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| 第六回 クローズアップ写真の魅力と撮影術 (1) 表情のズームアップ |
2011/09/14 |
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| 動物写真の最大の魅力のひとつがクローズアップ写真。特に動物園での撮影では被写体の警戒心が弱いので、近くに寄って撮れたり、安心した表情など、アップ写真ならではのシャッターチャンスがあります。今回から2回に渡ってそんなクローズアップ写真の魅力とポイントをお届けします。(編集部)
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サルたちの表情をズームで捉える |
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動物園で撮ってみたい写真のひとつに動物の顔のアップがある。
その中でも特に面白いのが、表情の豊かなサルだろう。目の動きひとつにも味があるのだ。
だからこそ、ピントはキチンと目に合わせなければならない。
もっとも、目にピントが合っていない写真はそもそも、生き生きとした動物写真には見えないのである。
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ハヌマンラングール 顔の表情のクローズアップ
撮影データ ISO200 f6.3 1/250 0ev 420mm |
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ブラザグエノン 顔の表情のクローズアップ
撮影データ ISO100 f5 1/250 0ev 420mm |
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シロクロコロブス 顔の表情のクローズアップ
撮影データ ISO500 f2.8 1/320 0ev 202mm |
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シシオザル 顔の表情のクローズアップ
撮影データ ISO400 f4 1/160 0ev 420mm |
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イーストローランドゴリラ 顔の表情のクローズアップ
撮影データ ISO400 f4.0 1/200 0ev 420mm |
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パタスモンキー 顔の表情のクローズアップ
撮影データ ISO200 f4 1/400 0ev 420mm |
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背景を暗く落として被写体を引き立てる |
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顔のアップを撮るには、望遠レンズやズームを使って顔の大写しをするのは当然だが、その際に背景にも気をつけることが重要だ。
コンクリートの獣舎の場合、背景の壁がきれいな場合は問題ないが、中にはペンキが剥がれてしまってきれいとは言えないところもある。
顔を引き立てるために背景は可能な限り単純化したいので、いっそのこと黒く、暗くしてしまうことも考えられる。背景を暗く落とす方法は「第四回 露出補正で動物写真がグッと魅力的に 〜背景もコントロールできる〜」の露出をマイナス補正する撮影術で具体的に解説しているので参考にして欲しい。
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ワオキツネザル 顔の表情のクローズアップ 背景を暗く落として被写体を引き立てる
撮影データ ISO200 f2.8 1/250 -0.67ev 210mm |
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ワオキツネザル 顔の表情のクローズアップ 背景を暗く落として被写体を引き立てる
撮影データ ISO200 f2.8 1/320 -0.67ev 210mm |
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リスザル 顔の表情のクローズアップ 背景を暗く落として被写体を引き立てる
撮影データ ISO640 f4 1/160 -0.33ev 315mm |
ワオキツネザルとリスザルの写真は、いずれも被写体が檻の中で飼育展示されていたので絞りはできるだけ開け、レンズの先端を檻に極力近付けて撮った。（檻の目を消す方法は「第二回 動物園での撮影の基本 〜オリの消し方と背景をボカすテクニック」参照）
サル以外にも動物園には愛らしい表情の動物たちがたくさんいる。背景を落とした顔のクローズアップ写真の例題をもう少し紹介しよう。
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グリーンイグアナ 顔の表情のクローズアップ 背景を暗く落として被写体を引き立てる
撮影データ ISO200 f4 1/1000 -0.33ev 330mm |
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ゴールデンターキン 顔の表情のクローズアップ
背景を暗く落として被写体を引き立てる
撮影データ ISO1250 f7.1 1/2000 -0.67ev 360mm |
次の3枚は、同じオオワシの写真だが、向きによってずいぶんと印象が変わる。
いろいろな向きで撮り集めるのも動物のクローズアップ写真の楽しみのひとつだ。
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オオワシ 向きによって印象が変わるクローズアップ
撮影データ ISO200 f4 1/1600 -0.67ev 280mm |
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オオワシ 向きによって印象が変わるクローズアップ
撮影データ ISO200 f4 1/1600 -0.67ev 280mm |
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オオワシ 向きによって印象が変わるクローズアップ
撮影データ ISO200 f4 1/1600 -0.67ev 280mm |
どの向きがお好みだろうか?
