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動物写真 撮影テクニック講座
内山晟の「動物写真・撮影テクニック講座」 特別寄稿
ケニア・フォトサファリ 2012 撮影レポート(その1) サバンナの野鳥たち 2012/12/26
 
内山晟の 動物写真・撮影テクニック講座

動物写真家、内山晟先生のフォトサファリ、現地レポートが今年も届きました。今回はサバンナに暮らす野生の鳥たちが主役。名前の由来を交えながらたくさんの写真で紹介します。また、ボート上から撮ったワシが獲物を捕獲するシーンは息を飲む瞬間を連写でご紹介、要チェックですよ!!(編集部)

本文 Photo & Text by 内山晟
  フォトサファリの準備 このページのトップへ  


ここ数年、毎年恒例となっているケニアツアーから帰ってきた。
広大なサバンナの中で動物を追っての旅、カメラサファリをしてきたのである。

アフリカへ行けばどこにでも動物がいるという訳ではなく、国立公園や動物保護区の中で野生動物との出会いを写真に撮るのだ。そのための手段としてサファリカーと称する車で移動する。ワンボックスカーや四輪駆動の車が一般的だ。車の屋根は開閉式になっていて、そこからも写真が撮れるのだ。

サバンナでの撮影車

また、湖などではボートサファリと称してボートの上から写真を撮ることもある。

ボートサファリ

サファリというと、一般的にはゾウ、キリンやシマウマ、肉食獣のライオン、チーターが主役と思われがちだが、サバンナは鳥の宝庫でもある。
大はダチョウから、小は小指大のタイヨウチョウ(太陽鳥)まで楽しめるのだ。
車の中から撮る分には鳥たちはあまり恐れないので近寄ることができる。

今回のツアーの機材はニコンD3、D4 と D300、レンズは Nikor70〜200mm、300mm、500mmに 1.4 のテレコンバーターを使った。
APSサイズの D300 に 1.4 のテレコンバーターと 500mm を組み合わせれば(500x1.5x1.4)1050mm 換算になり、鳥を撮るには十分だ。

 

  草原にいる野鳥たち このページのトップへ  


ダチョウのペアに出会った。
足下を見ると小さなひながたくさんいた。

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ダチョウ  撮影データ ISO400 f9 1/320 0ev 116mm

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ダチョウのヒナ  撮影データ ISO400 f6,3 1/640 0ev 500mm

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ダチョウのヒナ  撮影データ ISO400 f4 1/400 0ev 500mm

500mm で覗いてみると、可愛らしいったらありゃしないと顔がほころんだ。

ダチョウと同じように、もっぱら地面を歩いて獲物を探す鳥がいる。

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ヘビクイワシ 撮影データ ISO400 f13 1/160 0ev 280mm

その名はヘビクイワシ。
パッチやスパッツというと少々古いと言われるが、今風に言うと「レギンス」を履いたような長い足が特徴的だ。ヘビを押さえ込み食べるというが未だ捕食シーンは見たことはない。

ミナミジサイチョウも同じように歩き回っている。
サイチョウとはくちばしの大きな鳥で、くちばしの上に犀(さい)のような突起があるのでサイチョウ。
多くは樹上で生活するが、この鳥は地面にいることが多いので「地」サイチョウ。

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ジサイチョウ 撮影データ ISO640 f4.5 1/800 -1ev 500mm

雄は顔と喉の部分に赤い皮膚が露出している奇妙な鳥だ。

水辺に行くとクラハシコウがいる。

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クラハシコウ 撮影データ ISO400 f4 1/2500 0ev 280mm

名前の由来はくちばしの黄色い部分が馬の鞍に似ているのでクラハシのコウノトリで「クラハシコウ」。

鳥の名前なんて単純なもので、頭が禿げているコウノトリで「ハゲコウ」。

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ハゲコウ 撮影データ ISO400 f4 1/1250 0.67ev 750mm

同じ禿でも喉のところに毛がなければ「ハゲノドシャコ」。
喉が禿げているシャコの仲間のことだ。
私が名前を付けるとしたら、喉が黄色いから「キノドシャコ」とでも付けたろうに。

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ハゲノドシャコ 撮影データ ISO800 f5.6 1/2000 0ev 500mm

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クロハラチュウノガン 撮影データ ISO400 f4 1/640 0ev 500mm

腹が黒ければクロハラチュウノガン、
ハラグロチュウノガンでなくて良かった。

日本でも名の知れた鳥といえば、ホロホロチョウ。群れで駆け回っている。

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ホロホロチョウ 撮影データ ISO400 f4 1/1600 0ev 500mm

彼らの鳴き声のけたたましいこと。
サバンナ中に響き渡るほどだ。

同じ仲間でちょっとしゃれたのが胸に房があるフサホロホロだ。
ケニアでは北の方でしか見られない。

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フサホロホロ 撮影データ ISO400 f8 1/400 0ev 300mm

 

  樹上の野鳥たち このページのトップへ  


目を木の上に転じると、嘴の赤いアカハシコサイチョウがいれば、嘴の黄色いキバシコサイチョウもいる。

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アカハシコサイチョウ 撮影データ ISO400 f4 1/640 0ev 500mm

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キバシコサイチョウ 撮影データ ISO400 f9 1/320 0.67ev 165mm

このキバシコサイチョウは、毎日「遊ぼう」とばかりに私の部屋の窓ガラスを叩きにやって来るのだった。

サイチョウといえばハイイロサイチョウという地味な鳥もいる。

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ハイイロサイチョウ 撮影データISO400 f4 1/4000 0.67ev 750mm

そうそう、赤だ黄色といえばこんな鳥もいる。
いずれも草食獣の外部寄生虫を食べる鳥だが、キツツキではなくウシツツキ。
そして、嘴(くちばし)が赤ければアカハシウシツツキ。

