| 変わらない場所もある。
 SaignonやCucuronの家は、猫の入れ替わりこそあるものの、いつ行っても必ず数匹の猫が窓辺や庭にたむろしている。
 Bonnieux, Oppedetteの村に行けば、たくさんの猫に必ず会えた。Lacosteでは、飼い主と顔見知りとなり、その場に猫がいなければ飼い猫の行方を探しまわってくれた。
 たくさんの好きな猫に出会えたから、毎日が楽しくてならなかった。特に、以前に来た時に撮った猫と再会した時は、昔の光景が甦って興奮したものだ。「初恋の人に再会した」ようだとは少々オーバーか。 
                                
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                                  | 撮影データ ISO200 f4.5 1/90 24mm 2008年5月5日撮影 |  2008年に行った時に出会ったこの子は、この窓辺に置かれた餌を食べ、路地裏を縄張りにしていたが、2011年に訪れた時には縄張りを拡大したのか広い道路を隔てた家にも出没していた。 
                                
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                                  | Mursにて 撮影データ ISO200 f3.5 1/800 -1/3ev 140mm 2011年5月1日撮影
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 この猫はLacosteの中腹にある家に飼われているのだ。いつ来ても、この辺りにいるが、見付からないと、飼い主が察して探し出してくれるのだった。家の中にいることもあるし、少々遠征していることもあった。フランス語の判らない者と日本語の判らない者とが笑顔で語り合っているのである。 
                                
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                                  | 撮影データ ISO100 f6.7 1/350 127mm 2008年5月1日撮影 |  遠くに見えるのはBonnieuxの村だ。 
                                
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                                  | 撮影データ ISO200 f10 1/400 80mm 2011年5月6日撮影 |  
 そのBonnieuxでいつも出会う猫、とても人懐っこくて声を掛けるとすり寄って来てくれるのだ。私のお気に入りの猫の一匹である。
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO800 f3.5 1/500 70mm 2008年5月1日撮影 |  
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO400 f2.8 1/250 90mm 2011年5月1日撮影 |  
 同じBonnieuxでも丘の麓に行くと、別の顔なじみの猫がいた。今回も見た途端「あの娘だ〜」と4年前のこの猫との出会いを思い出した。
 声を掛けながら頭をなでてやったら「ごろにゃ〜ん」と、はしたないほどに身悶えして甘えてきた猫だったのだ。
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO200 f5.6 1/1250 70mm 2008年5月7日撮影 |  
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO1600 f2.8 1/2000 110mm 2011年5月1日撮影 |  
 甘えるという点では、Reillanneで出会ったこの猫は誰にもひけはとらなかった。撮影中、恥ずかしいほどの媚態を晒し、まともな写真が全く撮れなかったほどだった。
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO200 f3.5 1/750 24mm 2008年5月3日撮影 |  しかし、今度出会ったら別人のように私に関心を示してくれなかった。焼け木杭に火は点かなかったのだ。
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO400 f2.8 1/800 116mm 2011年5月5日撮影 |  
 再会はしたものの、懐かしさよりも「百年の恋も覚めた」としか言いようもない気持ちになることもあった。Villarsでは、そんな猫が二匹もいたのだった。 
                                
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                                  | 撮影データ ISO200 f4.5 1/800 140mm 2008年5月4日撮影 |  
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO400 f2.8 1/1250 110mm 2011年5月2日撮影 |  
 同じVillarsの同じ地域にいた猫だが、毛艶はなくなりでっぷりと太っていたのだ。3年の歳月というのは残酷なものだと思った。
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO400 f2.8 1/800 150mm 2008年5月4日撮影 |  
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO200 f4.5 1/800 -1/3ev 105mm 2011年5月2日撮影 |  
 この猫は「プロヴァンスの猫たち」のVol.01で「猫と戯れる老婆」というタイトルがついた写真のモデルだ。今回、飼い主にはお目にかかれなかったが、健在だと思う。
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO200 f4.5 1/800 105mm 2008年5月4日撮影 |  
 
                                
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                                  | 撮影データ ISO400 f7.1 1/200 262mm 20011年5月2日撮影 |  
 Cucuronのこの家はいつ行っても窓辺に猫がいる猫屋敷?として知られていて、猫の写真を撮るために観光客がよく集まるところだ。 実はこの光景・・窓枠の色もカーテンも猫も変わっていない。変わっていたのは植木鉢だけだった。
 
  
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    | 撮影データ ISO200 f4.5 1/500 150mm 2008年5月1日撮影 |  
 
  
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    | 撮影データ ISO200 f3.5 1/125 155mm 2011年5月3日撮影 |  2005年に同じ場所で撮ったのがこの写真、植木鉢は無いが、窓枠もカーテンも全く変わっていなかったのだ。 
  
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    | 撮影データ ISO100 f4.5 1/320 105mm 2005年5月7日撮影 |  こうして見ると、プロヴァンスで、1995年から猫を撮ってきたが、同じ舞台で演じる役者が変わらないこともあることが判ってきた。新しい役者ばかりでないところが、面白いのかもしれない。 そうそう、前回予告した猫を操る方法だが、最終回までお預けということにさせて貰うことにした。手の内を曝け出すのは最後に、と言うことなのである。 > 第4回 猫を撮影場所にお誘いする方法 
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