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製品レビュー & 特集
広角レンズレビュー 「TOKINA AT-X 17-35 F4 PRO FX」
第 1 回 コンパクト広角ズームの実力 2012/03/07
 
「萩原和幸の広角レンズレビュー」
評価の高い大口径F2.8広角レンズ「AT-X16-28 F2.8 PRO FX」に続き、フットワークを重視したコンパクトな超広角レンズ「AT-X 17-35 F4 PRO FX」が昨年登場しました。このレンズの特徴を、ポートレートやグラビア撮影等で活躍中の萩原和幸先生が撮影した作例をまじえて解説します。
本文 Photo & Text by 萩原和幸
  フットワーク重視のコンパクト広角ズームレンズ このページのトップへ  

デジタル一眼レフカメラのセンサーサイズは、大きく分けて2つ。

ひとつは「APS-C」サイズで、もう一つは「フルサイズ」だ。APS-Cサイズセンサーのデジタル一眼レフカメラが、現在もっとも普及しているのだが、フルサイズセンサーに比べ焦点距離が約1.5〜1.6倍になってしまうこともあり、広い画角で撮影したいシーン(例えば風景など)では少々不利な面もあることから、フルサイズセンサーの需要が高まっている。

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トキナーの広角ズームレンズ「TOKINA AT-X 17-35 F4 PRO FX」の外観写真。(写真はニコン用)

しかし、フルサイズセンサー機対応の純正レンズはAPS-Cサイズ専用レンズに比べてレンズボディ自体が大きくて高価なものが多く、とりわけ大口径広角ズームレンズに関しては、画面周辺の解像度や光量の確保、ディストーションの補正などハードルが高く、各社看板レンズというポジションで販売され、ユーザーにとっては正直、敷居が高かった。

そこに一石を投じたのがトキナー「AT-X16-28 F2.8 PRO FX」だった。

全群にP-MO非球面レンズ、後群にガラスモールド非球面 2 枚+SD (超低分散ガラス) 3 枚使用という贅沢な設計でありながら、純正レンズの価格の約半額で発売されたこともあり、フルサイズセンサー機対応の大口径広角ズームを身近にしてくれた。

そして、さらにそのトキナーから、「AT-X16-28 F2.8 PRO FX」に続くフルサイズセンサー機対応の、使用頻度の高い17mmから35mmの画角の広角ズームが登場した。

AT-X 17-35 F4 PRO FX」がそれだ。

前述のAT-X16-28 F2.8 PRO FXのコンセプトはそのままに、全焦点距離域でF4ながらコンパクト設計された広角ズームレンズだ。

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ケンコー・トキナーの「AT-X16-28 F2.8 PRO FX」と「AT-X 17-35 F4 PRO FX」の 2 本を並べてみる。AT-X16-28 F2.8 PRO FXの133.3mmに対し、AT-X 17-35 F4 PRO FXは94.5mmとかなりコンパクト。一般的な広角ズームレンズとしても、コンパクトボディ。
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前玉には大きな違いがある。AT-X16-28 F2.8 PRO FXは前玉が大きく突出していて、バランス的にも前が重くなるが、AT-X 17-35 F4 PRO FXはスマート。
AT-X16-28 F2.8 PRO FXは、大きく、開放値F2.8という大口径という点を考えると、どっしりと腰を下ろした撮影に向いているし、それだけの描写を期待して良いのだが、いかんせん取り回しという点では少々厳しい。AT-X 17-35 F4 PRO FXは開放値こそF4ではあるが、軽快に撮影できるし、AT-X16-28 F2.8 PROを持ち出してまで大きなボケが欲しいという場面でなければ、むしろスナップ撮影や荷物を少しでも小さくしたい場面にはうってつけだ。
  AT-X 17-35 F4 PRO FX の焦点距離 このページのトップへ  

焦点距離は17mm〜35mm。
汎用性の高い焦点距離で、このレンズ1本で広角作画をほぼクリアできる。
F値もコンスタントF4で変化すること無く、使い勝手は良好。

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作例01

焦点距離35mm。
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作例02

焦点距離24mm。
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作例03

焦点距離17mm。
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 なお、ダウンロードに長い時間がかかる場合があり、 回線の混雑時には正常に表示できない場合があります。
 ブラウザの設定によっては自動で縮小されて表示されます。
  AT-X 17-35 F4 PRO FX の 作例 このページのトップへ  

