スタジオグラフィックス プロが教えるデジタルカメラの写真撮影&レタッチテクニック 公式 Official WebSite
SGギャラリー

夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第73回 長野夜景の撮り方 前編(千曲・上田・小諸・大町)

Posted On 2022 7月 15
Comment: Off

Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

今月の「 岩崎拓哉の夜景撮影講座 」は「長野夜景の撮り方 前編(千曲・上田・小諸・大町)」をお届けします。残念ながら、オミクロン BA5 型による感染者が急増しております。撮影の際は感染症にお気をつけてお楽しみください。 by 編集部

<本記事は 2022 年 7 月現在の情報です。訪問した時期により状況が記事内容と異なる場合がございます。>

Go To Top

今年のGWは3年ぶりに行動制限が無く、遠方への撮影旅も徐々にハードルが下がりつつあります。今回と次回の記事では、2回に分けて長野県の夜景スポットを解説し、前編では千曲市(姨捨)を中心に県内北部でおすすめしたい夜景スポットを紹介します。

写真1 姨捨駅のホームから見える夜景

[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:50mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:0.6秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:6400 / WB:白色蛍光灯 ]

Go To Top

■長野県の特徴

長野県は日本の中部地方にあり、海に面していない内陸県である。人口は202万人ほどであり、山岳地帯が多いため、人口が盆地に集中している。そのためか、街明かりも盆地に集中しており、人口規模以上に夜景の光量が多く感じられる。

写真2 長野県の地図

水色に塗りつぶしている大町市・千曲市・上田市・小諸市の夜景スポットは本記事で解説し、桃色に塗りつぶしている松本市・岡谷市・諏訪市・箕輪町・豊丘村の夜景スポットは次回の記事で解説する予定。(地図:CraftMap

Go To Top

■長野の夜景撮影のポイント

長野県で夜景を撮影をするにあたり、特別難しい撮影技術は必要無いが、それ以上に気象条件の確認や日中のロケハンが重要になる。

写真3 車を停めて夜景を観賞

チェリーパークラインに車を停車させて夜景を観賞。標高2000メートル級の山岳地帯にあるため、気象条件によっては全く夜景が見えない可能性もある。

(1)冬期の訪問は道路の通行止めに注意

11~12月にかけて、標高の高い夜景スポットへの道路は通行規制がされるケースが多く、夜景撮影が主な目的なら、11月上旬ぐらいまでに訪問したい。

(2)標準ズームレンズを持参する

街明かりと比較的近い場所から撮影できる場所が多いが、広角レンズを使うシーンは少なく、標準レンズの使用頻度が最も多い。工場のように景観の一部を切り取るようなシーンも少ないので、望遠レンズは無理に用意する必要は無いだろう。

(3)移動手段は車が基本

姨捨駅周辺の夜景スポットや、松本城などを除いてほとんどの夜景スポットは、車が無いとアクセスが困難。

(4)なるべく日中にロケハンをする

長野県は山間部の夜景スポットが多く、周囲が真っ暗な場所も少なくないので、できるだけ昼間に現地を訪問して、駐車場から展望台までのルートや景観を確認すると良い。また、夜間の訪問は基本的に懐中電灯をお忘れなく。

Go To Top

■撮影スポット(1)名月の里 姪石苑

JR姨捨駅の東側には棚田があり、あたり一面は「姨捨の棚田」と呼ばれている。棚田は不定期にライトアップされており、ライトアップは写真4と写真5のように色の変化も楽しめる。ライトアップがされていない時期であっても、千曲市の夜景を広範囲に写せる。(地図

写真4 棚田のライトアップと夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:20mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真5 棚田のライトアップと夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:20秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

Go To Top

■撮影スポット(2)名月の里 東屋

姪石苑より南側はさらに高台となり、より広範囲に千曲市の夜景が撮影できる。棚田の至る場所から夜景が見えるが、東屋の付近は特に眺望が優れている。なお、姨捨の棚田は「日本百名月」にも選ばれており、写真7のように美しい月明かりが撮影できる日も。(地図

写真6 千曲市の夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:47mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:30秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

写真7 月明かりと夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:99mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:20秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

Go To Top

■撮影スポット(3)姨捨公園

JR姨捨駅から徒歩圏にある公園で、展望台からは千曲市の夜景を広範囲に見渡せる。夜間は訪問者が少ないため、ゆったりと夜景撮影を楽しめるだろう。なお、姨捨駅のホームからも同様の夜景が楽しめる。(地図

写真8 千曲川を中心とした夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:56mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真9 姨捨公園を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:27mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:640 / WB:白色蛍光灯 ]

Go To Top

■撮影スポット(4)玄藩山公園

桜の名所として知られている公園で、上田市内の夜景を広範囲に見渡せる。規模はそれほど大きくないが、公園の雰囲気が良いため、昼間に駐車場までの道をロケハンしてルートさえ確認しておけば、初心者にもおすすめできる。車の光跡も写すなら、シャッターを20~30秒は開放すると良い。(地図

写真10 街の夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ: CANON EF24-105mm F3.5-5.6 IS USM / 焦点距離:97mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:6秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真11 車の光跡と街の夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ: CANON EF24-105mm F3.5-5.6 IS USM / 焦点距離:61mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:25秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

Go To Top

■撮影スポット(5)チェリーパークライン

高峰高原山頂の手前にある停車スペースからは、佐久市の夜景を広範囲に見渡せ、西向きに視界が広がることから、特にトワイライトタイムの夜景が美しい。標高が2000メートル級の場所にあるため、気象条件の影響を受けやすい。(地図

写真12 トワイライトタイムに佐久市方面を写す


[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:31mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真13 佐久市方面の夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ: CANON EF24-105mm F3.5-5.6 IS USM / 焦点距離:105mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

Go To Top

■撮影スポット(6)鷹狩山 展望台

標高が1163メートルある山頂に展望台が整備されており、大町市や南大町の夜景が広範囲に見渡せ、夜景のスケールは長野県内最大級。駐車場から展望台への道のりが真っ暗なため、昼間にロケハンをしておきたい。月明かりで夜空が明るいタイミングであれば、北アルプスの山々のシルエットがきれいに浮かび上がる。(地図

写真14 大町市の夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:25mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:30秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真15 南大町方面の夜景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:35mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:30秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

Go To Top

著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。