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アカハシウシツツキ 撮影データ ISO400 f6.3 1/640 0ev 600mm

黄色ければキバシウシツツキ…

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キバシウシツツキ 撮影データ ISO200 f10 1/400 -0.33ev 750mm

テリムクドリという名の鳥は一般的だ。
金属光沢の羽を持って照り輝くムクドリの仲間なので、「テリムクドリ」の名がついた。

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テリムクドリ 撮影データ ISO400 f13 1/640 0ev 750mm

これで胸に白い輪があるとツキノワテリムク、
「ツキノワグマ」と同じ発想

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ツキノワテリムク 撮影データ ISO400 f11 1/500 0ev 500mm

これで胸が黄色で尾が長ければ、キムネオナガテリムク…

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キムネオナガテリムク 撮影データ ISO200 f5 1/1000 0ev 750mm

蜂を好んで食べるところから「蜂食い」、その仲間で一番小さいという意味で「姫」、そこで付いた名が「ヒメハチクイ」。
私の好きな鳥の一種だ。

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ヒメハチクイ 撮影データ ISO800 f4 1/500 0ev 750mm

日本では珍鳥とされる「ヤツガシラ」
冠毛が八つあるから「八頭」とは…。

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ヤツガシラ 撮影データ ISO400 f8 1/640 0ev 750mm

葦などの葉を細く切り裂いて、機を織るように巣を作るのでハタオリドリ…

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ズグロウロコハタオリ 撮影データ ISO400 f4 1/800 0ev 420mm

このくらいの巣なら一日もあれば・・・

そしてメスを待つ。

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ズグロウロコハタオリ 撮影データISO400 f4 1/640 0ev 420mm

 

  ワシ・タカの仲間 このページのトップへ  


鳶(とび)の仲間で肩が黒いので「カタグロトビ」。
なんて安易な名前の付け方よ。

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カタグロトビ 撮影データ ISO400 f8 1/400 -1.33ev 750mm

コシジロウタオオタカとは漢字で書くと「腰白歌大鷹」。
何故「歌」と言われるかというと、英名で 「chanting Goshawk」、つまりchant(詠唱、さえずり等の意)からきている。

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コシジロウタオオタカ 撮影データ ISO800 f5.6 1/2000 0ev 500mm

ソウゲンワシは「草原にすむ鷲」。
余りにも単純、明快。

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ソウゲンワシ 撮影データ ISO400 f4 1/4000 0ev 750mm

サバンナで最大の鷲の名は「ゴマバラワシ」。
とくと写真をご覧ください。

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ゴマバラワシ
撮影データ ISO800 f5.6 1/800 0.67ev 270mm

そうそう、ボートサファリで撮った鳥はサンショクウミワシ。
白、黒、茶色に彩られた、魚を捕る鷲でした。

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サンショクウミワシ 撮影データ ISO800 f4 1/6400 0ev 280mm

サバンナの野鳥たち…いかがでしたか?
次回はアフリカゾウにフォーカスしようと思っています。
お楽しみに。

> その2. 「アフリカゾウの大行進」を読む


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【動物園での写真撮影テクニック】
第1回 誰でも撮れる動物写真の魅力とポイント
第2回 動物園での撮影の基本 〜オリの消し方と背景をボカすテクニック
第3回 動物園での撮影の基本 〜背景の処理とガラス越しの撮り方
第4回 露出補正で動物写真がグッと魅力的に
第5回 高速シャッター撮影と流し撮り
第6回 クローズアップ写真の魅力と撮影術 (1) 表情のクローズアップ
第7回 クローズアップ写真の魅力と撮影術 (2) 被写体の特徴をクローズアップ
【特別企画 ケニア・フォトサファリ 2011 現地レポート】
第1回 特別企画 ケニア・フォトサファリ 2011 現地レポート(1) 野生動物の世界
第2回 特別企画 ケニア・フォトサファリ 2011 現地レポート(2) ライオンのプライド
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第1回 プロヴァンスの猫たちとの出会い
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第4回 猫を撮影場所に誘導する方法
【ペット写真の撮り方】
第1回 ペットを撮る 撮影の基礎知識
第2回 屋外でのペット撮影 基本とポイント
第3回 屋内でのペット写真撮影 〜窓際の撮影と小道具の活用〜
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第5回 走るペット・動くペットを撮る (2) 連続撮影「連写」のテクニックとポイント
第6回 アップで撮った癒しのペット写真集
第7回 ペット撮影テクニック総集編 (野外撮影例/ストロボ撮影例/旅行先で撮影例/複数ペットの撮影例)
【特別企画 ケニア・フォトサファリ 2012 撮影レポート】
第1回 特別企画 ケニア・フォトサファリ 2012 撮影レポート(1) サバンナの野鳥たち
第2回 特別企画 ケニア・フォトサファリ 2012 撮影レポート(2) アフリカゾウの大行進
目次


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著者プロフィール
内山晟 :photo 内山 晟
1941年生まれ。日本大学芸術学部放送学科時代に「白サギ」の写真家・田中徳太郎氏に師事し、動物写真家を志す。1968年、週刊朝日のグラビアページ「動物家族」でデビュー。1969年、ガラパゴス諸島を含む中南米に最初の海外取材を行う。その後、野生動物を追って、北極から南極まで世界中を歩き、年の大半を海外で過ごす。著書に「コウテイペンギンの国」(平凡社)、「のんびりコアラ」(青菁社)、「毎日おいしい男の料理」(中経出版)、「内山晟の五大陸どうぶつ写遊録」(講談社)、ほか多数。
> ホームページ (株)内山晟動物写真事務所

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初出:2012/12/26
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