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第32回 カラーヒストグラムとカラー補正術
色かぶり写真のカラー補正術 2008/07/07
 
1.写真におけるカラーバランスがもたらす印象の違い
2.クイック編集モードでかんたんカラー補正
3.蛍光灯の影響を受けた"悪い写真"の例

この講座でも何度か登場していますが、写真撮影において「色」に対する理解、その調整術はとても難しいテーマのひとつですね。 それは「色」には正解がないからかもしれません。
※この講座ではPhotoshop ElementsのバージョンはPhotoshop Elements6を使用しています。

カラーバランスと色かぶりの基本を研究しましょう。カラーヒストグラム、カラー補正などの機能を使います。

 
1.写真におけるカラーバランスがもたらす印象の違い
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写真A クリックで拡大
写真A
写真B クリックで拡大

写真B

 
例えば、静物でも人物でも景色でも、何台かのカメラでパチリと撮り比べたら、色合いが大きく異なることはみなさんもうご存じのことと思います。

カメラ雑誌には頻繁に撮り比べレビューなどが掲載され、ニコンらしい色、とか、キヤノンの色作りが出ているなんて表現されたりします。 こうしたことからも、「色」には正解や、ただひとつの真実、というものがないことが伺えます。

色は、光の量、光源の色、撮影した機種など様々な要素の影響をうけて、一枚の写真として表現されています。それらの要素が異なると、また異なった色味で表現されます。

ヒトが写真の善し悪しを決めるのに、色味はとても重要な要素です。商品の写真を撮ったり、景色を撮ってヒトにPRしたい、と思ったら、写真をよりきれいに見せたい、という気持ちもより大きくなります。

ところで、写真からは、楽しい、哀しい、辛い、寒い、などいろいろな印象を感じることがありますが、その印象を決めるのに色味ももちろん重要な役割を果たしています。特に、暖かい、寒い、健康的、汚いといったものから、撮影した時間まで感じ取っていたりもします。

例えば、右の写真Aを見てどんなことを感じるでしょうか。

一方で、右の写真Bを見るとどうでしょうか。

そうですねぇ。モデルは同じ、服装は同じ、
背景が違いますね・・

え?
表情がなんとなく暗くて哀しい・・
表情からは悲しさやけだるさを感じるかもしれませんが、色についてはどうでしょうか?

写真Aは「朝」撮った写真、写真Bは「夕方」に撮った写真だろうと感じませんか?

カラーヒストグラム

画像C 写真Aのカラーヒストグラム。赤と緑が強く、赤黄がかった傾向の写真であることがわかります。

画像D 写真Bのカラーヒストグラム。バランスがいいのですが、青みが目立つ写真であることがカラーヒストグラムからも解ります。

画像E Photoshop Elements 6のカラーヒストグラムを表示するには、「標準モード(スタンダード編集)」で、メニューバーの「ウィンドウ」→「ヒストグラム」を選択します。

画像F ヒストグラムのウインドウ(パレット)が表示したら、「チャンネル」をクリックし、「カラー」を選択します。自分で撮ったいろいろな写真のカラーヒストグラムを見てみましょう。楽しいですよ。

 

実際はそれぞれ「朝」「夕」、そうでもないんですが、何がそう印象づけさせるのでしょうか。

ヒストグラムに回答のヒントがあるでしょうか。

両方の写真のカラーヒストグラムを表示して確認みましょう(画像C/画像D)。

で、写真の露出や明るさを数値で判別するには輝度のヒストグラムが役立つのですが、ここで紹介しているカラーヒストグラムはRGB「R:赤、G:緑、B:青」それぞれの色情報の明るさを分布と傾向で見ることができます。右にたくさんある色が明るい部分で多く使われている色です。

