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萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第8回
SAMYANG AF 35mm F1.4 FE


写真と文:萩原 和幸  モデル:山田あみ( ソレイユ )


TOPIX

本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのはフルサイズ対応 35mm 単焦点 AF レンズ「 SAMYANG AF 35mm F1.4 FE 」です。それではお楽しみください。  by 編集部

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■ 圧倒的なコストパフォーマンス

写真1
SAMYANG AF 35mm F1.4 FE 単体( 左 )と、レンズフードを装着したところ( 右 )

SAMYANG AF 35mm F1.4 FE 単体( 左 )と、レンズフードを装着したところ( 右 )

「 SAMYANG AF 35mm F1.4 FE 」は、ソニーEマウント・フルサイズ対応の AF 35mm レンズ。SAMYANG 製ソニーEマウントのフルサイズ対応レンズとしては、50mm F1.4、14mm F2.8、35mm F2.8 に続いて4台目となる。

写真2
SAMYANG AF 35mm F1.4 FE を Sony α7R III に装着したところ

SAMYANG AF 35mm F1.4 FE を Sony α7R III に装着したところ

Eマウントで 35mm F1.4 といえば、同じスペックでソニー純正の「 Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA 」を意識せざるをえない。フィルター径こそ「 Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA 」は 72mm で、このレンズは 67mm と違いはあるが重さはほぼ同じ。最短撮影距離が 0.3m、最小絞りは F16、絞り羽根9枚と、撮影使用でのスペックは全く同じ。

写真3
ちなみに AF 35mm F2.8 FE との比較

ちなみに AF 35mm F2.8 FE との比較

となると、価格の強みを持つのがサムヤン。「 Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA 」は 20 万円前後と高額だが、サムヤン AF 35mm F1.4 FE は7万円前後と、純正レンズの約3分の1にしてこのスペックとしては安価。「 Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA 」は価格に見合う素晴らしい写りなのは当然だが、私から言わせていただければ「 AF 35mm F1.4 FE 」の写りは価格を大きく上回っている。まさにサムヤン本領発揮というところだ。

AF 35mm F1.4 FE のレンズ構成は9群 11 枚。高屈折レンズ( HR )2枚と非球面レンズ2枚を採用。金属製の鏡筒デザインは、これまでのサムヤン AF レンズと同じく、とてもシンプルで高級感が漂う。アクセントカラーとなる赤いリングが、ソニー α9/α7 シリーズのマウントカラーに合わせてか、装着するととても似合う。

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■ メーカーサイト ■
SAMYANG AF 35mm F1.4 FE

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■ ポートレートで試してみた

今回もポートレートで試してみた。撮影は全編 α7R III。AF はほぼ AF-C で瞳 AF。F1.4 開放でどんどん撮影するには、とても心強い。AF は静かで速い。撮影中のストレスは全く感じない。

※ 注意
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。

写真4  実画像 ファイルサイズ:約 14.8MB
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/320 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/320 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真5  実画像 ファイルサイズ:約 15.2MB
逆光、絞り開放で撮影。開放での描写は、滲みのある独特の描写。シャープさに欠けるということではなく、じわっと滲む。この描写にハマり、積極的に使うユーザーが登場すると思う  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/1000 秒 )+1.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

逆光、絞り開放で撮影。開放での描写は、滲みのある独特の描写。シャープさに欠けるということではなく、じわっと滲む。この描写にハマり、積極的に使うユーザーが登場すると思う
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/1000 秒 )+1.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真6  実画像 ファイルサイズ:約 13.1MB
丸ボケは綺麗な円形ではないものの、特に嫌な感じにはならない。ポートレート撮影でキラキラした印象を出すには十分  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f2.0 1/1000 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

丸ボケは綺麗な円形ではないものの、特に嫌な感じにはならない。ポートレート撮影でキラキラした印象を出すには十分
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f2.0 1/1000 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真7  実画像 ファイルサイズ:約 13.4MB
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.8 1/250 秒 )+1.0 補正 ISO:125 WB:太陽光 RAW

Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.8 1/250 秒 )+1.0 補正 ISO:125 WB:太陽光 RAW

写真8  実画像 ファイルサイズ:約 15.4MB
人物と背景が近い場所だが、35mm ながら F1.4 はさすがにボケる。35mm なら少しの遠近感誇張で、自然と馴染む広がりを撮影できる。さらには F1.4、ボケのコントロールに幅があるのは強み  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/500 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

人物と背景が近い場所だが、35mm ながら F1.4 はさすがにボケる。35mm なら少しの遠近感誇張で、自然と馴染む広がりを撮影できる。さらには F1.4、ボケのコントロールに幅があるのは強み
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/500 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真9  実画像 ファイルサイズ:約 15.2MB
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/2000 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/2000 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真10  実画像 ファイルサイズ:約 16.4MB
F1.8 に絞って撮影。2/3 段絞っただけなのに、シャープさが増し、すっきりとした描写になる。私の感覚では F2.8 あたりから猛烈な解像感が得られる  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.8 1/500 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

F1.8 に絞って撮影。2/3 段絞っただけなのに、シャープさが増し、すっきりとした描写になる。私の感覚では F2.8 あたりから猛烈な解像感が得られる
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.8 1/500 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真11  実画像 ファイルサイズ:約 13.4MB
ちょっと恥ずかしいと言いながらも、アップで撮影させてくれました。舌と唇の潤い感の再現を是非ご覧いただきたい  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f2.2 1/250 秒 )+1.7 補正 ISO:160 WB:太陽光 RAW

