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第1回 ペットを撮る ペット撮影の基礎知識 |
2012/05/16 |
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「こいぬ」「こねこ」のカレンダー撮影で知られる動物写真家の内山晟先生が、ペット写真の撮り方とコツを初歩から解説します。第1回は基本的な撮影のポイントと器材選び、そしてペット撮影のはじめの一歩をお届けします。(編集部) |
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ペット写真の撮影のポイントと注意点 |
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ペットにもいろいろあって、犬、猫から始まるほ乳類、鳥類、魚類、は虫類、両生類、昆虫と様々なものがいる。しかし、この講座では一般的なペットである犬猫の撮影を対象に話しを進めてみたい。
ペットはコンパニオンとも云われ、一家の家族と同じ地位を得ているものが多いのではないかと思う。となると、正に言葉の判らない自分の子供を撮るつもりでカメラを向けることが大切だ。
「動かないで」「じっとしていなさい」「こっち向いて、あっち向いて」「ハイ、チーズ」などと言っても聴くはずはない。ただ、何時も一緒にいるペットだから、ある程度の言葉で指示したり、飼い主にしか見せないステキな表情や動き、愛らしい仕草が撮れるというものである。
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撮影データ ISO100 f4.5 1/640 247mm |
私事を言えば、私はペットを飼っていない。かつて若い頃、犬、猫、シマリス、カナリア、セキセイインコ、熱帯魚などを飼っていたが、彼らを撮ったことはあまりない。
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撮影データ ISO200 f4.55 1/60 50mm |
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撮影データ ISO100 f16 1/250 153mm ストロボ使用 |
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撮影データ ISO640 f5 1/1600 200mm |
しかし、この 10 数年、カレンダー制作のために子犬、子猫を撮り続けている。
それこそ、会った時から彼らを自分のペットのつもりでレンズを向けるのだ。彼らが私に気を許してくれなくては可愛くは撮れないからだ。ただシャッターを切るだけではなく、お互いに気を許し合い信頼し合わなければ、良い作品は生まれないということである。
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ペットの特徴を捉える |
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犬と猫で違うのは当たり前だが、同じ犬でも小型犬、中型犬、大型犬でも違ってくる。性格が違うのだ。
■小型犬の場合
チワワなどの小型犬はどちらかと言うとオドオドして、ちょっと広い場所に連れて行くとしっぽを丸めて怯える表情が現れることがある。犬でも猫でもそうだが、怯えは目にも耳にも現れて来る。怯えた表情のペットの写真は見ていて心が寒くなるので、自宅ではない場所で撮影するときは、慣れるまでじっくり待つことも大切だ。
■大型犬の場合
ゴールデンレトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどの大型犬は物怖じすることは少ない。広い所に出してもおっとりしているので、例え走っていても楽に追うことが出来るのだ。
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撮影データ ISO100 f4.5 1/200 112mm |
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どこで撮るか、どんな写真を撮りたいかを考える |
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屋内で撮るか屋外で撮るかをまず決める。屋内ではいつもの仕草や表情が撮れる利点があるし、小道具などを使って撮るのも面白い。屋外ではノビノビとした動きや背景を考えた写真が撮れる。
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撮影データ ISO1250 f2.8 1/500 202mm
屋内撮影の例。小型犬はちょこまか動いてじっとしていないので、このようの帽子などに入れてしまえば良いのだ。 |
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撮影データ ISO200 f6.3 1/160 153mm
屋外撮影の例。屋外で撮る時でも、花の中にいれると落ち着くのか余り走り回らなくなるのだ。 |
屋外で撮る場合にはいろいろな注意点がある。
産まれて1度も外に出たことがないペットの場合は、怯えまくってモデルにはならない。もっとも適応力のあるものもいない訳ではないが、気の小さなものはいくら待っても屋外の雰囲気に慣れない固体もいる。特に猫は怯えて逃げたら、どこに隠れ、潜ってしまうかも知れないし、車道に飛び出し交通事故に遭うかも知れないから、要注意である。
また撮影時に犬のリードをとって撮影する時など、遠くに逃げないようにすることも肝心だ。こうしたことに気を揉んでいると写真撮影に集中できず、結果として良い作品にはならないことが多い。
不自然な演出はご法度だ。
