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萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第19回
SAMYANG XP 35mm F1.2

Posted On 26 2月 2019
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写真と文:萩原 和幸

TOPIX

本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのは、焦点距離35mm・開放F1.2、5,000万画素以上の最新デジタル一眼レフカメラでの写真や8K以上の動画撮影に対応する、最高の解像力と豊富な表現力を備えたレンズ「SAMYANG XP 35mm F1.2 」です。それではお楽しみください。  by 編集部

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■ 大口径F1.2、超高画素対応レンズ

第19弾は「SAMYANG XP 35mm F1.2」、35mm フルサイズフォーマット用としてデザインされたマニュアルレンズだ。SAMYANGの高性能レンズライン「XP」シリーズのラインナップされる本機は、85mm F1.2、14mm F2.4、50mm F1.2に続く第4弾となる、XPシリーズの最新レンズだ。

XPシリーズは、5,000万画素以上の超高画素や8K以上の動画に対応する最高の解像力を謳ったシリーズで、マニュアルレンズながらも電子接点を備えており、EXIFデータの記録やカメラ側からの絞り操作が可能。

私は、35mm という焦点距離には非常に関心がある。現在の私は、撮影となると35mmこそスタンダードレンズと成る程、重要な焦点距離。それだけについつい喰いついてしまう。そんな“大好物”な35mmの、ユーザーにとっての憧れともいうべき開放値F1.2という大口径。マニュアルレンズとは言え、これだけの開放値で、しかも5,000万画素越えの超高画素かつ8K動画対応となれば、当然画質に期待してしまう。スペックだけに注目すれば、20万円〜30万円超えの価格を考えてもおかしくないが、そこはさすがのSAMYANG。約13万円とハイ・コストパフォーマンスを見せつけてくれる。

F1.2という開放値は、ボケをコントロールすることによる表現の自由度が大きくなるほか、光の条件が乏しいところでパフォーマンスを発揮する。何よりF1.2という余裕が撮影にも生まれてくる。やや広めに感じる35mmという画角は、遠近感の誇張の中でボケをコントロールする面白さを一番感じられる画角だ。

写真1 SAMYANG XP 35mm F1.2
レンズ構成は10群12枚、中心から周辺部まで鮮明な画像が得られる

レンズ構成は10群12枚、中心から周辺部まで鮮明な画像が得られる

このレンズの構成は10群12枚。特殊レンズであるASP(特殊非球面レンズ)を2枚、ED(高屈折レンズ)を1枚、HR(低分散レンズ)を前群に3枚採用し、高解像かつ各種収差を制御。中心から周辺部まで、鮮明な画像を提供してくれる。フィルター径は86mm。

写真2 Canon EOS 5D MarkⅣに装着した様子
Canon EOS 5D MarkⅣに装着した様子

Canon EOS 5D MarkⅣに装着した様子

マウントはキヤノンEFのみ。今回の撮影はEOS 5D MarkⅣで行った。

写真3 フードを装着した様子
フードを装着した様子

フードを装着した様子

重量は1,106gと、35mmのマニュアルレンズとしてはかなり大柄だが、このところの高画素対応の負担としてレンズが大型化している傾向にあるので、F1.2のスペックである事を考えると、さほどサイズ感についての違和感は感じられなかった。

フォーカスリングはラバー仕様になっており、指へのフィット感は申し分ない。浅い被写界深度を扱うには理想的だ。トルク感はやや重めで、このレンズでのピント合わせには良好だ。

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■ メーカーサイト ■
SAMYANG XP 35mm F1.2

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■ ポートレートを中心に試してみた

では早速撮影に出かける。画角35mmは、仕事で多用する“標準レンズ”なので、ポートレート中心で撮影を行うことにした。ボケ味や逆光性能、肌の発色など、実践に伴う観察で撮影を行ってみた。

※ 注意
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。

写真4  実画像 ファイルサイズ:約 12.1MB
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1600秒)+1.3補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1600秒)+1.3補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真5  実画像 ファイルサイズ:約 11.2MB
発色はやや控えめで、後から意図に応じて再度等を調整する感じだ。ボケそのものは癖はないが、やや重めで、状況説明にも適したボケだ。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/500秒) ISO200 WB:マニュアル RAW

発色はやや控えめで、後から意図に応じて再度等を調整する感じだ。ボケそのものは癖はないが、やや重めで、状況説明にも適したボケだ。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/500秒) ISO200 WB:マニュアル RAW

写真6  実画像 ファイルサイズ:約 12.6MB
35mmのいいところは、ほんの少しのお互いの距離の変化、特に適度な引きの画を作りやすい点だ。お互い離れすぎるとコミュニケーションを取り辛くなるが、35mmの画角は、まさに適度。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1600秒)+1.3補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

35mmのいいところは、ほんの少しのお互いの距離の変化、特に適度な引きの画を作りやすい点だ。お互い離れすぎるとコミュニケーションを取り辛くなるが、35mmの画角は、まさに適度。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1600秒)+1.3補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真7  実画像 ファイルサイズ:約 9.8MB
ちょっと距離を詰めながらフレーミングしていく。背景は大きくボケているのに崩れていないので、ヌケを演出する参道が活きてくる。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1600秒)+1.0補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

ちょっと距離を詰めながらフレーミングしていく。背景は大きくボケているのに崩れていないので、ヌケを演出する参道が活きてくる。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1600秒)+1.0補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真8  実画像 ファイルサイズ:約 10.4MB
谷中のお約束。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/8000秒)+1.0補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

谷中のお約束。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/8000秒)+1.0補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真9  実画像 ファイルサイズ:約 8.5MB
輝度差の大きなシーン、シャドウ部の繊細な描写、絞り開放と考えると、このレンズのポテンシャルの高さが伺える。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/160秒)+0.7補正 ISO200 WB:オート RAW

