私にとって、室内でとるペットはイヌよりもネコの方が多いかと思われる。
というのは室内犬以外、イヌは屋外で撮りたいと思っているからだ。
室内犬の定義はないが、ここではチワワのような超小型犬としておこう。
ネコは部屋の中でも立体的に行動するし、イヌと比較しておっとりした性格が多いので、撮影場所に設定できるところが多い。例えば、イヌをテーブルや本棚、窓辺に置いて撮るというイメージはわかないと思うが、ネコなら実に絵になるのである。
そこで、今回はネコの話を中心に話してみよう。
とはいえ、被写体がネコであってもイヌであっても、室内で撮る際はまず、可能な限りのあらゆる撮影場所を考えてみよう。
写真にとってなにより重要なのは光だ。それはペット写真とて同じこと。
光と言えば窓際が思い浮かぶ。窓際はペット撮影を学ぶ上で最適な場所なのだ。
窓際で撮影する際、窓は開けないようにする。窓を開けて撮るとしたら、気をつけないとペットが外に逃げ出してしまう恐れがあるし、特に仔猫だったら転げ落ちてしまう危険性もあるからだ。
さて、実は窓際での撮影は簡単ではない。ある程度のテクニックが必要だが、それゆえに撮影を学ぶには最適なのだ。まず、考えなければならないのが露出である。窓の外は明るいので、カメラは自動的に明るい外に露出を自動的に合わせようとする。その結果、被写体が暗くなってしまうのだ。
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撮影データ ISO100 f4.8 1/90 0ev 157mm 外光に自動露出が合って、ペットが暗くなった |
解決方法は3つある。
ひとつはストロボを使うこと。
この時、ガラスにストロボの光が反射しないようにしなければならない。もし外付けのストロボを使うならば、天井に向けてバウンスさせると光も柔らかくなって良いだろう(ストロボを天井に向けて発光させ、天井に反射した弱い光を使う手法)。カメラ内蔵のストロボだったら発光部にガーゼや薄いハトロン紙のようなものを貼り付け、光を適度に弱めたり拡散すると良い。コンパクトカメラのように発光部とレンズが近いと赤目現象(被写体の目が赤く写る現象)が起きてしまう。赤目防止機能を起動させるか、発光部にハトロン紙を貼って回避しよう。
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撮影データ ISO100 f5 1/100 0ev 157mm ストロボ使用 |
もうひとつはISO感度を上げた上に、露出補正をプラスにして撮る方法だ。コンパクトデジカメの場合は、露出をマニュアル(手動)で設定できる機種は少ないが、一眼レフなら可能だ。露出補正の方法は機種によって異なるが、露出補正をプラスにすると写真が明るくなり、暗くなった被写体を明るく写すことができる。プラスにする度合いはカメラのモニターで見て決めよう。
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撮影データ IS01250 f3.5 1/3200 +0.67ev 120mm ストロボ未使用(ISO感度の設定を上げて、プラス露出に設定して撮影) |
日差しが入って来るところだったらその日溜まりで外光を利用して撮る。
しかし背景の光が強かったので露出補正はプラスにした。
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撮影データ ISO1250 f2.8 1/1600 +1ev 155mm ストロボ未使用 |
3つめはストロボの代わりに銀レフを使って、被写体に光を当てることだ。
銀レフとは光の反射板のことで、外光を反射させて、被写体に当てることで、ペットを明るく写すことができる。銀レフといっても本格的な銀レフなど準備しなくても、光を反射する近くにあるもので代用することができる。例えば、カレンダーの裏でもいいし、発泡スチロールでも良い。厚手の紙にクッキングホイルを揉んでしわをよせたものを貼付けたものでも充分なのだ。
陽の当たる縁側でペットに露出を合わせて撮る。
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撮影データ ISO320 f4 1/1600 0.33ev 155mm |
窓の近くの縁側で 2匹の猫がじゃれて遊び出したのであわててレンズを向けたのだが、動きに夢中でシャッターを切ったものの・・・
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撮影データ ISO200 f6.3 1/640 0ev 102mm 失敗写真の例 |
周りに神経が行き届かず、ガラスの汚れがはっきりと写ってしまった。それにプログラムシャッターにセットしてあったので絞りを開けるのを忘れてしまったようだ。絞りを開けると背景がぼけて、ガラスの汚れも目立たなくなるのだ。
そこで絞りを開けて、ガラスの汚れが写らない角度で狙った時には、猫たちの激しい遊びは終わってしまっていた。チャンスは2度と来ないのだ。
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撮影データ ISO400 f2.8 1/320 0.67ev 155mm |
直射日光が強い時には、レースのカーテンを利用すると光が柔らかになる。
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撮影データ ISO2000 f2.8 1/8000 0.67ev 140mm |
カーテンの陰から覗く
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撮影データ ISO100 f4 1/1800 0ev 180mm |
後ろ姿に哀愁を感じる?
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撮影データ ISO250 f5 1/60 0ev 165mm ストロボ使用 |
カーテンも小道具のひとつだが、他の小道具もいろいろ考えてみよう。小道具を用意することもあるが、そこにあったものを利用する手もある。 |