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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座 第76回 宮城・石巻の工場&街夜景の撮り方

Posted On 2023 1月 18
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Photo : Takuya Iwasaki

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今月の「 岩崎拓哉の夜景撮影講座 」は「 宮城・石巻の工場&街夜景の撮り方」をお届けします。久しぶりに東北地方の夜景の撮り方をお届けします。前回取り上げた、「 第41回 東北で最も被写体のバリエーションが豊かな青森夜景の撮り方 」も参考にしてください。( 更新から4年以上たっておりますので、状況が変化している場合もございますのでご注意ください。) by 編集部<本記事は 2023 年1月現在の情報です。訪問した時期により状況が記事内容と異なる場合がございます。>

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12月に入り、全国的に気温が冷えて、一気に肌寒くなりました。日本海側では雪が降り始めている頃でしょうか。今月以降は時期的に雪の心配がありますが、今回は宮城県石巻市でおすすめの工場&街夜景スポットを厳選して3ヶ所解説します。

写真1 超広角レンズで発電所を写す

[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF14-35mm F4L IS USM / 焦点距離:14mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■宮城・石巻の特徴

旧北上川の河口に位置する石巻市は宮城県で仙台市に続いて人口が多く(約136,000人)、水産業や製紙業・パルブが栄えている。仮面ライダーやサイボーグ009で知られるマンガ家石ノ森章太郎のマンガミュージアムも有名で、日和山公園から見渡すことができる。東北=雪のイメージがあるが、太平洋側に位置するためか、東北でも降雪が少ない方である。

写真2 宮城県の地図

仙台市から石巻市までは、車で概ね一時間程度で移動できる。(地図:CraftMap

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■宮城・石巻の夜景撮影のポイント

仙台市や気仙沼市に比べると夜景スポットは少ないため、1日あれば十分に夜景スポット巡りを楽しめる。展望室などの夜景スポットも無く、屋外での撮影がほとんどで、特別な機材も必要ないはずだ。

写真3 日本製紙 雲雀野発電所前の雰囲気

工場夜景スポット周辺には駐車場が無いが、道路には駐車禁止の標識が見られないものの、車を駐停車させる時は安全面や周囲の交通量を確認したい。

(1)標準ズームレンズ1本で大半の撮影がこなせる

街明かりも工場も近距離になるため、望遠ズームレンズが必要になるシーンは限られる。日本製紙 石巻工場の夜景撮影では、工場の一部を望遠で切り取るような構図も良いが、35mm換算で24-105mm前後の標準ズームレンズがあれば、さほど不自由はしないだろう。

(2)雪の降る時期をなるべく避ける

石巻市は太平洋側に立地し、比較的温暖な気候であるが、12月末から3月にかけて雪が降る傾向が見られるため、天気予報はこまめに確認したい。

(3)車移動が基本

最寄り駅から徒歩でアクセスできる夜景スポットはほとんどないため、車移動が基本となる。

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■撮影スポット(1)日本製紙 石巻工場

東日本大震災で大きな被害を受けたが、半年での復興を宣言し、2011年9月から再稼働が実現している。歩道からは工場の全景が見渡せ、視界を遮るものはほとんどない。そのため、撮影する位置も自由度が高い。2012年7月の写真と比較すると、2022年11月の写真の方が工場に明かりが灯っているが、工場の稼働が落ち着いているようにも感じられる。(地図

写真4 工場の全景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF14-35mm F4L IS USM / 焦点距離:29mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真5 2012年7月に撮影した夜景(2022年11月撮影の写真4と同じ設定)


[ ボディ:CANON EOS 5D Mark2 / レンズ:EF17-40mm F4L USM / 焦点距離:29mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真6 工場の一部を望遠レンズで写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF100-400mm F5.6-8 IS USM / 焦点距離:123mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真7 工場の一部を望遠レンズで写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF100-400mm F5.6-8 IS USM / 焦点距離:165mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:640 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(2)日本製紙 雲雀野発電所

2018年3月から発電が始まった新しい発電所で、木質バイオマス燃料などを利用し、環境にも配慮されている。発電所は道路の目の前にあり、白色系のLED照明による輝きを至近距離で感じられる。工場の全景を写すには、工場夜景撮影では滅多に使わない超広角レンズが必要になるほどで、望遠レンズが無くとも工場の一部を切り取るような構図が容易に撮影できる。(地図

写真8 標準レンズで工場の全景を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:26mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真9 構図のバランスを意識して撮影(写真8と比較)


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:43mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:2.5秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真10 コンベヤを中心に写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:53mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:3.2秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真11 プラントの一部を画面全体に写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:61mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:3.2秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(3)日和山公園

桜の名所としても知られる公園で、眺望にも優れる。3ヶ所ほどビューポイントがあるが、「展望の広場」からは写真12~14のような夜景が撮影でき、さらに奥にある筆塚碑前(写真15)からは石ノ森萬画館・かわまちオープンパーク方面の夜景が撮影できる。写真12と写真13を比べると、この10年の間で大きく復興が進んでいることが感じられる。(地図

写真12 旧北上川の下流を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF14-35mm F4L IS USM / 焦点距離:35mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:オート(ホワイト優先) ]

写真13 2012年7月に撮影した夜景(2022年11月撮影の写真12と同じ設定)


[ ボディ:CANON EOS 5D Mark2 / レンズ:EF17-40mm F4L USM / 焦点距離:35mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真14日和大橋方面を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF14-35mm F4L IS USM / 焦点距離:35mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:20秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:オート(ホワイト優先) ]

写真15 石巻市街地を写す


[ ボディ:CANON EOS R6 / レンズ: RF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:105mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。