萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第22回
SAMYANG 10mm F2.8 ED AS NCS CS
写真と文:萩原 和幸
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのは、Glass非球面レンズと低分散レンズを採用することにより、各収差を効果的に補正かつ減らして優れた画質とコントラストを実現した、APS-C対応の超広角低歪曲マニュアルレンズ「10mm F2.8 ED AS NCS CS」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ 馴染みやすいフルサイズ換算広角16mm
第23弾は、『10mm F2.8 ED AS NCS CS』。APS-Cセンサー機対応の超広角レンズだ。10mmだがAPS-Cセンサー機用なので、フルサイズ換算にすると1.5〜1.6倍となり、約16mmの広角レンズとなる。そもそもAPS-Cセンサー機用の広角レンズは数が少ないが、そのような中でサムヤンは8mm〜12mmとラインナップされており、APS-Cユーザーのニーズに応えようという姿勢が嬉しい。本レンズは、先に申したとおり、フルサイズ換算で約16mm相当。流行りの広角ズームレンズで16mm〜35mmをよく見かけるが、16mmという画角に見慣れてきたこともあり、馴染みやすいレンズだと思う。マニュアルレンズではあるが被写界深度は深く、スナップに持ち出すのにはもってこいだ。
マウントはキヤノンEF、キヤノンEF-M、ニコンF、ソニーA、ソニーE、Fuji X、ペンタックスK、マイクロフォーサーズと、ほぼ全てのマウントが用意されている。
今回の撮影にはキヤノンEFマウントが用意されたが、マウントアダプターを介してソニーα7RⅢのクロップ(トリミング)機能を使って撮影した。やや重めのピントリングは理想的な抵抗感があり、ピント合わせはとてもしやすい。ちなみにピントを合わせる際は、ピーキング機能を使って行なっている。ピーキング機能とは、ピントの合っている箇所に色を付けてEVF上に表示する機能のことで、ピントリングの動きにあわせてピントの合っている個所を確認できるのでとても便利。ミラーレス一眼カメラとMFレンズとの相性の良さは、こうした機能が一役買っている。
レンズ構成は9群14枚、非球面レンズと低分散レンズを採用。絞り羽根は6枚。絞りリングが備わっており、F2.8〜F22までの1/2段クリックだ。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 10mm F2.8 ED AS NCS CS |
■ スナップで試してみた
早速撮影に出かける。今回はスナップ撮影を行う事にした。これだけの超広角レンズのみでスナップすることもなかなか無いが、出かけてみるとこれが面白い。
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 10mm F2.8 ED AS NCS CS |
■ 総評
普段、ズームレンズでは慣れているはずの16mmの画角だが、この画角だけでスナップ撮影をしてみると、改めて余裕のある広がりに気づくとともに、見慣れた光景も楽しくファインダーに収めることができた。そもそも「急いでピント合わせを!」というシーンでは出番が少ない画角だと思うので、じっくり撮影するにはMFでなんのストレスも感じない。目の前の光景を、どう広がりを持って表現するか、の思考がなんとも玄人職人っぽい“写真撮影”を思わせてくれた。
風景や星景写真でお使いになるユーザーも多いだろうが、スナップ撮影にもおすすめ。ワイド端16mmのズームレンズはなかなか高価なので、コストパフォーマンスに優れた本レンズで、16mmの画角をゆったり楽しむのもいいのではないだろうか。
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