ちょっと恥ずかしいと言いながらも、アップで撮影させてくれました。舌と唇の潤い感の再現を是非ご覧いただきたい
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f2.2 1/250 秒 )+1.7 補正 ISO:160 WB:太陽光 RAW

写真12  実画像 ファイルサイズ:約 12.3MB
距離感を思った以上に詰められるのは 35mm の嬉しいところ。このレンズの最短撮影距離は 0.3m。ポートレートだと顔が切れてしまうほど寄ることができる  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/250 秒 )+1.7 補正 ISO:250 WB:太陽光 RAW

距離感を思った以上に詰められるのは 35mm の嬉しいところ。このレンズの最短撮影距離は 0.3m。ポートレートだと顔が切れてしまうほど寄ることができる
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/250 秒 )+1.7 補正 ISO:250 WB:太陽光 RAW

写真13  実画像 ファイルサイズ:約 12.9MB
背景のボケ方はとても滑らかでクセがない。すっきりとしたボケの中で、しっとりと描写の中、モデルが浮かび上がる  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/250 秒 )+1.0 補正 ISO:125 WB:太陽光 RAW

背景のボケ方はとても滑らかでクセがない。すっきりとしたボケの中で、しっとりと描写の中、モデルが浮かび上がる
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/250 秒 )+1.0 補正 ISO:125 WB:太陽光 RAW

写真14  実画像 ファイルサイズ:約 12.5MB
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/400 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/400 秒 )+1.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真15  実画像 ファイルサイズ:約 12.2MB
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/320 秒 )+1.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/320 秒 )+1.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真16  実画像 ファイルサイズ:約 13.1MB
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/250 秒 )+0.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/250 秒 )+0.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真17  実画像 ファイルサイズ:約 14.6MB
前ボケを入れてみる。距離を考えてもボケはうるささを感じず。前ボケを入れると距離感が出る。35mm ながら背景を大きくぼかすことができる恩恵  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.4 1/250 秒 )+1.3 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

前ボケを入れてみる。距離を考えてもボケはうるささを感じず。前ボケを入れると距離感が出る。35mm ながら背景を大きくぼかすことができる恩恵
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.4 1/250 秒 )+1.3 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真18  実画像 ファイルサイズ:約 13.2MB
シャドウ部の階調も良い。超高画素の α7R III で撮影しているので、特にシャドウの描写を見てしまう。結果は満足! F1.8 に絞っただけでこのシャープさだ  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.8 1/320 秒 )-0.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

シャドウ部の階調も良い。超高画素の α7R III で撮影しているので、特にシャドウの描写を見てしまう。結果は満足! F1.8 に絞っただけでこのシャープさだ
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.8 1/320 秒 )-0.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真19  実画像 ファイルサイズ:約 16.1MB
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f1.8 1/250 秒 )-0.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f1.8 1/250 秒 )-0.7 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真20  実画像 ファイルサイズ:約 21.2MB
絵画のような画を求めて。くっきりシャープな描写で、肌の質感も伝わってくる。F2.0 でこの解像感だ  Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f2.0 1/800 秒 )-3.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

絵画のような画を求めて。くっきりシャープな描写で、肌の質感も伝わってくる。F2.0 でこの解像感だ
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f2.0 1/800 秒 )-3.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

写真21  実画像 ファイルサイズ:約 21.8MB
Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE  絞り優先 AE( f2.0 1/800 秒 )-3.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

Sony α7R III+AF 35mm F1.4 FE
絞り優先 AE( f2.0 1/800 秒 )-3.0 補正 ISO:100 WB:太陽光 RAW

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■ 総評

普段、グラビアなどの仕事撮影では 35mm を自分の中の標準レンズ的存在として撮影を構築している。それだけに 35mm レンズは大切に、かつシビアに観察している。その私が今回この AF 35mm F1.4 FE を使用しての印象は、一言「 使える 」。仕事では費用対効果が求められる。要は「 元が取れるかどうか 」。35mm F1.4 というスペックからすれば、純正はやや高めだなと思いつつも仕方がないかなと思える価格。でも元を取れるか、と考えたら、なかなかの頻度でなければ……だろう。だがこの AF 35mm F1.4 FE は、このスペックとしては手を出しやすい。そして肝心の写りはご覧いただいた通り。大口径を導入しようと考えている α ユーザーのハードルは低いと言えるだろう。開放はやや滲みのある描写で独特の写り。F1.8 あたりからすでにシャープさを見せてくれ、その後は文句のない描写で迎えてくれる。

今回はポートレートのみでレビューしたが、全てのジャンルで高いパフォーマンスを見せてくれるだろう。ぜひ、お試しあれ!

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SAMYANG AF 35mm F1.4 FE

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■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸

■ モデル ■
山田あみ(ソレイユ)
山田あみ・ブログ
山田あみ・Twitter

■ ヘアメイク ■
町田恭子

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著者について
■ 萩原 和幸 (はぎわら かずゆき) 写真家 ■   1969年 静岡県出身。東京工芸大学写真技術科卒業、静岡大学人文学部法学科卒業。 写真家・故今井友一氏師事。独立後、K&S Photograph∞を設立。 フリーランスのフォトグラファーとして雑誌での撮影・執筆や広告撮影などで活動中。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。静岡デザイン専門学校非常勤講師。