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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座 第78回 兵庫県・高砂&加古川の工場夜景の撮り方

Photo : Takuya Iwasaki

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今月の「 岩崎拓哉の夜景撮影講座 」は「兵庫県・高砂&加古川の工場夜景の撮り方」をお届けします。それではご覧ください。 by 編集部<本記事は 2023年 5月現在の情報です。訪問した時期により状況が記事内容と異なる場合がございます。>

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これまで全国の工場夜景都市を網羅してきましたが、今月は兵庫県の高砂市と加古川市の工場夜景スポットを5ヶ所解説します。姫路市や尼崎市とはひと味違う、製鉄所や発電所を中心とした工場夜景をたっぷり楽しめるエリアとなっています。

写真1 神戸製鋼所 加古川製鉄所のサイロを写す

[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF100-400mm F5.6-8 IS USM/ 焦点距離:200mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■兵庫県高砂市&加古川市の特徴

兵庫県の工場夜景と言えば、全国工場夜景都市協議会に加盟している尼崎市が最も有名で、次いで化学工場の多い姫路市も人気がある。一方で高砂市と加古川市は姫路市と同じ播磨臨海工業地帯にありながら、知名度こそ高くないものの、発電所・製鉄所・化学工場などを撮影できるポイントが多数ある。工場夜景のバリエーションの広さでは、兵庫県最大級とも言える。

写真2 兵庫県の地図

兵庫県の瀬戸内海側の地図。大阪市内から高砂市・加古川市へは車で1時間半ぐらいでアクセスできる。(地図:CraftMap

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■高砂&加古川の夜景撮影のポイント

高砂&加古川の工場夜景を撮影するにあたり、特に難しいポイントはないが、仮に姫路の工場夜景と一緒に回るのであれば、2日に分けて撮影した方がゆとりを持って楽しめるはず。

写真3 駐車場から工場夜景を望む

別府みなと公園(加古川市)の駐車場からも夜景が見えるので、工場夜景撮影を楽しんだ後に、ゆっくり車内で工場夜景観賞も良いだろう。

(1)標準&望遠ズームレンズを持参

梅井(高砂火力発電所)等は広角ズームレンズで工場全景を撮ることがあるが、他の場所は工場と距離があるため、標準&望遠ズームの2本を持参したい。

(2)安定感ある三脚を持参

他の工場夜景都市と同様に臨海部に工場夜景スポットが集中しているため、海風の影響を受けやすい。できるだけ重量のある三脚を持参したい。

(3)LEDライトなどを持参

公園や埠頭は足元が真っ暗な場所が多いため、LEDライトや懐中電灯を持参したい。

(4)車での移動が基本

山陽電鉄線の駅から徒歩20~30分でアクセスできる工場夜景スポットもあるが、電車での移動は効率が悪いため、車移動が望ましい。レンタカーを活用する方法もある。

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■撮影スポット(1)梅井(高砂火力発電所)

高砂火力発電所を間近に見渡せる道路が撮影ポイント。時々大型車両の通行があるため、安全面への注意が必要だが、間近で見える発電所の迫力には誰もが圧倒されるはずだ。望遠ズームレンズの出番はほとんどなく、標準ズームレンズでも画面全体に発電所を写せるほどの距離感。あえて、広角レンズで縦位置で煙突を写すような構図も面白い。(地図

写真4 広角レンズで煙突全体を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF14-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:6秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真5 発電所を画面全体に写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:70mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1.6秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(2)別府みなと緑地

加古川市にある公園で、駐車場も整備されており、夜景観賞も撮影も楽しめる。公園の東側からは住友金属鉱山、西側からは神戸製鉄所が見渡せる。工場とは少し距離があるが、視界が広く、標準ズームレンズや望遠ズームレンズで切り取る一を考えながらの撮影が楽しい。ゆっくり撮影をするなら、1~2時間は確保したい。(地図

写真6 住友金属鉱山を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:74mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

写真7 神戸製鋼所のクレーンを写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:98mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:6秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(3)東播磨港高砂西防波堤灯台

昼間は釣り人を見かける場所だが、夜間に訪問する人はほとんどおらず、静かに工場夜景撮影を楽しめる。駐車スペースの付近からは、化学工場であるカネカ高砂工業所や、対岸に見える加古川製鋼所の工場夜景が撮影できる。周囲一体は真っ暗なので、灯台付近に向かう場合は、必ずLEDライトなどで足元を照らすように。(地図

写真8 カネカ高砂工業所を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:105mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真9 神戸製鋼所加古川製鉄所方面を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:98mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:6秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(4)高砂町南材木町

「東播磨港高砂東防波堤灯台」の向かいにある道路からも眺望が広がり、対岸に見えるカネカ高砂工業所方面が撮影できる。工場の形が特徴的で、標準ズームレンズや望遠ズームレンズで一部を切り取るような構図も面白い。なお、この先は「UBE三菱セメント 高砂サービスステーション」があるが、立入禁止の表記は無いものの、安全面を考えて立ち入りは控えた方が良さそうだ。(地図

写真10 カネカ高砂工業所を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:83mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

写真11 カネカ高砂工業所を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:72mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(5)県立高砂海浜公園・向島公園

野球場や広場のある総合公園で、日中は家族連れやカップルで賑わうものの、夜には静まり返る。西側は「カネカ高砂工業所」、東側は「神戸製鋼 加古川製鉄所」が見渡せ、別府みなと公園と同様、東西で見える景観が異なるため、撮影には時間を掛けた方が楽しめるだろう。(地図

写真12 望遠レンズで神戸製鋼所加古川製鉄所方面を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF100-400mm F5.6-8 IS USM / 焦点距離:200mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:2秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:640 / WB:白色蛍光灯 ]

写真13 カネカ高砂工業所のタンク群を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:83mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。