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武石修のレンズレビュー LAOWA Argus FFII 45mm F0.95 ポートレート編


LAOWA Argus FFII 45mm F0.95 ポートレート編

Model:すずえりあ Photo : Osamu Takeishi


TOPICS

今回の武石修のレンズレビューはLAOWA Argus FFII 45mm F0.95 をポートレートでレビューいたします。本モデルは 2022 年 1 月より日本国内で販売が開始されたモデルです。今回はモデルを すずえりあ さんに依頼いたしました。ポートレートでその描写をご覧ください。 by 編集部

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Index

1.圧倒的なボケを表現できるのが魅力

今回は 2022 年1月に発売されたAnhui ChangGeng Optical Technology (Venus Optics)の「 LAOWA Argus FFII 45mm F0.95 」を紹介する。ソニーEマウント、ニコンZマウント、キヤノンRFマウントに対応する35mmフルサイズ用レンズとなっている。実勢価格は税込146,300円前後( 2023 年1月現在、当社調べ )。

α7 IIIに装着したところ

個性的なレンズを相次いで投入している LAOWAブランドの超大口径 MF単焦点レンズだ。標準レンズに近い 45mm の焦点距離で、明るさは F1 を切る F0.95 を実現しており、大きなボケを生かした描写が可能となっている。

最近は 10 万円前後でこのような明るい MF単焦点レンズが登場しているが、本レンズは光学性能を追求したというのがうりで、13 枚ものレンズを使いディストーションも抑える設計にしている。それだけに、金属製の外装と相まって、約 835g とずっしりとした重さを感じる。

ちなみに LAOWA では F0.95 のレンズを Argus シリーズとして展開しており、本レンズのほかには「 Argus 25mm
F0.95 CF APO 」( APS-C )、「 Argus 18mm F0.95 MFT APO 」(マイクロフォーサーズ)、「 LAOWA Argus 25mm F0.95 MFT APO 」(マイクロフォーサーズ)、「 LAOWA Argus FF II 35mm F0.95 」( 35mmフルサイズ )、「 LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO 」( APS-C )がラインナップされている。

本体の作りはとてもしっかりしたもので、ビルドクォリティは高いと言える。フォーカスリングの回転角は 300 度あり、精密なピント合わせもしやすくなっている。

外装は総金属製のしっかりした作りだ

絞りリングのクリックの有無を選択できるスイッチもあるので、動画撮影にも向いたレンズとなっている。また、絞り羽根は 15 枚で一般的なレンズよりも多く、絞り込んでもほぼ円形を維持できるのも綺麗な玉ボケを得られるポイントだ。

最短撮影距離は 50cm。フィルター径は明るさの割りには、大きすぎず使いやすい 72mm に収まっている。サイズは約 76.8×110mm となっている。

絞りリングのクリック切り替えスイッチを装備

同梱の金属製フードを装着したところ

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2.作品による評価

α7 III に装着して撮影した作品を見ていく。写真は RAW で記録し、Adobe Lightroom Classic で現像している。

ご注意

写真の 実画像 の文字をクリックすると、カメラで撮影した実画像が別タブで表示されます。ファイルサイズが大きいのでモバイル端末での表示にご注意ください。文中のサムネイル画像をクリックすると、リサイズされた画像がポップアップ表示されます。

写真1 実画像 ファイルサイズ:約 9MB

1/2,000秒 / F0.95 / ISO100

絞り開放ではわずかに柔らかさがあって、ポートレートには適した描写に感じた。柔らかいと言ってもピントの芯はあり、髪の毛も1本単位で解像しているのがわかる。

写真2 実画像 ファイルサイズ:約 7.7MB

1/640秒 / F0.95 / ISO100

最短撮影距離に近いレンジでの撮影。周囲がとろけるような描写が楽しめる。非常に薄いピント面になるので、拡大表示によって精密にピントを合わせる必要がある

写真3 実画像 ファイルサイズ:約 9.5MB

1/400秒 / F0.95 / ISO100

引き目にして全身を収めた。このようにロングの撮影でも背景を大きくボカせるのはF0.95といった超大口径レンズならでは。

写真4 実画像 ファイルサイズ:約 10.7MB

1/1,250秒 / F0.95 / ISO100

やはり、一般的な明るさのレンズでは味わえない独特の雰囲気がある。

写真5 実画像 ファイルサイズ:約 10.5MB

1/320秒 / F2 / ISO100

これもロングのショットだが、少し絞って F2 にしている。こうすると背景も分かる程度に写せる。

写真6 実画像 ファイルサイズ:約 8.7MB

1/500秒 / F0.95 / ISO100

植物の間に立ってもらい、前後のボケを作った。ちょっとボケ方が特徴的で、二線ボケも見て取れる。好き嫌いが分かれそうだ。

写真7 実画像 ファイルサイズ:約 9.9MB

1/400秒 / F2.8 / ISO100

F2.8程に絞れば一転してカッチリとした描写になる。アピール通り、歪曲収差が目立たない素直な描写なのがよい。

写真8 実画像 ファイルサイズ:約 7.1MB

1/2,500秒 / F0.95 / ISO100

せっかくの超大口径なので絞り開放を多用したが、描写がソフトすぎないのでこれで十分勝負できるレベルだと思う。後ボケ部分の顔の輪郭の滲みすら美しい。

写真9 実画像 ファイルサイズ:約 5.1MB

1/250秒 / F0.95 / ISO100

玉ボケに関しては輪郭の目立たない非常にキレイな形で、夜景の撮影にももってこいだろう。

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3.総評

こうした超大口径レンズになると製品によっては絞り開放付近で大きめの球面収差が発生し、かなりソフトな描写になるレンズもある。その点、本レンズはソフトになりすぎず、この手のレンズとしては絞り開放からどんどん使っていける描写力を持っていると感じた。

歪曲収差もほぼ感じられず、後から補正する必要が無いのもよい。この点は動画撮影でもメリットが大きいだろう。

そして 45mm という標準レンズよりもやや広い画角も使いやすく感じた。例えば標準レンズの王道である 50mm F1.4 レンズよりも広く写るのに、ボケが大きいという点が独特の雰囲気に繋がっているのだろう。

ピント合わせに少々気を遣うので、AFレンズのようなテンポで撮影することは難しいが、チャレンジして使いこなしたくなるレンズである。

(以上)

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