメ)に出会うことができました。
コンパクトデジタルカメラで撮ったものですが、まずは2011年に撮ったハンマーヘッドシャークの群れの写真を紹介します。
カメラ機種はオリンパス「XZ-1」です。この機種の特徴は以前スタジオグラフィックスでも「コンパクトデジタルカメラ進化論」で解説しましたが、水中写真用に選んだ理由は後述します。水中に持って行くためのハウジングはオリンパス純正「PT-050」です。
|
|
「進化した肢体」
神子元島には数種類の鮫が見られるが、迫力があるのはこのメジロザメ。シャープなエッジは研ぎ澄まされた刃のようで格好良い。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F8.0 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「根待ち」
海底からせり出した岩につかまって魚の登場を待つことを「根待ち」と呼ぶ。黒潮が近付くとまるで海外リゾートの海のように透明度は上がり、ブルーが拡がる。そのかわり、激流もやってくる。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F3.2 1/200秒 ISO125 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「主役の登場」
ゆらりと2尾のハンマーヘッドシャークがやってきた。彼らはダイバーに気付くとたいていは逃げる体制をとる。このときも身を翻してゆっくりと去っていった。6月〜7月にかけては、神子元島に近い根回りで見られることが多い。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F8.0 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「油断してはいけない」
根待ちをしていると突然ダイバー達の前にハンマーヘッドシャークの群れが現れた。突然の遭遇に水中でもダイバー達の歓喜の声が響く。慌ててカメラを構える前列のダイバー。出会いはいつも突然なのだ。油断してはいけない。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F5.6 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「遭遇の幸運」
ブルーの彼方から次々と現れるハンマーの大群。浅めの根につかまって彼らを待っているときに、群れが同じ高さの正面からやってくることはそうそうあることではない、とてもラッキーなのだ。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F2.8 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「憧れのハンマー回廊」
根回りにハンマーヘッドシャークが来てくれる季節は、比較的、撮影も楽に行える。しっかり岩につかまってシャッターを切れば良い。カメラの基本操作が片手になるので器材は小さい方がいい。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F2.2 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「偶然の遭遇を求めて」
真夏を迎えるとハンマーヘッドシャークの群れは主に外洋を周回するようになる。海の条件が良ければ、ダイバー達はグループになって流れに任せて外洋(中層)に飛び出す。ドリフトダイビングだ。ハンマーヘッドシャークとの偶然の遭遇を求めて。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F2.8 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「しばし一員になる」
運良く中層でハンマーの群れに当たることができれば、近付いてしばらく併走することができるかもしれない。彼らの群れの一員になれるのだ。近づけるかどうかは海況を判断したガイドの指示と、自分の脚力次第。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F3.2 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「ハンマーリバー」
盛夏から秋にかけて群れはどんどんと大きくなり、密度も濃くなる。巨大な鮫の大群がまるで川のように長い群れになって次々とやってくるので「ハンマーリバー」と呼ばれる。
見下ろす光景も素晴らしいが、その中に入って撮れたときは格別の思いだ。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F3.5 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「美しい被写体」
頭上を通り過ぎるハンマーヘッドシャークの群れ。単体に注目してフォーカスを合わせて撮る。最近のカメラはたくさんのフォーカスポイントを持っているが、僕の好みはセンターのみにフォーカスする設定。中央の被写体にバッチリ、ピントを合わせてからシャッター半押しのまま構図に合わせてずらせばいい。日の丸構図だって構わない。なによりセンターフォーカスなら周囲を泳ぐ小魚にピントを持って行かれる心配がない。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F3.5 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
|
|
「神子元ブルー・スペクタクル」
太陽の光を受けて銀色にキラキラと輝く身体を間近で見ることができたら、神々しくさえ感じるだろう。視界いっぱいに拡がるその迫力と感動は、どんなに大きなレンズを使っても収めることはできない、もどかしさである。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F3.5 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
ハンマーヘッドシャークはその奇妙な頭のカタチから、熱烈なファンも多いのですが、スクーバダイビングで見られるポイントとして有名なのは日本国内では与那国島と伊豆の神子元島だけです(希に見られるというポイントは他にもあります)。
水中写真は陸上とは異なる難しさがありますが、特に神子元島は外洋に面しているため潮の流れが早いときもあり、岩をつかんでほふく前進で進むこともよくあります。
また、マスク(水中めがね)やレギュレーター(呼吸するために加えている装置)が飛ばされそうになるほどの流れにあうこともしばしば。
そんなとき大きなカメラを持っていると、どうしても行動の妨げになってしまいますので、ここではカメラ器材はより小さい方が望ましいと思います。
一連の写真のデータを見てお気づきの方も多いと思いますが、僕はシャッタースピードを1/250にセットして撮影しています。もちろん、天候や海況によって1/250もの速いシャッター速度がセットできないこともしばしば。そのときはシャッター速度を1/125まで遅くするか、ISO感度を上げるようにしています。
「XZ-1」はコンパクトデジタルカメラでありながら、マニュアル撮影はもちろん、シャッター速度優先モードもあります。撮った写真はRAWで記録することもできます。つまり、一眼レフのような大きなレンズや撮像素子はありませんが、操作は一眼レフと同様なのです。
もちろんオリンパスPENやソニーNEXなど、ミラーレス一眼を使うという選択肢もあり、それは実際、とても迷ったところです。今も迷います。しかし、小さい撮像素子にあわせて開発された「XZ-1」のズイコーレンズは、ミラーレス一眼よりむしろ明るいレンズ設計になっています。1/250などの速いシャッター速度で撮影するには明るいレンズが不可欠です。こうした経緯から「XZ-1」を選択しています。
XZ-1よりもっと撮像素子の大きなカメラで撮れば、ハンマーヘッドシャークの肌の質感がもっとリアルに再現できるとは思います。色もほぼ青一色ではなくなるかもしれません。しかし、撮像素子の大きさをとるか、明るいレンズをとるか、きっと当分はその解は明確には出ないとは思います。この夏は、気がついたらミラーレス機を握りしめて神子元島行きのダイビングボートに乗っているかもしれませんが、それはそれ。そのときはまたレポートと写真を掲載しますのでお付き合いください。
|
|
「エキジット」
神子元のダイビング時間は1回わずか 35分間。ダイビングの最後は外洋でボートに見えるようにフロートを上げ、ボートが迎えに来てくれるまで安全停止をして待つ。ハンマーヘッドシャークに会えた時も会えなかった時も、この海が名残り惜しく感じるひととき。
Camera Data:
オリンパス コンパクトデジタルカメラ XZ-1 +
純正水中ハウジング「PT-050」
F4.5 1/250秒 ISO100 ストロボなし RAW
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2011年撮影
|
|
>> 目次 「コンパクトデジカメで撮る水中写真 オヤジの夏休み 奇跡の海」
(初出 2012/01/18)
スタジオグラフィックスで「水中写真テクニック講座 中野誠志の 海Photo! 楽Photo!」の連載
>> デジタルカメラとデジタル画像の活用サイト「スタジオグラフィックス」 トップページへ
|