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デジカメPopeye
第9回 オヤジ流デジカメ研究 撮像素子とCCD入門
 

カメラや画像のしくみをやさしく解説します。
デジカメの要、CCDってどんなもので
どこに付いているか知っていますか?
「CCDの解像度が大きい数字のデジカメほど
画質がきれい」ってウワサ、
鵜呑みにしていいんでしょうか?

  2004/02/25
 
いま、デジタルカメラ関連の書籍を執筆していまして、先日、キヤノンと富士写真フイルムに取材に行ってきました。今回はまずはそんな話し(でも、取材した内容の話題ではない)。
■EOS Kiss Digital がやってきた
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  小市民的オヤジがデジタル一眼レフを手にした日。
キヤノンと言えば、なんと言っても昨年8月に発表された「EOS Kiss Digital」が話題ですね。買おうかどうしようか、迷っている人も多いと思います。このEOS Kiss Digital、年末までに35万台を売り上げたそうです。もうご存じだと思いますが、EOS Kiss Digitalはいわゆるレンズ交換式の一眼レフ・デジタルカメラで、それまでハイアマチュア向けでも20〜30万円したレンズ交換式の一眼レフの価格を一気に10万円台前半まで引き下げた意欲作です。製品発表会では同社の御手洗社長が「一般ユーザー向けの一眼レフデジカメ」と表現しましたが、銀塩同様に一般ユーザがレンズ交換式一眼レフをなんとか購入できる時代がやってきた、という実感はたしかにあります。
 
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EOS Kiss Digitalは本体だけで買うと11万円くらいで買えます。でも新開発のEF-Sレンズが付いたキット製品(写真)がお勧めなのだ。
 
さて、この「EOS Kiss Digital」は、何度も言っていますが(笑)レンズ交換式ですから、従来の銀塩フイルム一眼レフカメラのEOSシリーズを使っている人は、それに装着していた一眼レフレンズ(いわゆるEFマウントのレンズ)がそのまま利用できるというメリットがあります。それだけでもなんだかワクワクしますが、更にキヤノンはデジタルカメラ用にレンズ「EF-S」を新開発しました。そのレンズをEOS Kiss Digitalとセットにした製品もあります。このレンズがなかなか評判が良くて、単体販売されていないもんですから、やっぱ「EOS Kiss Digital」を買うならEF-Sレンズキットのご購入をお勧めする次第、というわけです。
 
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EOS Kiss Digitalには銀塩カメラで使用していたEFマウントのレンズを流用できる(装着したところ)。ただし、望遠倍率が1.6倍換算になるので注意が必要です。
 
レンズキットをお勧めするにはもうひとつ理由があります。銀塩用のEFマウントレンズをEOS Kiss Digitalにくっつけた場合、レンズのズームは1.6倍になります。つまり、例えば「55-200mm」レンズをEOS Kiss Digitalにくっつけた場合は、実質「88-320mm」相当になるわけです。「なにっ!? つまり、200mmの望遠なのに、300mm以上の超望遠になってくれるの?」と喜ぶ人もいますね、きっと。その通りです、カメラライフを主に望遠側に費やしている人にはこれは喜ぶべき事件です(笑)。しかし、スナップや風景を撮るとき、集合写真を撮るときに便利な広角側が弱くなるということでもあります。言い換えれば、銀塩カメラのときにちょっとした広角レンズを持っていない人は、スナップや風景写真などで難儀するかも、ということです。そんなわけで、EF-Sこと「EF-S 18-55mm F3.5-5.6USM」は持っていて損はないレンズなわけです(とても軽くて一般使用には使いやすいですよ)。
   
やっぱり一眼レフは楽しい
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  そんなわけで、会社に1台、EOS Kiss Digitalがやってきたので、当時とても高価だった年代物のEFマウントのF2.8シリーズをくっつけて、週末は試し撮りと称して、久しぶりの高性能一眼レフを楽しんだわけです。絞りを開けっ放しにして、背景の抜け(ボケ)を楽しんだり、露出やホワイトバランスをガチャガチャ変えながら遊びました。これほどバカでかいレンズ(F2.8、200mm:320mm相当)なのに、もうひとつのちびっこ愛機パナソニック「FZ-1」(F2.8、420mm相当)の方が望遠性能が良いのはいつもながら不思議な感じがしますが、さすがに撮る楽しさ、シャッターを切る楽しさはレンズ交換式一眼レフが何枚も上です。操作もEOS5やEOS Kissで慣れ親しんだ感触と似ているのでなおさらです。
立川の昭和記念公園あたりで、週末にバーベQなぞをしていると、銀塩一眼レフを持ったお年寄りの集団が、花やら犬やら2歳のうちの息子やらを取り囲んで撮影している流しの風景を目にしますが、そういった方々にも十分に楽しめる製品になってきました。これから数年は一眼レフ・デジタルカメラの価格競争が起こり、デジタルカメラ業界、しばらくはこの分野がにぎやかになりそうです。
   
