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デジカメPopeye
第12回 RAWデータを理解しよう 基本編
 

シダレザクラ

デジカメ画像掲示板「電脳光画部」、のるて さんの作品
(No.7135)
D70で撮影。きれいな空と雲にサクラ色がとても映えます。

 
(2004.4.14)
  用語検索機能を使ってね!!
 前回はヒストグラムの基本知識を解説しました。Popeyeでなんとなくヒストグラムのことが理解できたら、撮影術やレタッチ術の方で更に詳しい解説や活用法を読むと理解が深まると思います。スタジオグラフィックスのサーバが変わり、それに伴って記事検索機能が追加されました。各ページの左上にある「■用語検索」欄に「ヒストグラム」と入力して「検索」ボタンをクリックすると、スタジオグラフィックス内のヒストグラムに関する記事がリスト表示されます(検索終了に少し時間がかかるのでゆっくり待ってね)。便利ですので、ぜひ一度活用してみて下さい。


RAWデータとは?

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F710はコンパクトデジタルカメラながら、撮影した画像をRAWで保存できます。ふむ。ところで、RAWってなに?
 今回はRAWデータの話をしたいと思います。RAWデータってなんだか知っていますか?
先日、富士写真フイルムの新製品デジタルカメラ『FinePix F710』を借りました。このカメラの特長は様子は、私のコラム進め!インターネットマン21に掲載していますので、そちらをご覧になって頂きたいのですが、このコンパクトカメラもJPEGデータの他にRAWデータで画像を保存することができます。昨今話題のデジタル一眼レフカメラのほとんどの機種でも、RAWデータでの保存機能が装備されています。RAWは「生(なま)」の意味で、LOW(低い)ではありません。デジカメ基礎知識でも解説していますが、CCDやCMOSセンサーなどの撮像素子が捉えた色情報をそのまま保存できるデジタルカメラ独自の画像のことです。

 銀塩フィルム式のカメラの場合、ネガフィルムが化学変化して像が作られ、それを現像し、紙焼きになって初めて、人が見られる「写真」になりますよね。デジタルカメラというのは、カメラ本体の中で現像までやってしまうわけで、それゆえに液晶画面ですぐ画像を確認したり、撮影したJPEG画像をメディアに保存することができるのです。つまり、JPEG画像が銀塩フィルム式のカメラの紙焼きにあたる・・どこででも見られる可視画像という位置付けになります。

 このとき、銀塩フィルム式のカメラでいう「現像前のフィルム」がデジタルカメラの「RAW」データにあたると思えば、理解がしやすいでしょう。これから現像するデータなので、いかようにも調整できるというわけです。撮像素子が捉えたままの像の情報とは、そういうことです。

【RAWデータとは?】

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デジカメの内部では現像が行われています。現像されたデータがJPEGやTIFF形式の画像データです。一方、現像する前のデータが「RAW」データです。一眼レフのほとんどはRAWデータをメモリカードに保存することができます(イラストをクリックすると拡大します)。体系的に学ぶ デジタルカメラのしくみ』より。

※イラスト中の「画像圧縮(1)」は通常、ファイル容量を小さくするために非可逆圧縮(完全に素の状態には戻らず、画像の劣化などが発生する圧縮方法)が用いられます。一方、「画像圧縮(2)」は画像が劣化しない可逆圧縮
(素の状態に伸張できる圧縮方法)が用いられたり、あるいは圧縮が全くされない場合もあります。


ところでRAWがデジタル一眼レフやハイエンド・デジタルカメラでしかサポートされていないのは、なぜでしょうか。それは、とても不便だからです。

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RAWは画像の容量がJPEGに比べてとても巨大

 例えば、EOS Kiss Digitalの場合、最も高画質なJPEGで約3.1MBの容量で、128MBのCFカード(メディア)に38枚の撮影ができることになります。
ところがRAWで保存したとすると16枚しか撮影できません。これは圧縮しているにも関わらず、RAW画像1枚の容量が約7MBになってしまうからです(それでも画素数からすれば、EOS Kiss Digitalは小さいサイズに収めている方です)。

