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萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第20回
SAMYANG 85mm F1.4 AS IF UMC

Posted On 31 3月 2019
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写真と文:萩原 和幸

TOPIX

本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのはサムヤンレンズのロングセラー、焦点距離85mm・開放F1.4、フルサイズ対応単焦点レンズ「SAMYANG 85mm F1.4 AS IF UMC」です。それではお楽しみください。  by 編集部

Index

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■ 抜群のコスパを誇るロングセラー・レンズ

第20弾は、『85mmF1.4 AS IF UMC』。SAMYANGのロングセラーとして支持され続けている本レンズは、ポートレート撮影に最適な中望遠85mmにF1.4という大口径を備えた、フルサイズ一眼レフカメラ用に開発されたMFレンズだ。支持され続けている理由は、F1.4という明るさでMFとはいえ3万円台で入手できる抜群のコストパフォーマンスではないだろう。

ポートレート撮影では、ある意味“鉄板”とも言える画角である85mm。コミュニケーションを取りやすい、モデルを浮かび上がらせる適度なボケなど、多くの理由があって撮影に用いる愛好家が多い。かくいう私も85mmはよく使っており、ポートレート撮影だけでなく、スナップ撮影や風景撮影でも適度な切り出し・フレーミングの快適さなどもあり、ジャンルを問わずオールラウンドな画角だろう。

それだけに世に出回っている85mmは多く、絞り開放値もF1.2の超大口径から使い勝手重視のF2やF2.8など様々。そのような多くの85mmの中で、自分自身がどのような1本を選ぶかは、ジャンルやシーンに応じて選択することになるが、現在の大口径レンズは画質重視で大型化の傾向にある。本レンズのF1.4という大口径は大型化の傾向にある開放値の部類であり、フットワークの面で重いレンズは避けたいとの理由でF2クラスを選ばれている方も多いはず。でもF1.4を持っていきたい!…そうしたニーズにもこのレンズは応えてくれそうだ。

写真2 レンズ構成は7群9枚
Canon EOS 5D MarkⅣに装着した様子

Canon EOS 5D MarkⅣに装着した様子

レンズ構成は7群9枚。外観は梨子地仕上げで高級感が漂う。今回はキヤノンEFマウントを使い、EOS5D MarkⅣで撮影を行った。装着時のバランスは良い。ラインナップされているマウントは、キヤノンEFの他、ニコンF、ペンタックスK、ソニーAの各マウントだ。

写真2 付属のレンズフードを装着した様子
付属のレンズフードを装着した様子

付属のレンズフードを装着した様子

フードは必要以上に大きくなく、このレンズのボディサイズにマッチしている。

写真3 85mm/F1.4の大口径の割にはコンパクト
手のひらにすっぽりと収まるコンパクトサイズ

手のひらにすっぽりと収まるコンパクトサイズ

85mmのF1.4という大口径の割には、コンパクトな部類に入ると思う。重さはキヤノンEFマウントで540g。写真のように手のひらにすっぽりと収まる。フィルターサイズも77mmと、大口径F1.4にしては比較的小さい。これだけでもフィールドに持ち出すことへの億劫さが払拭されるのではないだろうか。ピントリングはやや重め。極浅の被写界深度を考えれば、これくらいの重さがあっていい。

■amazon で価格チェック■

■ メーカーサイト ■
SAMYANG 85mm F1.4 AS IF UMC

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■ ポートレートで試してみた

早速撮影に出かける。85mmは冒頭に述べた通りポートレート撮影での出番が多い。今回もポートレート撮影を行ってみた。さほど機材が大きくならないこともあり、ぶらぶらと歩きながらスナップ風のポートレートを撮影してみることにした。

※ 注意
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。

写真4  実画像 ファイルサイズ:約 9.1MB
背景の玉ボケをチェック。丸はとても綺麗。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/800秒)+1.0補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

背景の玉ボケをチェック。丸はとても綺麗。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/800秒)+1.0補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真5  実画像 ファイルサイズ:約 8.7MB
輝く髪が綺麗だ。この日はとても風が強く、モデルさんの髪が乱れているが、ご愛嬌ということでご容赦願いたい。開放時の中心部の解像はなかなかのもの。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)+1.0補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

輝く髪が綺麗だ。この日はとても風が強く、モデルさんの髪が乱れているが、ご愛嬌ということでご容赦願いたい。開放時の中心部の解像はなかなかのもの。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)+1.0補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真6  実画像 ファイルサイズ:約 11.8MB
前ボケをチェックすべく、菜の花をぼかしてみる。前ボケも後ボケも滑らかだ。距離感を作りながらも、彼女を浮かび上がらせてくれている。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/2500秒)+1.3補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

前ボケをチェックすべく、菜の花をぼかしてみる。前ボケも後ボケも滑らかだ。距離感を作りながらも、彼女を浮かび上がらせてくれている。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/2500秒)+1.3補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真7  実画像 ファイルサイズ:約 9.7MB
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/2500秒)+1.7補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/2500秒)+1.7補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真8  実画像 ファイルサイズ:約 10MB
濃い背景にて光る髪。輝度差が大きいところでの撮影。風に揺れる感じが柔らかい描写とマッチする。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/2500秒)-0.7補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

