|
明るいレンズってなに? |
 |
|
「XZ-1」の最大の特長のひとつが、明るいレンズです。
では、そもそも「明るいレンズ」ってなんでしょうか?
蛍光灯のワット数なら見た目にも明るさが解りやすいのですが、レンズの「明るさ」って言われると、かなり解りづらい気がしますね。
カタログ上でそれが表されるのが「F値」です。
「F値」には2つの意味があります。

写真3 |
レンズにはたいてい、明るさを示す「F値」が記されている。「1:1.8」の記載は、F1.8と同義。 |
|
F値はレンズの明るさを示す数値で、小さい値ほど明るいことを示しています。カタログでみると「XZ-1」は「F1.8 - F2.5」とあります。最も小さい数値の「F1.8」は、広角のとき…ズームをきかせていないときに最も明るくできる性能と思えば良いでしょう。望遠ズームを最大にすると「F2.5」が最も明るい性能となります。
では次に「F1.8」がどのくらい明るいか、という話になるわけですが、数年前に明るいと言われていたソニーの「DSC-W300」が「F2.8 - F5.5」です。
デジタル一眼の場合、明るいズーム式レンズはとても高価です。F2.8など明るいズームレンズの場合、キヤノンやニコンの純正だとレンズだけで15〜30万円もします。デジタル一眼のレンズセットなどには、もう少し暗いけれど価格が抑えられたレンズ、がセットにされています。「EOS Kiss X50レンズキット」を例に取ると付属のレンズは「F3.5 - F5.6」となります。
こうして比べると「F1.8」という数値が明るさという点ではとても優れていることが解ると思います。

レンズのF値に「F1.8 - F2.5」とあり、「F1.8」から「F2.5」まで数値に幅があるのは、本文で解説したとおりズーム域によって最小のF値が変化するためです。このレンズの場合、最も広角のときには「F1.8」が可能ですが、最も望遠にセットしたときは少し暗い「F2.5」が最も明るいF値になります。これは次の「絞り」と「シャッタースピード」に関連します。
なお、ズームでも最小の明るさが変わらないレンズもあり、その場合は「全域F1.8」や「全域F2.8」とか呼ばれます。広角でも望遠でも最大の明るさが変わらないということを示していて、それはそれですごい技術なのです。
|
|

「F値」のもうひとつの意味が絞り値です。レンズから入った光の量は、絞り羽根と呼ばれる機構で調節することができます。羽根を全く絞らない状態を「開放」といい、光を最も多く取り込む明るい状態です。そのことから絞りの数値を基本に「開放F値」という呼び方をすることもあります。「XZ-1」の開放F値は広角のとき「F1.8」、望遠のとき「F2.5」となります。
絞り値は何枚かの羽根のような形状のもので穴の大きさを調整する。絞り込むほど(図の右にいくほど)、光の量は少なくなり、暗くなる。そのため簡単撮影モードなどでは通常、シャッタースピードを遅くして明るさを保つしくみが働いている。図は解放値がF1.8のカメラレンズの場合を例に、絞り値と絞り羽根の関係をイメージ図で示したもの。(『体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より) |
|
例えば下記の写真の左右を見比べてください。小さいF値で撮った写真ほど、被写界深度が浅い(狭い)写真になっています。被写界深度とはピントの合う距離や範囲のことです。下の例で言えば、F1.8で撮ったとき、ピントが合う距離が最も狭くなり、背景や手前がより大きくボケるため、主題を引き立たせた写真を撮ることができます(背景のボケ(ボヤけ)はF値だけでなく望遠ズームによっても演出できます)。ただシャッターを押すだけでなく、撮影者の意図で撮影を楽しめるのもカメラには大切な要素です。
写真4 |
同じアングルから撮った2枚の写真。左はF値を「8.0」に設定して撮影。右は開放F値「1.8」に設定して撮影したものだが、背景がぼやけて被写界深度が浅い写真になった |
|
「背景をボカした写真が撮りたいのでデジタル一眼レフを買った」という人も多いと思いますが、開放F値が小さいレンズほど被写界深度が浅い(狭い)写真を撮るのに有利だと言えます。いちがいにデジタル一眼とコンパクトデジカメを比較するのは適切ではありませんが、F値の視点だけ見れば、デジタル一眼のレンズセットよりもむしろ XZ-1 の方が、広角では背景をボカした写真を撮りやすいカメラだと言えるかもしれません。
とにもかくにも、通常はコンパクトデジタルカメラではシーン別の撮影モードはあっても、撮影者がこのように絞り値等を変更して撮影することができない機種がほとんどです。もちろんカメラに詳しくないユーザにとってはそれで良いのですが、せっかく撮るなら、撮る楽しさも味わいたいものです。
比較 |
XZ-1で、F値を 8.0 に絞った設定で撮影。手前のカメラと背景の樹木も視認可 |
|
比較 |
XZ-1で、F値を 4.0 に設定して撮影。背景がややボケて、実用度の高い絞り値 |
|
比較 |
XZ-1で、開放F値 1.8 で撮影。意図的にカメラのみを引き立たせるボケ味 |
|
|
開放F値はレンズの性能によってF値をどこまで小さく指定できるかが異なってきます。
被写界深度が深い(広い)写真を撮りたければ、大きいF値に設定して撮ります(上の写真ではF8.0のように)。絞る方は絞り羽根によって光が通る穴を小さくするのでレンズの明るさ性能に関わらず選択することができます。
|