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第七回 クローズアップ写真の魅力と撮影術 (2) 被写体の特徴をズームアップ |
2011/09/21 |
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動物写真の最大の魅力のひとつがクローズアップ写真。前回にに続く、第2回は被写体の動物たちの特長を捉えたクローズアップ写真の撮り方とコツを紹介します。 (編集部)
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特徴的な身体の一部をクローズアップ |
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前回、被写体の特長を活かしたクローズアップ写真を紹介したが、今回は顔や表情以外にも特長的な身体の一部をクローズアップしてみた写真から紹介しよう。
ホオジロカンムリヅルの特徴はなんといっても愛らしい冠だ。
偶然、冠だけがファインダーに入ったのがきっかけだが、冠だけをクローズアップしても面白い写真になることがわかった。まるで夜空に咲いた花火のように見えた。
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ホオジロカンムリヅル 特徴はなんといっても愛らしい冠…
撮影データ ISO100 f4 1/160 0ev 232mm |
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ホオジロカンムリヅル 愛らしい冠だけをクローズアップしてみた
撮影データ ISO200 f4 1/400 0ev 300mm |
イワトビペンギンの後ろ姿は実に独特でコケティッシュだ。
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イワトビペンギンの後ろ姿
撮影データ ISO1250 f4.5 1/320 0ev 195mm |
それをクローズアップしたら、これがまた面白い。
思わず顔の表情を想像してしまう。 こんな感じ…
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イワトビペンギンの後頭部
撮影データ ISO1250 f4.5 1/320 0ev 300mm |
次はクジャク。
ブルーの色をしたインドクジャクが一般的だが、グリーンのマクジャクは珍しい。
羽根を大きく拡げた姿を全景で狙ってみたくなるのだが、あえてクローズアップで撮ってみるとこうなった。
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マクジャク クローズアップ写真
撮影データ ISO1250 f4 1/200 0ev 330mm |
シマウマの中でもっとも縞が細く、美しいとされているグレビーシマウマが身を寄せ合っていた。
その縞だけを切り取ってみたのだが・・・
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グレビーシマウマ クローズアップ写真
撮影データ ISO1250 f4 1/200 0ev 330mm |
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さて、なんの動物の写真かわかりますか? |
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「この写真の動物はなんだろうか?」
「動物のどの部分だろう?」 と考えさせる撮り方もある。
家族連れで動物園に行った後に、パソコンの画面に撮ってきたクローズアップ写真を表示して、お子さんに当てさせるクイズみたいなことをやってみると面白いのではないだろうか。
さて、次の3つの写真…なんの動物のどこの部分かわかりますか?
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問題A
撮影データ ISO250 f4 1/500 -1ev 202mm |
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問題B
撮影データ ISO400 f4 1/250 -1ev 232mm |
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問題C
撮影データ ISO400 f4 1/320 0ev 217mm |
答えはこのページの末尾に。
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ネコ科の動物はあくび写真が魅力的? |
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ネコ科の動物はあくびしているときの写真を撮ると面白い。
あくびの表情は、いつもは見られないするどい犬歯などがよく見えたり、ペロンと出した舌がかわいかったりするからだ。
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ホワイトタイガー あくびのクローズアップ写真
撮影データ ISO400 f4 1/320 0ev 150mm |
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ライオン あくびのクローズアップ写真
撮影データ ISO400 f4 1/320 0ev 150mm |
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ライオン あくびのクローズアップ写真
撮影データ ISO400 f5.6 1/1250 -1ev 600mm |
画面の前であくびしているあなた…あくびはうつるからご注意を(笑)!!
