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<特集>カメラマン・木村智哉( Toshiya Kimura )が撮るポートレート ~ ソニー製 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 編



model : Nozomi Inoue


TOPICS

前回のタムロンKIPONレンズレビューを多くの読者にご覧いただきありがとうございました。今回2年ぶりに木村智哉( きむらとしや )さんにレンズレビューをお願いいたしました。今回レビューするレンズはソニー製 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II です。モデルも前回に引き続き、いのうえのぞみさんにお願いいたしました。 by 編集部

Index

1.まえがき

ご無沙汰しています。カメラマンの木村智哉( きむらとしや )です。2年ぶりのレビューです。前回は「 カメラマン・木村智哉( Toshiya Kimura )が撮るポートレート~ タムロンEマウント用レンズ編」と「 ~KIPON製Eマウント用レンズ編 」を2021年にお届けした。

さて、今回はソニー製 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II をレビューしてみたい。前回の「まえがき」の繰り返しとなるが、メディアへの露出は少ないものの、圧倒的実戦に基づいた経験値で撮影・執筆したので、他の人と違う感じに仕上がったのではないであろうか。

さて、前書きはこの辺にして本題に入ろう。

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2.ソニー製 FE 70-200mm F2.8での撮影にあたり

2016 年にリリースされて初期型は1日借りて使ったことがある。発売当初だったのでその性能・使いやすさを知りたくてで借りたのだが、一番の目的はプールのある豪邸での水着グラビア撮影を行うためである。これは自分と被写体との距離が必要になる可能性(プールで泳ぐタレントを上から撮る等)があったのと、他にも二人のモデルを色々撮らなけらばならず、バリエーションを稼ぎたかったためでもある。
だがその時は レンズが重く感じたり、制限時間もあったため馴染む前に慣れたレンズ( FE 24-70mm F2.8 GM の初期 )で殆どの撮影となった。こちらの 24-70mm もより軽量のモデルがリリースされているので大いに興味があり、いずれ試写したいと思っている。

今回この新型 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II に関してはこちらから是非にとお願いして使わせていただいた。それは前のレンズで気になった重さが約 1,045g と従来機種( 約1,480g )と比して約 30% 軽量化されていることと、AFスピードがより速くなったためである。これを聞き、試させずにはいられなくなった。このレンズだが去年気になって、自分がネットショップを調べた時は「 在庫なしお取り寄せ 」の表示となっていることが多かった。記憶にない人気ぶりである。

この企画のために 初日は外での撮影、二日目はハウススタジオを借りての撮影となったが 朝一にこのレンズを α9のボディにつけてからあまりの使いやすさ心地よさになんと終わってみれば二日間最後まで外すことなく、三脚も使うこともなく全カット手持ちで撮ることとなった。

写真1 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II

撮影:木村智哉

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3.作例解説

朝 10 時過ぎ、目的地の公園に向かう途中の建物の一角で。いつもの24-70 では手前の植物がギリギリ邪魔で撮らなかったと思うが 70-200 ではちょうどいい距離感で、手前のその植物やガラス向こうや映った植物も面白い感じにボケた写真に出来た。レンズの軽さを感じると共に朝一からいきなり写真のバリエーションが増えたことを実感する。

写真2

85mmf4、1/500秒 、ISO640

昼前に小さな川や竹藪もあり森の中にあるような公園に移動。そこの空が抜けた明るい広場みたいなところに立ってもらう。柔らかい絶妙な光になっており、このレンズだと背景もボケて、覗くだけで絵になるように感じる。立った瞬間にシャッターを押していた。ただ自分としては結構離れたつもりでも 77mm だったわけでいかに普段近くで撮っているかを実感する。

写真3

77mm f4半、1/400秒、ISO1,000

すると近くの小さく可愛いピンクの梅の花がこぼれてきてモデルの髪についた。その花びらをつまんだモデルの指先がとても優雅に見え、それを撮らせてもらう。露出設定の時間は使うが、ズームやピントは一瞬で合った。AFがとにかく驚くほど速い。尚、本来は広角 70mm 側で最短に寄って撮る人が多いらしいが自分は 200mm の最大望遠にした。

写真4

200mm、f5.6、1/1,250分秒、ISO500

写真5

200mm、f5.6、1/1,250分秒、ISO500

その花びらで遊んでもらい口にくわえてもらう。花びら活かしでレンズも見つめてもらったので最初のバストアップより気持ちも入り構図も寄った顔となった。

写真6

118mm、f4半、1/400秒、ISO1,000

少し寒くなってきて 公園の中の京都にでもあるような和風のお茶屋の店先にて甘酒を飲んでいるところを撮る。ちょうど顔のところにだけ暖かい光が射す位置に座ってもらった。後ろの木の灯籠や上の赤い日傘とかも見せたかったのであまりぼかさず 70mm を選ぶ。

写真7

70mm、f4、 1/1,600秒、ISO 1,000

大きな川近くに移動。だだっ広い原っぱにぽつんとあった青い遊具にまたがって動いてもらう。老若男女どんな被写体であっても公園とかで撮る時に遊具があったら遊んでもらっている。(2年前のタムロンレンズの企画の時も)楽しく動いてるところを低い位置から臨場感たっぷりに仰ぐように撮ったりこの手の撮影も 70mm 寄りになる。

