5月上旬の天気は安定し穏やかで過ごし易かった。
プロヴァンスといえばラベンダーが有名だったが、猫がラベンダー畑に現れるとは思わなかったし、その上、村のひっそりとした路地裏に観光客が溢れていて猫どころではないと思われたから、ラベンダーの季節を外したのだった。それに夏の暑いさなかに、猫が外に出て来るとは考えられなかったからでもある。
その猫たちを狙うとなると、朝8時に宿を出て夕方7時ごろ帰館するという毎日だった。村と村が近いところでは、1日に5カ所も訪れることもあったし、午前中見つからなくても午後に行けば出会えることもあった。
永年の経験から猫が多くいて、背景の美しいところは判っていたので、同じ村を何度も訪れた。
撮影の合間に、いずれかの村でマルシェと呼ばれる市が開催されていたのも楽しみのひとつだった。
マルシェには日雑貨やワインやチーズ、野菜などの食料品、ラベンダーなどのハーブやお土産品なども売っていたので、気分転換にはもってこいだった。
しかし、マルシェの中に猫がいないとは限ってなかったので、目は四方八方に巡らせていた。
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Lourmarinのマルシェにて
撮影データ ISO200 f5 1/160 20mm |
プロヴァンスで猫の写真を撮るということは、野生動物を撮るのとはまるっきり違っていた。
野生動物を撮る時には被写体に対して好戦的な気持ちになることもあった。ねじ伏せなければ、野生動物の気迫に負けてしまうこともあったからだ。勿論、母子や子供を撮る時には、優しい気持ちでシャッターを切ることもあったが。
ここでは、あくまでも穏やかなゆったりした気持ちでレンズを向けた。
そうしないと猫は逃げて行ってしまうからだ。
正に「猫なで声」で話しかけると喉をゴロゴロ鳴らし擦り寄って来る猫もいた。
余りにも近過ぎて、ピントが合わないこともあった。
ただ単にネコを撮っていては、プロヴァンスかどこか判らないので、プロヴァンスの雰囲気を出すためには、背景にも気を使った。特に、ドアや窓にブルーを使っているのが特徴だったから、画面の中に取り込むように心掛けたのである。
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Castellet
撮影データ ISO250 f5 1/1600 80mm |
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Cignac
撮影データ ISO200 f2.8 1/160 102mm |
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Cignac
撮影データ ISO200 f2.8 1/160 110mm |
その上窓に植木鉢が多かったから、もちろんそれも撮り込んだ。
ワイドで狙っていたら、ごろりと横になり優しい眼差しで私を魅了してくれた。
こんな美形の猫は珍しかった。
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Bonnieuxにて
撮影データ ISO1250 f10 1/400 52mm |
郵便受けまでプロバンスカラーに塗られていた。
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Saignon
撮影データ ISO400 f2.8 1/250 150mm |
勿論、プロヴァンスらしい雰囲気ところを探し、猫がいればどこでも撮影した。
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Lourmarinの水飲み場で
撮影データ ISO200 f3.5 1/500 80mm |
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Granboisの郵便局の前で
撮影データ ISO200 f2.8 1/2000 80mm |
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Lacosteの路地裏にて
撮影データ ISO320 f2.8 1/1000 30mm |
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St. Satiurnin Les Aptのスーパーの前で
撮影データ ISO200 f7.1 1/800 30mm |
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Cibnacの農家の石塀の上で
撮影データ ISO200 f2.8 1/2000 125mm |
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Banonの街を見下ろす城壁の上で
撮影データ ISO250 f5.6 1/2000 86mm |
でも、こんなに都合良く格好の場所に猫たちがいた訳ではない。
日本語を解さないフランスの猫たちを自由に扱う秘密は・・・・・
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