CanonEOS5D Mark2に装着してスナップ撮影に出掛けた。
バッテリーグリップを付けなくても、ノーマルのままでとてもバランスは良い。

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作例04

ダイナミックに空を取り入れた構図で。
17-35mmは思っている以上に広角で、キットレンズからステップアップするのにもちょうどいい。大きな雲だなあ…と思いながらファインダーを覗き、その気持ちが現れた作例になった。
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撮影データ/Canon EOS5D Mark2
23mm 絞り優先AE (1/500秒 F11) ISO200
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作例05

メリーゴーランドの馬の発色、天井に描かれた画の発色、ともに良い。
誰も乗っていないのが残念。スナップ撮影の際は、構図に人が入ることについて細心の注意を払う必要がある。
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撮影データ/Canon EOS5D Mark2
17mm 絞り優先AE (1/20秒 F11) ISO200
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作例06

ビル群の向こうにある太陽をわざと入れるように撮影。太陽そばのゴーストは気になるといえば気になるが、私は作画効果として活かされていると思う。輝度差が大きい箇所では収差が若干見られるが、ほとんど気にならない。
この条件でよく写るなあ…は、素直な感想だ。
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撮影データ/Canon EOS5D Mark2
17mm 絞り優先AE (1/800秒 F11) ISO200
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作例07

最短撮影距離、絞り開放で撮影。このレンズの最短撮影距離は0.28m。F4ながら背景は十分なほど大きくボケている。そのボケ味も素直で嫌みはない。ひまわりの前ボケもきれいだ。広角レンズで背景をボカした作画意図にも応えてくれる。
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撮影データ/Canon EOS5D Mark2
17mm 絞り優先AE (1/60秒 F4.0) ISO200
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作例08

窓からカーテン越しに差し込む光を意識しながら、クマのぬいぐるみにちょっとセンチメンタルな味付け。床に反射する光にほんの少しフレアが出ているが、気にならない。むしろホワッと雰囲気のある作例に仕上がった。
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撮影データ/Canon EOS5D Mark2
23mm 絞り優先AE (1/320秒 F5.6) ISO200
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作例09

洋館の、ダイニングに並べられた食器類。部屋の雰囲気を取り込みながら、これからはじまる食事を想像しつつ撮影。手前の皿から奥にかけては、なだらかにボケていっそう雰囲気を高まらせている。開放値F4でも、ボケをコントロールした作画は可能。次々とチャレンジしたくなる。
このレンズは小型でバランスが良いので、このように光が乏しい条件下でも、手持ちで撮影できた。
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撮影データ/Canon EOS5D Mark2
17mm 絞り優先AE (1/30秒 F4.0) ISO200
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作例10

手前の建物の色も空の色も、クリアでありながら、しっかりとした発色だ。また、手前から奥のビル群まで非常にシャープに解像している。周辺の画質に乱れはなく、良好に収差補正がなされている。
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撮影データ/Canon EOS5D Mark2
17mm 絞り優先AE(1/400秒 F13) ISO200
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作例11

横浜の街を窓越しに切り取ってみたら、まるで絵画のよう。ガラスの反射を気にしながら、MFでピントを合わせた。ワンタッチフォーカスクラッチ機構を搭載しているので、即座に適度なトルク感あるMFが可能。小型でスナップに適しているこのレンズで、街を自在に切り取るのは面白い。
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撮影データ/Canon EOS5D Mark2
22mm 絞り優先AE (1/320秒 F13) ISO200

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 「実寸画像」をクリックすると撮影実画像を表示しますが10MBを超えるものもあります(縦横向きも実際のものです)。
 長いダウンロード時間がかかる場合があり、回線の混雑時には正常に表示できない場合があります。
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次回予告
ポートレートや舞台など、さらなるシーンにAT-X 17-35 PRO FXを持ち出し、撮影に挑んでまいります!
> 後編を読む

萩原 和幸 :photo 萩原 和幸 (はぎわら かずゆき)
1969年 静岡県出身 東京工芸大学写真技術科卒業、静岡大学人文学部法学科卒業。写真家・故今井友一氏師事。独立後、K&S Photograph∞を設立。
フリーランスのフォトグラファーとして雑誌での撮影・執筆や広告撮影などで活動中。
公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。静岡デザイン専門学校非常勤講師。
スタジオグラフィックス「萩原和幸の グラビア写真集&ポートレート撮影術」連載。
> ホームページ 萩原 和幸

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初出:2012/03/07
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