デジタルカメラのCCDってどんなもの?
  CCDってどんなもので、どこに付いているか知っていますか?
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富士写真フイルムの「FinePix F700」。コンパクトながら有効画素数620万画素、新開発のスーパーCCDハニカムに注目です。
 
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デジタルカメラの背面。銀塩カメラならフイルムを装填するレバーがあるがデジタルカメラには液晶があります。さて、これをちょっとばかり開けてみましょう。
 
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デジタルカメラの背面を開けると銀塩ではフイルムがあるべき部分にICチップが貼り付けられているのが解ります。本当にフィルムの代わりに貼り付いている感じ。これが1/1.7型CCD。
一眼レフの話しはひとまず置いておいて、CCDなどの撮像素子の話しをしましょう。

このデジタルカメラは「FinePix F700」と言って、撮像素子に話題の「スーパーCCDハニカムIV SR」(有効画素数620万画素)を搭載しています。このCCDはダイナミックレンジを4倍に広げ、白とび・黒つぶれといった現象に強いとされています。すなわち、太陽光が挿し込む室内や、木陰など、明暗が比較的はっきり分かれている撮影では暗い部分の被写体に合わせて撮影すると明るい部分が白とびしてしまい、明るい部分に合わせると暗い部分が黒つぶれしてしまいがちですが、ダイナミックレンジが広いということは、明るいところから暗いところまでの許容範囲が広く、頑張って白とびや黒つぶれせずに階調を表現できる、とこういった特長があるわけです。

さて、デジタルカメラは銀塩フイルム式カメラと違う点は何でしょうか?

フイルムを使っていないこと? そうです(笑)ね。レンズから入ってきた画像を焼き付ける銀塩フイルムの代わりに、デジタルカメラにはCCDやCMOSと呼ばれる撮像素子(IC)が取り付けられています。本当にフイルムの"代わり"に(笑)取り付けられているんです。富士写真フイルムでそれがよぉく解る、分解しちゃって良い「FinePix F700」を借りてきましたので紹介します。ほら(右写真)。まるでフイルムのように撮像素子がくっついてるでしょ。これがCCDです。この機種の場合、これがまさしく「スーパーCCDハニカムIV SR」です。

CCDは、レンズを通して入ってきた画像を信号に変換する役割を持ちます(レンズを通ってきた"画像"と表現していますが実際は光です)。300万画素とか、600万画素とか言っているのはこのCCDに含まれる画素数を表しています。画素数の数値が多い方が、点を細かく表示できて高画質だということは皆さんご存じの一般的な知識ですね。ですから、このFinePix F700は小さくても620万画素というかなり高度なデジタルカメラなわけです。更にCCDはハニカムですし(ハニカムについてはまたの機会に)。
   
■同じ600万画素なら、一眼レフもコンパクト機も画質は同じなの!?
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ここでちょっとした疑問が生まれます。前述のEOS Kiss Digitalは有効画素数が630画素ですから、FinePix F700はEOS Kiss Digitalと同じだけの高画質性能を持っていると判断していいのか、ということです。FinePix F700と同じメーカーである富士写真フイルムの製品にも、プロやハイアマチュア向きの一眼レフで、617万画素の「FinePix S2 Pro」という機種があります。30万円以上もする高価な機種です。FinePix F700は30万円以上の高級機と同じだけの高画質性能を持っていると判断していいのでしょうか。残念ながらはこの解答はNOです。

この画素数の数値だけが綺麗な画像を決定づけるわけではありません。銀塩カメラではプロカメラマンがでかい写真を撮りたいときに、でかいフイルムを使用する、ということをご存じの方もいると思いますが、フイルムのサイズが大きい方が綺麗な画像が期待できます。CCDでも同じことが言えます。でかいCCDであれば、画像を取り込む面積が大きくなり、一般に綺麗な画像を撮れるポテンシャルは高くなります。FinePix F700のCCDのサイズは1/1.7型と呼ばれるもので、コンパクト設計のデジタルカメラでは大きな部類に入りますが、一方のS2 ProのCCDは大型(23.0mm×15.5mm)、下の写真ほどサイズに違いがあります。

 

左が大型 23.0mm×15.5mm CCD、右が1/1.7型CCD。
 
しかし、でかい撮像素子は高価ですし、コンパクトなボディには入りません。相対的にでかいレンズも必要となります。そのため、小さいCCDは小さいCCDの利点が数多くあり、小さいCCDの機種同士で高画質や高性能を求めて、各社技術開発にしのぎを削っているのです。
※ちなみに、EOS Kiss DigitalはCCDではなく、CMOSセンサーが撮像素子として使われていて、サイズはAPSフイルム程度、35mmフイルムよりはまだ小さいのです。
 

 

  どうでしたか。CCDについて少し具体的に理解ができましたか?
文中はわかりやすさを第一に考えて表現していますので、興味が出てきたらインターネットや専門書(↓下の書籍でも解説しています)でしっかりと調べてみるのもいいかもしれませんね。
では、また。

(機材協力/富士写真フイルム)

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