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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第57回 工場夜景の聖地!四日市コンビナートの撮り方入門

Posted On 18 9月 2019
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Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

今月も前月に引き続き工場夜景のスポットを取り上げました。四大工場夜景都市のひとつである四日市工場夜景の解説です。「 遠方からの訪問も十分価値がある工場夜景である。」と、岩崎氏は言います。効率的に撮影するために訪問前に、ぜひご一読ください。 by 編集部

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今月は、茨城県神栖市に続き、全国有数の工場夜景都市・三重県四日市市を取り上げます。四日市市は展望施設や撮影ポイントのバリエーションが広く、遠方から訪れる価値も十分にあります。本記事では、四日市市での撮影のポイントやおすすめの工場夜景スポットを6ヶ所紹介します。

写真1 磯津橋周辺から製油所を写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD / 焦点距離:161mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

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■三重県四日市市の特徴

三重県四日市市は日本初の石油化学コンビナートを擁し、産業の街として古くから栄えている。西は鈴鹿山系、東は伊勢湾に面する温暖な気候で、地場産業としては萬古焼や日永うちわなどが知られている。昭和30年代以降は「四日市ぜんそく」で公害のイメージが強くなったが、現在は大気汚染などの公害は改善され、自然と調和した都市として親しまれている。

写真2 三重県四日市市を中心とした地図

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三重県の県庁所在地は津市だが、県内の人口は四日市市が最も多い。(地図:CraftMap

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■四日市の工場夜景撮影のポイント

四日市市は室蘭市・川崎市・北九州市と並ぶ四大工場夜景都市として始まり、工場夜景都市の中で川崎市を超えるほどのスケールを誇る。中でも四日市港ポートビルは四日市コンビナートを見下ろせる展望施設として知名度が高く、間近に見える四日市コンビナートの夜景に誰もが圧倒される。また、緑地公園や突堤など屋外の撮影ポイントも多く、1晩では周り切れないほど工場夜景スポットが充実している。そのため、遠方から訪問する場合は、気象条件なども考慮して、できれば1泊することをおすすめしたい。近鉄四日市駅周辺はビジネスホテルが多く、車での訪問なら国道1号線沿いにある「ホテルルートイン四日市」等も利便性が高い。なお、陸地以外からの工場夜景を楽しむなら「四日市コンビナート夜景クルーズ」もおすすめ。

写真3 四日市港ポートビルの駐車場

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四日市港ポートビルの駐車場。JR富田浜駅から徒歩15分ぐらいで訪問できるが、電車の本数が少なく、他のスポットへの移動に時間を取られてしまう。

(1)四日市港ポートビルも訪問するなら土日祝

工場を見下ろせる展望施設としては日本最大級の四日市港ポートビルは、平日は17時に閉館する。宿泊出来るのであれば、金土や日月の訪問もあり得るが、日帰りで訪問する場合は土日祝の訪問を推奨。四日市港ポートビルでトワイライトタイムを過ごし、その後に他の撮影スポットへ移動するルートもおすすめ。

(2)車での移動がおすすめ

鉄道やバスと徒歩を組み合わせることで、ある程度の撮影スポットを訪問できるが、移動時間によるロスが大きいので、できるだけ自家用車やレンタカーを活用したい。旅行会社等が主催する写真撮影バスツアーもおすすめ。

(3)300mm前後の望遠ズームレンズを推奨

標準レンズを使って間近で撮影できるスポットも少なく無いが、離れた場所からでもアップで撮影できるよう、フルサイズ換算で70-200mmや70-300mm、100-400mm前後の望遠ズームレンズを必ず持参したい。長時間露光に耐えられる安定感のある三脚も忘れずに。

(4)オールシーズン撮影できるが秋冬がおすすめ

比較的近寄って撮影出来る場所が多いことから気象条件の影響を受けにくいが、丸1日かけても撮影時間が足りないと感じるほどの規模なので、日没の早い秋~冬にかけてが時期的にも有利。

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■撮影スポット(1)四日市港ポートビル

四日市港の開業100周年を記念して建てられた展望施設。ビルの14階に展望ロビーが設けられており、四日市港の歴史を学べる展示も充実している。360度が見渡せる展望ロビーは、四日市コンビナートが見渡せる南西方向が特に人気。暗幕の貸出サービス(数に限り有り)もあり、写真愛好家にも優しい施設だ。四日市港ポートビルからの工場夜景を撮るためだけに、遠方から四日市を訪れる価値は十分にある。入場料は300円。土日祝のみ夜9時まで開館。(地図