画像形式 1枚のサイズ 撮影可能枚数(128MB)
JPEG Largeサイズ 約3.1MB 38
JPEG Middleサイズ 約1.8MB 66
RAW 約7MB 16

※EOS Kiss Digitalの画像モードによる容量サイズの変化の例。
  EOS Kiss Digitalは7種類の画像モードに対応している。
  RAWには、RAW画像本体の他に、Exifのサムネイル画像やJPEG Middleサイズが含まれ、
  一覧表示用などに使われる。

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RAWは現像ソフトウェアが必要

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F710に同梱されているRAWデータをTIFFに一括変換する『RAW FILE CONVERTER LE』。単機能なので、このソフト自体は凝っていませんが、変換されたTIFFはJPEGより色情報を豊富に持っているので、更にレタッチを行いたい場合には向いています。
 現像ソフトウェアと言うとなんだかもの凄いもののように感じますね。要するに市販されているグラフィック関連のソフトウェアでは、RAWはそのまま読み出すことはできないということが要点です。RAWはニコン、キヤノン、オリンパスなど各社メーカーによって独特の形式がとられ、撮像素子やデジカメ機種によって特殊なものとなります。互換性は考えられていません。ちなみに、拡張子はニコンであれば「.nef」、キヤノンは「.crw」、オリンパスは「.orf」、富士フイルムは「.raf」となります。
 通常はデジタルカメラ製品にRAWデータを閲覧するビューワ・ソフト(パソコン用)が同梱されていて、それを使って画像を表示し、ホワイトバランスや色調整を行って、JPEGやTIFFなど市販のアプリで利用できる画像形式で保存します。この作業が「現像」と呼ばれる作業です。で、ビューワ・ソフトが現像ソフトというわけです。  

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オリンパスのE-1に同梱されている「OLYMPUS Studio」は、RAWやJPEG画像のカラー調整に適し、できるだけ画質を劣化させない工夫もされています。

添付されているビューワ(現像)ソフトの機能はまちまちです。高機能な凝った作りになっているアプリケーションもあれば、ファイル形式をJPEGに変換するだけの単機能のものもあります。そのため、RAWを扱いたいと思えば、デジタルカメラの購入前に、添付されているビューワ(現像)ソフトの機能を調べておく方が賢明です。ビューワ(現像)ソフトの機能が使い勝手に大きく影響するからです。また、添付されているビューワ(現像)ソフトは機能を抑えておいて、別売で高機能版を販売しているメーカーもあります。その場合は高機能版のビューワ(現像)ソフトも予算に入れておくべき、ということになります。

 例えば、先出の『FinePix F710』の場合、RAWを変換する単機能のソフト『RAW FILE VIEWER』が付属しています。変換(現像)時にホワイトバランスやカラー補正ができないので十分な機能とは言い難いのですが、変換したTIFFはJPEGより多くの色情報を持っているので高画質でレタッチしやすいという利点があります。それなりに割り切った機能と言えるでしょう。ただし、RAW(約13MB)より変換してできたTIFF(約17MB)の方がファイル容量が一層大きくなるので留意しておきたいところです。

 また、オリンパスのE-1の場合、同梱されているソフトウェアのほかに、高機能版を別売しています。「OLYMPUS Studio」がその高機能版です。RAWの閲覧や現像だけでなく、プロカメラマンのワークフローをサポートするために設計されたソフトウェアです。ワークフローとは作業の流れを意味し、ここではプロカメラマンが写真を撮って、選定して、現像・あるいはカラー調整などの編集する、印刷する、という一連の流れを、効率的に行えるように設計されていることを示しています。詳しくは次回、解説します。

新しい『フォトショップCS』に、Camera RAW機能が装備されたことはレタッチ講座で紹介しましたが、Camera RAW機能とはフォトショップ上でこれらRAWデータ(機種は限られます)を読み込んで、色調整などができる機能なのです。

さて、RAWは不便なのにもかかわらず、なぜプロカメラマンやハイアマチュアの人は使いたがるのでしょうか。そのあたりを実践編として次回、お送りします。

↓今回のようなRAWやJPEG画像について詳しくは下記の著書でも解説しています。
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