ヒストグラムを見ると具体的に解りますが、写真Aは明るい部分に赤と黄色(黄緑)が分布しています。黄色い塀の反射など、様々な理由で黄色の光源を受けている印象です。

一方、写真Bは色のバランスが良い写真ですが、ヒストグラムを見ると明るい部分に青が多いこと、背景の白い塀の影が青く見えることもあって強い青の印象を与えています。

ヒトの目とホワイトバランス

ヒトの目にはデジタルカメラで言う「ホワイトバランス」が備わっています。つまり、光源の影響「色かぶり」を受けても、自動的に脳はそれを判断し、色かぶりする前の色を判別することができます。

そんなこともあって、ヒトの感覚には、光は「夕方は赤黄(オレンジ)、朝は青」の記憶が刷り込まれています。

ちなみに、Photoshop Elements 6におけるカラーヒストグラムの表示方法は画像E〜で解説しています。

ヒストグラムとは?

写真撮影において、ヒストグラムは「露出」や「明るさ」を数値で理解するのにとても役立つツールであることはスタジオグラフィックスの様々なコーナーで解説してきましたね。

また、画像の劣化を数値でみることもできます。

例えば・・
■ヒストグラムとは?
  >> ヒストグラム入門
  >> レタッチとヒストグラム
  >> ヒストグラムと適正露出の関係

■画像の劣化をヒストグラムで
  確認する

  >> ヒストグラムで比較
    (レタッチとは自分だけの作品を
    創ること!)

■Photoshop CS におけるカラー
  ヒストグラムの例

  >> ヒストグラムパレット

2.クイック編集モードでかんたんカラー補正
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画像G Photoshop Elements 6 では、クイック補正で簡単に色かぶりや色味を補正することができます。もっとも簡単な方法はソフトウェア任せの「自動」補正です。

画像G クイック補正では簡単に色かぶりや色味を手動でも補正することができます。「カラー」覧のスライドバーをドラッグするとリアルタイムに色が変わっていきます。せっかくですので、手動でもチャレンジしてみましょう。

写真I Photoshop Elements 6で、写真Aをカラー補正して、赤みを抑えて本質の色味に近くしましたがどうですか。
(少し明るさを上げたいですね)

画像J 色補正前の写真Aと、赤黄みを抑えた写真Hを並べたところ。どちらの写真が良いと感じるかは、個人の好みによります。

写真K ふたつの写真のカラーバランスの比較。上が写真Aです。大きな違いは両側のキワで見ることができます。暗い情報が多い青を持ち上げて(A)、明るい情報が多い赤を抑えています(B)。

画像L 標準編集モードのカラーバリエーションの画面。メニューバーから「画質調整」→「カラー」→「カラーバリエーション」で表示します。Aで色の適用量を指定し、強くしたい、または弱くしたい色の指示(B)をクリックすると、上のプレビュー画面に反映されます。

画像M クイック補正で写真Bの赤みを強くした写真です。赤みを強く補正するとより健康的に見える場合があります。

 
そういえば、少し前に私がキヤノンのEOS 40Dの試写で、「千円札のデザインになった逆さ富士」の写真を撮りましたが、富士山を含めて周辺の景色は、朝の光を受けて青く幻想的な雰囲気を出していました(逆さ富士の写真のページ)。
逆さ富士の写真からも見て取れるようにに、朝の光は実際に青いことが解ります。

こうしたことから、この2つの写真がそれぞれ夕方と朝方に撮られたように錯覚するのでしょう。

Photoshop Elements 6 のクィック編集モードで「カラー」パレットの「自動」ボタンをクリックして調整したのが画像G、赤の感じを手動で抜いたのが画像Hです。

画像Hは、解りやすいように少しオーバーに手動でカラー補正してみました。印象が変わって、日中に撮影したような色合いになったのが解ると思います。
また、ヒトは「赤黄は暖かい、青は冷たい」という印象がありますね。暖炉の光は赤黄、冷凍室の中は青、といった感じです。
写真Gは赤黄から青いカラー系統にシフトさせていますので、写真Aと比べると暖かみは薄れたことが解ると思います。
画像Hは少しオーバーな補正なので不自然に感じるかもしれません。肌の色も少し不健康に見え、せっかくのピンク色の肩掛けの色が薄れています。こうした視点で補正した色を確認しながら、自分の好みの色合いをみつけていくことも楽しみのひとつです。