猫は木の上でも棚の上でも撮ってもおかしくないが、犬が木の上にいたらおかしいように高低も考えなければならないだろう。
子犬や子猫の場合は可愛く撮りたい。また、モデルの犬種にもよるが、凛々しい表情、猛々しい表情、リラックスした表情やアクビ姿など、日頃の生活を見ていて撮影者が最も気に入っている愛するペットの様子を写真に収めることを目指して撮ると面白いにちがいない。
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デジタルカメラの機材、どんな写真にはどんな機材が最適か |
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カメラにはコンパクトデジタルカメラ(コンパクトデジカメ)、ミラーレス一眼、一眼レフの 3 種類ある。
動かない被写体を撮るのならどんなカメラでも同じだろうが、動きのあるペットを撮るには一眼レフに勝るものはない。コンパクトデジカメはシャッターのタイムラグ(シャッタボタンを押してから写るまでの時間)があり、動き回っているものをモニターで見てとっさにシャッターを押しても、体半分しか写ってないなんて失敗も多いのだ。
ミラーレス一眼では、ファインダーが付いているものでも、それは電子ファインダーなので僅かだがタイムラグが生じるので決定的な瞬間を撮るのには向いていない。また、オートフォーカス機能が比較的遅いため、同様にここぞというシャッターチャンスを逃してしまうだろう。
という理由で、これから器材を揃えたい人には、一眼レフをお勧めしたい。
レンズ交換できるのも一眼レフの強みだが、55〜70mmが一般的で、70〜200mm程度のレンズもお勧めである。特に後者は背景をぼかしたズーム写真を撮りたい場合に最適だ。
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撮影データ ISO1250 f10 1/1600 170mm |
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撮影データ ISO200 f7.1 1/500 270mm |
室内で撮る時にストロボが必須と考えている人がいるが、なくてはならないというものでもないし、やみくもに光らせると失敗写真になることも多い。
デジタルカメラの場合、ISO感度の設定数値を上げればストロボなしでも撮れる場合が多い。目に光(キャッチアイ)を入れたいときにストロボを使うことがあるが、そのときは赤目になってしまうから要注意である。
ストロボよりも小さなレフ板(銀レフなど)があると重宝する場合が多い。
レフ板は光を反射させる道具でカメラ店などで市販されている。しかし、本格的なものを買わなくても、白い発泡スチロール板や白い厚紙などで充分である。(次回以降、屋内写真の撮り方の回で詳しく解説するので乞うご期待)
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撮影データ ISO320 f8 1/250 200mm ギンレフ使用 |
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まずはペット目線の高さでシャッターを切ろう |
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機材が揃ったら、自分のペットにレンズを向けて撮ってみよう。
見下ろしてカメラを構えるのではなく、子供の写真を撮るのと同じくペットの目線で撮ることを心掛けたいものだ。ペットによっては上から見下ろすと嫌がるものもいるし、ペットの目線の高さで撮ると構図が決まって見えるのだ。これがはじめの一歩だ。
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見下ろすアングルの写真 撮影データ ISO2000 f3.2 1/100 110mm |
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撮影データ ISO640 f4.5 1/60 123mm
部屋の中の籠にいれ、背景にチューリップを配して、モデルの目線で撮ってみた。 |
最初は眠っている姿を撮って練習するのもお勧めだ。
眠っている姿と言ってもいろんな構図があるのでいろいろと工夫してみると面白いだろう。
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撮影データ ISO1000 f4.5 1/500 175mm |
この講座では、屋外でのペット写真撮影、屋内でのペット写真撮影、走るペットの撮影、露出補正や絞りを調整したペット撮影テクニックなどを解説するのでお楽しみに。
そうそう、できればペット撮影には助手がいると良いだろう。助手と言っても気の合った家族で十分、ペットの気を引いたり、表情を引き出すのにきっと役立つのである。
> 第2回 屋外でのペット撮影 基本とポイント |
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著者プロフィール |
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内山 晟
1941年生まれ。日本大学芸術学部放送学科時代に「白サギ」の写真家・田中徳太郎氏に師事し、動物写真家を志す。1968年、週刊朝日のグラビアページ「動物家族」でデビュー。1969年、ガラパゴス諸島を含む中南米に最初の海外取材を行う。その後、野生動物を追って、北極から南極まで世界中を歩き、年の大半を海外で過ごす。著書に「コウテイペンギンの国」(平凡社)、「のんびりコアラ」(青菁社)、「毎日おいしい男の料理」(中経出版)、「内山晟の五大陸どうぶつ写遊録」(講談社)、ほか多数。
> ホームページ (株)内山晟動物写真事務所 |
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