サルでなくても、口元や舌の動きがかわいいもの、表情が滑稽なシーンはとても楽しい写真になる。
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チーター 表情と口元がかわいい
撮影データ ISO200 f3.2 1/1600 0ev 200mm |
さらに怒っている顔も…、
表情はまさに猛獣。
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ピューマ 怒った顔をクローズアップ
撮影データ ISO2500 f6.3 1/250 -0.33ev 330mm |
同じ被写体でも撮りようによってはこんなに違うのである。被写体が人間、特に女性モデルだったら後頭部のアップや大口開けているところなど撮ろうものなら、何を言われるやらわからないところだが、どのように撮っても決して文句は言われないのが動物写真の面白いところだろう。
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1匹より2匹? のクローズアップ写真 |
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1匹よりも2匹が絡んでいる方が楽しかったり、かわいい写真になることも多い。
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ミーアキャット クローズアップ写真(1頭)
撮影データ ISO400 f4.0 1/320 -0.7ev 420mm |
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ミーアキャット 2頭の写真
撮影データ ISO400 f4 1/1250 -0.67ev 183mm |
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タヌキ クローズアップ写真(1頭)
撮影データ ISO640 f4 1/400 0ev 420mm |
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タヌキ 仲むつまじいクローズアップ写真(2頭)
撮影データ ISO640 f4 1/400 0ev 420mm |
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グラントシマウマ クローズアップ写真(2頭)
撮影データ ISO640 f4 1/400 -0.67ev 202mm |
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アミメキリン クローズアップ写真(2頭)
撮影データ ISO200 f2.8 1/400 0ev 285mm |
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思い通りの構図がとれないときはクローズアップ |
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どうやっても背景に人工物が多かったり、ワイドでは思い通りの構図が得られない場合に、思い切って体の一部分をクローズアップしてその動物を表現する方法を紹介したい。
次のゾウの写真、背景を考えるとおもしろみのある写真はなかなか撮りづらい状況だった。
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撮影データ ISO250 f5.6 1/640 -0.33ev 600mm |
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撮影データ ISO250 f5.6 1/640 -0.33ev 600mm |
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シロムネオオハシ クローズアップ写真
撮影データ ISO2000 f3.2 1/250 0ev 300mm |
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オニオオハシ クローズアップ写真
撮影データ ISO1600 f2.8 1/320 0ev 300mm |
このように動物園にはたくさんの被写体がいて無限の表現方法があるのだ。野生動物が被写体だと同じシャッターチャンスは何度もやすやすとは巡って来ないだろうが、動物園だったらチャンスも多いし、撮り方の実験も気軽に可能だ。失敗しても動物園ならまた来ることも比較的簡単にできるのだ。
とはいえ、動物園ほど制約のある場所はない。被写体がそこにいても、柵や檻があったり、背景に人工物がゴロゴロあったり。時間と光の制約もあって、「これほど撮りづらいところはない」と思うことすらあって、意外と奥が深いのだ。
そんな場所で写真を撮り続けていたら、失敗続きのこともあるだろう。
がしかし、陳腐なようだが「失敗は成功の元」、デジタルカメラだったら、その失敗の原因もすぐに探れるのだから、たくさんの失敗をしてみたら如何だろう。
ここで腕を磨いておけば、日本のフィールド、いや世界のどこへ行っても、野生動物を失敗せずに撮れる技術も身につくだろうと、私は思うのだ。
・・でした。どうですか? 当たりましたか?
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著者プロフィール |
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内山 晟
1941年生まれ。日本大学芸術学部放送学科時代に「白サギ」の写真家・田中徳太郎氏に師事し、動物写真家を志す。1968年、週刊朝日のグラビアページ「動物家族」でデビュー。1969年、ガラパゴス諸島を含む中南米に最初の海外取材を行う。その後、野生動物を追って、北極から南極まで世界中を歩き、年の大半を海外で過ごす。著書に「コウテイペンギンの国」(平凡社)、「のんびりコアラ」(青菁社)、「毎日おいしい男の料理」(中経出版)、「内山晟の五大陸どうぶつ写遊録」(講談社)、ほか多数。
> ホームページ (株)内山晟動物写真事務所 |
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