ちなみにクィック編集モードでカラーヒストグラムを見ながら、カラー調整できると解説ももう少し具体的にできるのですが、ヒストグラム表示は標準モードですのでかないません。代わりといってはなんですが、右下にカラーヒストグラムの比較画面を掲載しました(画像K)。

このように写真はカラーバランスでいろいろと印象が変わります。


カラーバランスのコツをつかむ

「そうは言っても何色を調整すればいいのか解らない」という方も多いでしょう。デジタルカメラの液晶やパソコンの画面で見ている色は、RGBという3原色で構成されています。赤・緑・青ですね。たったこれだけです。「色」で言えば、結局はこの3つをどう調整するかがカラーパランスなのです。

標準モードに「カラーバリエーション」という機能があります(画像L)。プレビュー画面を見ながら「緑を強く」「赤を弱く」など、3原色を対話のようにクリックして調整する機能です。プレビュー画面が小さいので少し使いづらいところもありますが、3原色の変化でカラーバランスが変わっていくコツをつかむのには良い機能です。

カラーバランスの「補色」という特質も学べます。補色は反対色とも呼び、2つの色を混ぜ合わせると無彩色になる関係にある色のことです。

なお、この機能ではワンクリックでとれだけ大きく変化させるかをスライドバーで調整します(画像LのA)。Photoshop Elementsの初期値はとても大きく調整されるように設定されています。ワンクリックすると真っ青になっちゃうぞ、みたいに・・(笑)。
このスライドバーは少なめに設定して、ワンクリックごとに、徐々に色を変えながら変化を見ていく方が実用的です。

同様にクイック補正で写真Bの赤みを強くしたのが画像Mです。写真Bだけを見ているとあまり感じなくても、赤みを強く補正すると、女性がより健康的に見える場合もあります。特に日本人の肌は少し赤みを付けると健康的に見えます。おっと、でも、これは個人的な好みによって善し悪しは分かれる意見ですね。

銀塩フィルム式のカメラの頃はレンズフィルタなどを駆使してカラーバランスを調整していましたが、デジタルカメラでは更にカラー補正でも調整ができるようになりました。

もちろん、ここは初級者向け講座ですから、「自動補正がやってくれるのだから、カラー補正のウンチクは必要ない」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、カラー補正の理屈が解ると、写真やレタッチがもっと楽しくなりますし、人に見せる写真、仕事で使う写真なら、なおさら見栄え良く仕上げたいものだと、わたしは思っています。


写真A クリックで拡大
写真A クリックで拡大
写真A → 青みを強く補正
写真B クリックで拡大
写真A クリックで拡大

写真B →

赤みを強く補正
3.蛍光灯の影響を受けた"悪い写真"の例
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カラーバランスを理解しておけば、実際に実用的なシーンはたくさんあります。実際に光源の影響を受けた写真は意外と多いモノです。

例えば、この写真は私が日経パソコン誌(著者お勧めのパソコン雑誌です)の「Photoshop Elements講座(レタッチ講座)」の連載で紹介したレタッチの写真のひとつです。

きれいな霜降り肉の写真ですが、蛍光灯による色かぶりを受けて、まるで傷んでいる肉のような色合いになってしまっています。
レストランや定食屋さんで、手作りのメニューの写真にもこのような蛍光灯の色かぶりをモロに受けた写真を、意外と目にするのではないでしょうか。

デジタルカメラのホワイトバランス機能が適切に働かなかったり、誤差や設定ミスによって発生しますが、こういう写真をヒトに見せるときには、きちんと色補正しないと、印象良くはできませんよね。

 

画像N ヒトの目には意識しにくいのですが、蛍光灯は緑色の光源の代表です。意外と多いのがこのような写真(上)。緑色にかぶってしまい、本来の肉の色は微塵もありません。下写真のように色補正すると、食欲も出てきますよね。

 

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※Photoshop等はアドビシステムズ社の商標です。
 
初出:2008/07/09
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