写真4 四日市コンビナートを写す

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[ ボディ:CANON EOS 5D MarkII / レンズ:SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM / 焦点距離:91mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

写真5 四日市市街地を写す

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[ ボディ:CANON EOS 5D MarkII / レンズ:EF16-35mm F2.8L Ⅱ USM / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

■撮影スポット(2)霞ヶ浦緑地

四日市港ポートビルからほど近い、自然が豊かな緑地公園。対岸に四日市コンビナートが見渡せ、望遠レンズでの撮影がメインとなるが、工場のどこを切り取るか考えるだけでも楽しい。長時間露光で水面に反射した工場の明かりも綺麗に写したい。(地図

写真6 対岸の化学工場を写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD / 焦点距離:130mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真7 フレアスタックとガスタンクを写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD / 焦点距離:100mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(3)大正橋

至近距離で工場夜景を楽しめることから、四日市市内でも特に有名な工場夜景スポットの1つ。橋の歩道だけでなく、河川敷からも撮影を楽しめ、撮影に夢中になると時間が過ぎるのを忘れてしまうほど。歩道から見て左側はコスモ石油、右側は昭和電工ガスのタンクが見渡せる。ただし、歩道からの撮影は大型車両の通行で揺れることが多いので、シャッターを切るタイミングには要注意。(地図

写真8 製油所のプラントを写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD / 焦点距離:141mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真9 ガスタンクを間近で写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:4秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

■撮影スポット(4)昭和四日市石油南側

鈴鹿川北側の河川敷付近が撮影スポット。昭和四日市石油を間近に見渡せるが、構図や角度によっては電線の写り込みが少し気になってしまう。そのため、あえて望遠レンズを使わず、広角レンズや標準レンズで製油所全体を写すのも良いだろう。(地図

写真10 製油所のプラントを写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD / 焦点距離:96mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

写真11 広角レンズでプラント全景を写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:31mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(5)石原町

本記事で紹介している撮影スポットの中で、最も工場を至近距離で撮影できるスポット。水路を挟んで目の前にプラントが広がり、標準ズームレンズ1本あれば、思う存分に撮影を楽しめる。50mm前後の焦点距離でバランス良く撮れるので、あえて工場夜景では滅多に使わない単焦点レンズでの撮影にチャレンジしてみても良いだろう。(地図

写真12 タンクをアクセントに写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:47mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

写真13 間近でプラントを写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:58mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

■撮影スポット(6)磯津堤防突堤

鈴鹿川の対岸にある中部電力の変電所や昭和四日市石油の工場夜景を見渡せる定番スポット。対岸の工場とは距離が離れているため、望遠レンズでの撮影がメイン。作例のようにトワイライトタイムに空を少し大きめに入れたり、200~300mm前後の望遠レンズでプラントの一部を切り取る構図もおすすめ。なお、付近は路線バスが運行しており、時刻表を確認の上、路線バスでのアクセスも出来るはずだ。(地図

写真14 トワイライトタイムに製油所を写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD / 焦点距離:70mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

写真15 通称オバQを写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD / 焦点距離:271mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:2秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:640 / WB:白色蛍光灯 ]

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■今月のお勧め夜景スポット「垂坂公園・羽津山緑地」

工場夜景ブームが起こる前から四日市で最も知られた夜景スポット。高台にある展望台からは四日市内を見渡せ、遠くに四日市コンビナートが広がる。工場と距離があるため、工場夜景を撮るなら望遠レンズが欠かせない。どちらかと言えば撮影スポットというより、デート向けの夜景スポットだが、夜景写真のバリエーションを広げる意味でも訪問する価値は十分にあるだろう。

垂坂公園・羽津山緑地

営業時間:終日開放

所在地:三重県四日市市大字羽津甲(地図

アクセス:四日市東ICから車で約10分(駐車場あり)

料金:無料

URL:垂坂公園・羽津山緑地(四日市市公式サイト)

写真16 四日市コンビナートを望遠レンズで写す

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[ ボディ:CANON EOS 5D MarkII / レンズ:SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM / 焦点距離:157mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:2.5秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:800 / WB:太陽光 ]

岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。
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