南仏プロヴァンスに猫を求めての撮影旅行で、何が楽しいかと言えば、どの村でも猫に出会えることだ。私がいつも訪れる4月下旬から5月初旬に掛けては天候が安定しているから、天気の心配をせずに、気の向くままに小さな村々を訪れることができたのだ。
B&B(朝食付きのペンション)のオーナーは、片言でも英語がしゃべれたから泊まる不安はなかった。ランチは村々の小さなレストランでワインを飲み、好きなものを食べて充分楽しんだ。この頃はキッチン付きの宿に泊まり、取材帰りにスーパーに寄って食材とワインを仕入れ、好きなものを自分で作って食べるようになった。
撮りたい猫がいて、快適な宿に泊まり、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲んでの取材は、私にとって最高だったと言えよう。
最初のうちは猫がなかなかみつからず全く余裕を感じることはなかったのだが、ここまで気楽に取材ができるようになったのは、何回も通っているうちに、どこの村のどこに行けば必ず猫がいるという経験が、積み重ねられたからだろうと思う。
Reillanneのこの家にはいつ行っても数匹の猫がいたし、その周りには友達らしい猫もたくさんいた。ただ不思議なのは、2008年に行った時には若い夫婦が住んでいたのに、2011年には中年の女性に変わっていたことだった。
しかし、猫がいるのには変わりなかった。
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この家の玄関はいつも開いていて、猫たちは自由に出入りしていた |
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撮影データ ISO400 f5 1/640 -1ev 135mm
この他にも数匹の猫がいた。 |
この街も丘の斜面に作られていたから、登って行くとあちこちで猫に出会った。ほとんどが石造りの古い家だったが、その中にガラス張りのモダンな家があった。夕方に行くとその入口に猫が座っていた。その家の住人は5時近くになると餌を与えるのだった。野良猫たちが餌を待っていたのだ。
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撮影データ ISO400 f9 1/320 0ev 95mm
玄関先で餌を待つ猫たち |
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撮影データ ISO400 f2.8 1/800 0ev 180mm
少し離れた所でも |
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撮影データ ISO400 f5 1/250 0.33ev 75mm
余りにもモダン過ぎる家だったので、その中の一匹を誘って裏にあった古い家を背景にした。 |
Saignonにもたくさんの猫がいる小さな家があった。
いつも留守で一階の出入り口は閉じられていたが、2階の窓は開いていて数匹の猫が必ずいたのだった。
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撮影データ ISO400 f2.8 1/1250 0ev 202mm |
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撮影データ ISO400 f3.2 1/640 0ev 240mm
そのうちの一匹はそこぶる別嬪だった。 |
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撮影データ ISO250 f2.8 1/800 0ev 105mm |
狭い庭のディレクター・チェアーにも、何時も愛想のない野良猫が寝ていたのだから、格好の撮影スポットでもあった。
人口10数人と思われる小さな村 Oppede にも猫屋敷きはあった。
この家には犬もいたが、いつ行っても5〜6匹の猫がいて、辺りを徘徊していた。
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撮影データ ISO250 f2.8 1/640 0ev 155mm |
隣は小さなバー。
軽食も食べられたから、お昼にはここの店先で、バゲットに生ハムやチーズのサンドウィッチを食べた、もちろんビールも。
すると食い意地の張っている猫たちが、おこぼれ頂戴とばかりにやって来るのだった。
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撮影データ ISO200 f3.2 1/250 0ev 180mm |
猫を相手にしながら食べるサンドウィッチは旨かった。
Bonnieuxsも私の好きなところだ。
ここは大きな村で、下から頂上の教会までは結構な高さがあった。ここでも猫のいるところは決まっていた。下の駐車場に車を停めて頂上まで登るのは、はっきり言ってきつかったから、中腹や教会裏の駐車場にも停めて歩き回った。あちこちに顔なじみの猫がいたから、この村が好きだったのだろうと思う。
初めて行った時に、ドアの外に餌と水が置いてある家があった。
その二階の窓から外を覗いている丸々とした白い猫がいた。
舌をチロリと出している瞬間の写真は写真集「Les Chats en Provence」の裏表紙を飾った。いつ行っても玄関先に餌が置いてあったので、その家主は大の猫好きと知れた。
2005年に行った時、隣の家から女性が出て来て、「私は猫が嫌いなの、これって本当に困っているの」と餌を指差して言った。一軒家ではなかったので、お互いの入口は2メートルと離れていなかったのだ。
街の中腹に兄弟と思われる2匹のキジトラがいた。
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撮影データ ISO400 f2.8 1/1000 0ev 86mm
同じ石塀の上に兄弟でいた。 |
物怖じはしなかったが、愛想はなかった。
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撮影データ ISO400 f2.8 1/800 0ev 120mm |
気が向けば観光客に体を触らせもした。
気が向かなければ、観光客が追いかけて行けないような狭い所へ行って姿を消してしまうのだった。
そこが猫たる所以なのだろう。
Lacosteも猫の多いところだ。
ここには工房やデザイン関係の小さな学校があった。
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撮影データ ISO1600 f2.8 1/5000 0ev 70mm |
日溜まりにいた猫を撮っていたら、英語で話しかけて来た若い女性がいた。
アメリカからの留学生で、日本の漫画が大好き、と言いながら、クロワッサンを食べさせていた。
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