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背景を工夫して写真をカラフルに |
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背景の配色にも気を配ることによって、動物写真がカラフルに活き活きしたものに演出することができる。背景が人工物で色気が無かったら、積極的に自然の色を取り込んでみよう。
被写体は地味めな配色のサルだが、バックに黄色く色づいた銀杏の葉を取り込むと写真は鮮やかなものになる。
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アカゲザル 背景の配色に気を配ったクローズアップ写真
撮影データ ISO250 f7.1 1/400 0ev 600mm |
もちろん、カラフルな被写体にきれいな背景を配置するのも良いものだ。
ベニコンゴウインコの背景にも彩りを加えた。
背景は先ほど同様に黄色く色づいた銀杏の葉と青空だ。
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コンゴウインコ 背景の配色に気を配ったクローズアップ写真
撮影データ ISO400 f4 1/1000 0ev 270mm |
一羽では寂しかったので、2羽の相互グルーミングを撮ると、鮮やかさは一層際立った。
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コンゴウインコ 背景の配色に気を配ったクローズアップ写真 二羽
撮影データ ISO400 f6.3 1/160 0.33ev 405m |
時は秋、紅葉の色も。
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スミレコンゴウインコ 背景の配色に気を配ったクローズアップ写真
撮影データ ISO400 f4 1/800 -0.67ev 277mm |
背景を単純化して被写体を引き立たせるには、背景に空を配置するのも最良の方法のひとつだ。
青空ならなお良い。背の高いキリンなら見上げて撮るだけでそんな状況になることも多い。
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マサイキリン 背景を空にすると抜けがよい写真になる
撮影データ ISO400 f10 1/1600 -0.67ev 165mm |
次の写真は空抜きではないが、背景が青く塗られていたので利用してみた。
空抜き同様の効果になった。
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フンボルトペンギン 背景に青を配置したクローズアップ写真
撮影データ ISO200 f4.5 1/800 -0.33ev 420mm |
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フンボルトペンギン 背景に青を配置したクローズアップ写真
撮影データ ISO200 f4.5 1/800 -0.33ev 420mm |
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被写体の特長を活かしたクローズアップ |
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身体に面白い特長を持ったトリや動物も多い。
それらをちょっと意識するだけでクローズアップ写真にもメッセージが出てくる。
例えばインコの類いも一様ではない。
キバタンは真っ白な中に後ろ髪だけ黄色いアクセントが美しい。
それを活かしたクローズアップを意識したい。
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キバタン 被写体の特長に合わせたクローズアップ
撮影データ ISO200 f4.5 1/1250 0ev 3000mm |
また、極彩色のベニコンゴウインコはそれだけで鮮やかなので、かわいい仕草を狙いたい。
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ベニコンゴウインコ 被写体の特長に合わせたクローズアップ
撮影データ ISO400 f4 1/320 0ev 310mm |
冬の動物園の朝、コブハクチョウが優雅に泳いでいた。
これはこれできれいだったが・・
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コブハクチョウ 全景 水面の波紋がキラキラ輝いて美しい
撮影データ ISO400 f5.6 1/1250 0ev 255mm |
岸辺にいたコブハクチョウが、背中に嘴を差し込んで、まだ眠っていた。
アップにしたら別の美しさが見えて来た。
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コブハクチョウ 被写体の特長に合わせたクローズアップ
撮影データ ISO400 f13 1/640 -0.67 330mm |
片目をつむってウインクするワシミミズクにも
両目をつむったシロフクロウの表情にもユーモアを感じてシャッターを切った。
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| ワシミミズク
撮影データ ISO800 f2.8 1/160 0ev 300mm |
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| シロフクロウ
撮影データ ISO1000 f3.2 1/350 -0.7ev 187mm |
次回も引き続きクローズアップ写真の魅力を紹介しよう。
>> NEXT 第7回 クローズアップ写真の魅力と撮影術 (2) 被写体の特徴をクローズアップ
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次週はクローズアップ写真の続編!!
顔や表情だけでなく、特徴的な身体の一部分を捉えることで、意外な世界が垣間見えるかも!?
お楽しみに。
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| 著者プロフィール |
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内山 晟
1941年生まれ。日本大学芸術学部放送学科時代に「白サギ」の写真家・田中徳太郎氏に師事し、動物写真家を志す。1968年、週刊朝日のグラビアページ「動物家族」でデビュー。1969年、ガラパゴス諸島を含む中南米に最初の海外取材を行う。その後、野生動物を追って、北極から南極まで世界中を歩き、年の大半を海外で過ごす。著書に「コウテイペンギンの国」(平凡社)、「のんびりコアラ」(青菁社)、「毎日おいしい男の料理」(中経出版)、「内山晟の五大陸どうぶつ写遊録」(講談社)、ほか多数。
> ホームページ （株）内山晟動物写真事務所 |
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