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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座第72回 隅田川ライトアップ夜景の撮り方(蔵前橋~白鬚橋)

Posted On 2022 4月 27
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Photo : Takuya Iwasaki


TOPIX

今月の「 岩崎拓哉の夜景撮影講座 」は前回に引き続き隅田川夜景を取り上げました。前回と同様に変化したライトアップの内容を解説しております。ぜひ本記事を参照してお出かけください。 by 編集部

<本記事は 2022 年 4 月現在の情報です。訪問した時期により状況が記事内容と異なる場合がございます。>

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第71回の記事「隅田川ライトアップ夜景の撮り方(築地大橋~新大橋編)」では、隅田川の下流側に架かる橋について取り上げましたが、今回は両国橋より上流に架かる橋のライトアップを取り上げます。なお、「隅田川ライトアップ夜景の特徴」と「隅田川の夜景撮影のポイント」については第71回の記事と共通するため割愛しています。そのため、第71回の記事と合わせての閲覧をおすすめします。

写真1 吾妻橋から駒形橋と厩橋を写す

[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:80mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:6秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(1)蔵前橋

1927年に竣工された歴史ある橋で、名前は江戸時代に幕府の蔵前があったことが由来です。厩橋や駒形橋と異なり、上路式アーチ(アーチの上側に路面がある)を採用しているのが珍しく感じます。両岸の隅田川テラスから撮影ができますが、右岸(西側)のテラスは蔵のデザインが施された壁があり、蔵と橋を一緒に写すこともできます。写真2はF16まで絞り(回折補正をON)にして、なるべくシャッター速度を長く開けて、水面を滑らかに見せています。写真3は蔵前橋と隅田川テラスの間にある階段付近から撮影しており、至近距離から撮影しているため広角ズームレンズの使用が望ましいです。写真4は隅田川テラスの蔵前橋付近から、望遠寄りの画角で遠くに見える厩橋をメインに写し、蔵前橋のアーチをアクセントに入れています。(地図

写真2 蔵前橋の全景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:29mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F16 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真3 蔵前橋を間近で写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:3.2秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真4 蔵前橋の真下から厩橋方面を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:97mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:3.2秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(2)厩橋

関東大震災の復興事業によって橋が架け替えられたのが現在の橋で、緑色の3つのアーチが特徴的。アーチは白系の照明で照らされます。形状が永代橋に似ており、写真5のように歩道から広角レンズでアーチを写す構図もおすすめです。写真6は厩橋の間近で撮影しており、テラスのフットライトをアクセントに入れています。写真7は厩橋と蔵前橋の間にある階段付近から、東京スカイツリーの全景が入る構図で撮影しています。(地図

写真5 厩橋のアーチを写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:97mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:3.2秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真6 厩橋の全景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:18mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:6秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真7厩橋と東京スカイツリーを写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:31mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(3)駒形橋

1927年に架橋された全長149.6mの橋で、真ん中に大きなアーチがあります。ブルーに塗装されたアーチは白色系の照明で照らされ、永代橋に似た雰囲気があります。写真8は駒形橋を中心にアクセントとして東京スカイツリーを入れ、写真9は駒形橋を中心に、吾妻橋をアクセントに入れて写しています。写真10は写真4と同じように、望遠寄りの画角で遠くに見える吾妻橋を大きく見せて写し、青と赤の対比を主張しています。(地図

写真8 駒形橋と東京スカイツリーを写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:19mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真9 駒形橋を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:35mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真10 駒形橋と吾妻橋を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:93mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(4)吾妻橋

1774年に架橋された歴史ある橋で、現在の橋は1931年に架け替えられています。独特の朱色のカラーとデザインが美しく、暖色系の照明からは温かみが感じられます。写真11のように広角レンズで橋だけを間近に写す構図も良いですが、写真12のように東京スカイツリーやアサヒビールのフラムドールを一緒に写す構図もおすすめです。なお、フラムドールは隅田川の橋梁よりライトアップ時間が短く、写真12を撮影した22:18時点では消灯していました。(地図

写真11 正面に吾妻橋を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:17mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真12東京スカイツリーと吾妻橋を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:39mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(5)東武隅田川橋梁(すみだリバーウォーク)

2020年6月に開通した遊歩道で、浅草エリア-東京スカイツリー間を吾妻橋や言問橋を経由するより短時間で移動できます。遊歩道はブルーのイルミネーションが施されており、写真13のように隅田公園の南側から東京スカイツリーと共に見えます。一方、北側に回るとイルミネーションは見えなくなりますが、ライトアップされた橋梁が見渡せ、写真14のように工場夜景に近いような迫力ある写真が撮れます。(地図

写真13 歩道側(南側)のイルミネーションと東京スカイツリー


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:27mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真14 線路側(北側)のライトアップを写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:20mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(6)桜橋

1985年に開通した歩行者や自転車の専用橋となっており、暖色系のライトアップは温かみが感じられます。隅田公園側からであれば、写真15や写真16のように東京スカイツリーも一緒に写せます。(地図

写真15 ライトアップされた桜橋と東京スカイツリー


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: TAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:30秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真16 桜橋の歩道と東京スカイツリー


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: TAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:30秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(7)白鬚橋

現在の白鬚橋は1931年に竣工されており、隅田川のライトアップされた橋としては最も上流に位置します。名前の通り、白色のアーチが白色系の照明で照らされ、繊細さと重圧感が共存するようなデザインになっています。写真17は隅田川テラスから橋の全景を撮影し、写真18は北側の歩道から東京スカイツリーをアクセントに広角レンズで見上げるように写しています。(地図

写真17 ライトアップされた白鬚橋


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:42mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]

写真18 白鬚橋を見上げて写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: CANON EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:3.2秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。