輝度差の大きなシーン、シャドウ部の繊細な描写、絞り開放と考えると、このレンズのポテンシャルの高さが伺える。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/160秒)+0.7補正 ISO200 WB:オート RAW

写真10  実画像 ファイルサイズ:約 10.4MB
風になびく光る髪を意識。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1250秒)ISO200 WB:マニュアル RAW

風になびく光る髪を意識。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1250秒)ISO200 WB:マニュアル RAW

写真11  実画像 ファイルサイズ:約 11.8MB
広角レンズなので、前ボケはこんな感じだろう。ボケ具合は大きいが、ややもっさりした感じがする。後ボケは滑らか。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1250秒)+2.7補正 ISO200 WB:オート RAW

広角レンズなので、前ボケはこんな感じだろう。ボケ具合は大きいが、ややもっさりした感じがする。後ボケは滑らか。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/1250秒)+2.7補正 ISO200 WB:オート RAW

写真12  実画像 ファイルサイズ:約 10.4MB
狭い住宅街で真価を発揮。遠近感を誇張しながら、背景と近いながらもボケを見せ、自然に距離感が作られる。状況がすんなりと入ってくる。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/4000秒)-0.3補正 ISO200 WB:オート RAW

狭い住宅街で真価を発揮。遠近感を誇張しながら、背景と近いながらもボケを見せ、自然に距離感が作られる。状況がすんなりと入ってくる。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/4000秒)-0.3補正 ISO200 WB:オート RAW

写真13  実画像 ファイルサイズ:約 10.9MB
最短撮影距離で撮影。最短撮影距離は0.34m。個人的には0.3mまで頑張って欲しかった。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/125秒)-1.3補正 ISO500 WB:オート RAW

最短撮影距離で撮影。最短撮影距離は0.34m。個人的には0.3mまで頑張って欲しかった。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/125秒)-1.3補正 ISO500 WB:オート RAW

写真14  実画像 ファイルサイズ:約 9.8MB
狭い屋内、乏しい光、このレンズの大好物。背景がムリなくボケて、モデルを浮き上がらせる。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/160秒)-0.3補正 ISO400 WB:オート RAW

狭い屋内、乏しい光、このレンズの大好物。背景がムリなくボケて、モデルを浮き上がらせる。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/160秒)-0.3補正 ISO400 WB:オート RAW

写真15  実画像 ファイルサイズ:約 6.7MB
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/125秒)-0.3補正 ISO200 WB:オート RAW

Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/125秒)-0.3補正 ISO200 WB:オート RAW

写真16  実画像 ファイルサイズ:約 6.6MB
大きな窓から、うっすらと薄暮の光。その場の光の雰囲気を崩さないようにシャッターを切る。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/800秒)+0.7補正 ISO200 WB:オート RAW

大きな窓から、うっすらと薄暮の光。その場の光の雰囲気を崩さないようにシャッターを切る。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/800秒)+0.7補正 ISO200 WB:オート RAW

写真17  実画像 ファイルサイズ:約 8.5MB
夕日が彼女を照らす。デリケートな光の条件だったが、開放F1.2は丁寧に光を拾い上げる。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/320秒)-0.3補正 ISO200 WB:太陽光 RAW

夕日が彼女を照らす。デリケートな光の条件だったが、開放F1.2は丁寧に光を拾い上げる。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/320秒)-0.3補正 ISO200 WB:太陽光 RAW

写真18  実画像 ファイルサイズ:約 10.2MB
F2.8で、玉ボケをチェック。円形絞り採用なのだが、F2.8ではやや角が出る。しかし気になるほどではないと思う。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f2.8 1/125秒)+0.3補正 ISO1000 WB:オート RAW

F2.8で、玉ボケをチェック。円形絞り採用なのだが、F2.8ではやや角が出る。しかし気になるほどではないと思う。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f2.8 1/125秒)+0.3補正 ISO1000 WB:オート RAW

写真19  実画像 ファイルサイズ:約 11.6MB
町あかりを拾いながらの撮影も楽しい。Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/125秒)+1.3補正 ISO1250  WB:オート RAW

町あかりを拾いながらの撮影も楽しい。
Canon EOS 5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/125秒)+1.3補正 ISO1250  WB:オート RAW

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SAMYANG XP 35mm F1.2

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■ 総評

さすがに開放F1.2のボケは大きく、35mmという画角はスナップでもポートレートでも使い易い。ボケ味についてはすっきりとしながらも奥行きに深みを感じる。動画での被写体を浮き上がらせるためのボケとして、構図内を埋める“ボケ”の存在感を大いに抱かせる、重みのあるボケだ。ピント面はキリッと際立地、芯のある描写。クリアな印象でポートレートには使い易いレンズだ。

F1.2というスペックは、やはりそうそう簡単に扱えるものではないと思う。ましてや開放での極浅な深度をコントロールするからには、それなりの戸惑いもあるだろう。しかし、開放値F1.2のボケは伊達じゃない。このスペックしか得られない描写がある。これだけの高性能レンズなら、今後のデジタル一眼レフには当分は対応できる。時間的な余裕を持って、じっくりと付き合うレンズとなるのではないか。そんな1本だ

モデル:伊藤沙弥香(シェリーズ・エンタテインメント)

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萩原和幸
著者について
■ 萩原 和幸 (はぎわら かずゆき) 写真家 ■   1969年 静岡県出身。東京工芸大学写真技術科卒業、静岡大学人文学部法学科卒業。 写真家・故今井友一氏師事。独立後、K&S Photograph∞を設立。 フリーランスのフォトグラファーとして雑誌での撮影・執筆や広告撮影などで活動中。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。静岡デザイン専門学校非常勤講師。
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