写真8

70mm、f4、1/2,000秒 ISO640

撮影が日曜だったこともありそこに小犬を散歩中の父子が来た。その犬は昔モデル嬢が飼ってた犬と似てるらしく懐かしがっていたのでお願いして撮らせてもらった。先程の水色のまたがった遊具活かしとかもそうだがこういった動物とのからみも表情作りには効果的である。

写真9

90mm、f4、 1/2,500秒、ISO640

1日目 撮影終わり 戻る途中に夕日前のこの日1番の日が射してピンクの花がとても綺麗に見えるポイントを見つける。 こういうのは白レフやストロボ弱くとかで楽に撮れるが ちょっと顔に花の色がかぶってもそれを活かして撮った。

写真 10

100mm f4
1/320秒 ISO640

光も山茶花(さざんか)の花の色もよかったのでそのまま寄りも押さえた。

写真 11

200mm
f4 1/320秒 ISO640

撮影2日目は都内のハウススタジオにて。1日目の写真と繋げるつもりで同じ服を着て出窓に座ってもらう。天気予報の雪は免れたがあいにくの曇天で窓の外からストロボ1灯(丸形ソフトボックス)を発光させた。

写真 12

77mm f4     1/125秒 ISO640

スタジオのキッチンにて。表情だけでも明るい感じに撮りたかったのでちょこんと流し台の横に座ってもらう。小型のLED(丸形ソフトボックス入り)を使用。広角 70mm 側でも後ろが楽にボケてくれる。

写真 13

70mm f4 1/250秒 ISO1600

そのまま手をついてもらって横画面にモデルを入れ込む。24‐70 では左右に顔が来ると歪んだりするのでそういうカットが仕事とかでどうしても必要な時はあえて広めに撮ってトリミングをすることがあったが、このレンズでは普通に気にならなく撮れる。

写真 14

70mm f4 1/250秒 ISO1600

スタジオの広めのバスルームにてシャワーヘッドを持ってお湯を出して元気に遊んでもらう。最望遠の 200mm なので水滴等気にせず安心の距離で撮れる。バスタブのへりに腕をついて落ち着いたところをここでの最後に撮った。キッチンでも使った丸形ボックスに入れた LED をやや上から使用した。発色も悪くない。

写真 15

200mm f4 1/125秒
ISO500

まだ少し時間があるということでもう一着だけ速攻で撮ることにする。寒いけどラフな服でやんちゃな動きを窓際のソファーでしてもらったのを押さえた。

写真 16

81mm f4 1/250秒 ISO1600

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4.ソニー FE 70-200mm F2.8 GM OSS II に関する感想

びっくりするくらい軽く、AF も速い( 旧型より最大約4倍速いとのこと )、 覗いたらピントが合ってる感じで自分の目かと思ってしまうくらいだ。24-70 レンズが主力の自分には新鮮な距離感でもある。今までだといちいち自分が近づいて構図を決めて撮っていたのが離れていても迅速に撮れる。モデルのカメラに向けての目線の力加減だけでも表情に違いが出て明らかに写真パターンが増えるし、背景の圧縮効果やボケ等でも色々演出を増やせるだろう。結果、無論画質もよくなっていて前より軽く・ピントが速く・周辺が歪まずで近くに寄れるとなって24~70とも焦点距離でかぶらないし、現存する 70-200 では最高のレンズだと思う。

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5.あとがき

今回もモデルはいのうえのぞみさんにお願いした。前も軽く書いたが彼女を 17歳高校2年生の時に出会い、初めてスタジオ・紙バックの水着を撮影。その 16 年後の 2017 年に再会。以来何度も撮らせてもらう機会があり、今回のレポートは先月( 2023年1月 )の 23・24 回目の撮影の時の写真になる。
尚、「 キムラカメラ 」という自分のレーベルでデジタル写真集を出せる話を DMMブックス(ジーオーティー)からいただき、その第1弾/第2弾(2冊同時発売)として 今まで撮ってきたいのうえのぞみさんの超厳選セクシーショットに加え、去年後半にホテルスィートや洋風及び日本家屋のスタジオで撮りおろしてまとめたものが 2023 年1月末発売されま
した。以前のレンズレポートでお世話になったタムロンKIPON の両レンズで撮った写真もちょっとだけ入っています。DMMブックスを始め、Amazon楽天ブックスほかで絶賛発売中です。よろしかったらご覧ください。

いのうえのぞみ公式サイト https://www.inoue-nozomi.com/
いのうえのぞみツイッター https://twitter.com/nononononozomin

今回の特集記事はいかがでしたか?また、機会があればお目にかかりましょう!

写真 18 木村智哉(きむらとしや)

撮影:いのうえのぞみ

東京生まれ。日大芸術学部写真学科在学中より広告会社に入社、その後写真家・小澤忠恭氏に師事して独立。女性写真中心に活動中。
木村智哉プロフィール http://yes-pr.jp/toshiyakimura
木村自分記録用ツィッター https://twitter.com/toshi62914973
木村智哉インスタグラム https://www.instagram.com/kimura.toshiya/

木村智哉スタジオの撮影実績(ここ10年くらいの中から今回使ったスタジオのみでのストロボ写真で構成) クリックで木村智哉のツイッターアカウントに遷移します。

木村智哉スタジオの撮影実績(ここ10年くらいの中から今回使ったスタジオのみでのストロボ写真で構成)
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