濃い背景にて光る髪。輝度差が大きいところでの撮影。風に揺れる感じが柔らかい描写とマッチする。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.2 1/2500秒)-0.7補正 ISO200 WB:マニュアル RAW

写真9  実画像 ファイルサイズ:約 11.8MB
撮影時は、ソメイヨシノはまだまだでした。ヤマザクラ系の元で。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)+1.0補正 ISO200 WB:オート RAW

撮影時は、ソメイヨシノはまだまだでした。ヤマザクラ系の元で。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)+1.0補正 ISO200 WB:オート RAW

写真10  実画像 ファイルサイズ:約 9.2MB
やや距離をとったところで自然に狙えるのも85mmのいいところ。カメラを意識していない表情がいい。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)+2.7補正 ISO200 WB:オート RAW

やや距離をとったところで自然に狙えるのも85mmのいいところ。カメラを意識していない表情がいい。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)+2.7補正 ISO200 WB:オート RAW

写真11  実画像 ファイルサイズ:約 9.1MB
ややあっさりした発色で、派手さは無い分好みのカラーに整えやすい。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/2500秒)+1.7補正 ISO200 WB:オート RAW

ややあっさりした発色で、派手さは無い分好みのカラーに整えやすい。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/2500秒)+1.7補正 ISO200 WB:オート RAW

写真12  実画像 ファイルサイズ:約 13.9MB
3月の午後の光を柔らかく捉える。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/6400秒)-0.3補正 ISO500 WB:オート RAW

3月の午後の光を柔らかく捉える。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/6400秒)-0.3補正 ISO500 WB:オート RAW

写真13  実画像 ファイルサイズ:約 11.1MB
85mmの圧縮効果を伺いながら、住宅街でのスナップ。ややクセのあるボケだが玉ボケはとても綺麗。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/640秒)+2.0補正 ISO400 WB:オート RAW

85mmの圧縮効果を伺いながら、住宅街でのスナップ。ややクセのあるボケだが玉ボケはとても綺麗。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/640秒)+2.0補正 ISO400 WB:オート RAW

写真14  実画像 ファイルサイズ:約 11.8MB
1段絞ってF2にすることで、シャープさが猛烈に増す。開放ではとてもソフトな描写だが、ちょっと絞ることで別の性格が見えてくる面白いレンズだ。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f2.0 1/640秒)-0.7補正 ISO200 WB:オート RAW

1段絞ってF2にすることで、シャープさが猛烈に増す。開放ではとてもソフトな描写だが、ちょっと絞ることで別の性格が見えてくる面白いレンズだ。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f2.0 1/640秒)-0.7補正 ISO200 WB:オート RAW

写真15  実画像 ファイルサイズ:約 10.1MB
ちょっとした光の入り方を敏感に追いかけていく。一部を切り取るのが得意な85mmならではの楽しみ方だ。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)-0.7補正 ISO200 WB:オート RAW

ちょっとした光の入り方を敏感に追いかけていく。一部を切り取るのが得意な85mmならではの楽しみ方だ。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)-0.7補正 ISO200 WB:オート RAW

写真16  実画像 ファイルサイズ:約 10MB
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/2500秒)+0.7補正 ISO200 WB:太陽光 RAW

Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/2500秒)+0.7補正 ISO200 WB:太陽光 RAW

写真17  実画像 ファイルサイズ:約 11.6MB
木漏れ日溢れるシーンを丁寧に切り取っていく。前ボケと後ボケに挟まれて、立体的に写し出すことができた。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)+0.3補正 ISO1000 WB:オート RAW

木漏れ日溢れるシーンを丁寧に切り取っていく。前ボケと後ボケに挟まれて、立体的に写し出すことができた。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)+0.3補正 ISO1000 WB:オート RAW

写真18  実画像 ファイルサイズ:約 11.3MB
狭い光の筋を、狭い路地で捉える。85mmを引きで撮影するのは本当に面白かった。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)-1.0補正 ISO1250  WB:オート RAW

狭い光の筋を、狭い路地で捉える。85mmを引きで撮影するのは本当に面白かった。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1600秒)-1.0補正 ISO1250  WB:オート RAW

写真19  実画像 ファイルサイズ:約 11.6MB
最短撮影距離は1.0m。ちょっと距離には不満が残るが、ポートレート撮影ではさほど気にならないだろう。Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1250秒)+1.3補正 ISO200 WB:オート RAW

最短撮影距離は1.0m。ちょっと距離には不満が残るが、ポートレート撮影ではさほど気にならないだろう。
Canon EOS5D MarkⅣ 絞り優先AE(f1.4 1/1250秒)+1.3補正 ISO200 WB:オート RAW

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SAMYANG 85mm F1.4 AS IF UMC

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■ 総評

撮影のほとんどを開放F1.4で撮影してみたが、ボケ味にややクセが感じられるものの、前ボケも後ボケも共に滑らかで、ボケを生かしたカットを撮影したくなった。F1.4の極浅の被写界深度にはライブビューでピントを追い込んだ方が確実だが、モデルと呼吸を合わせてシャッターを切っていく様もオツなもの。要は考え方で、マニュアルフォーカスで十分なシチュエーションでじっくり撮影をするのならば、これだけのスペックを3万円台で入手できる意味はかなり大きい。85mmとしてはコンパクトで取り回しも良く、『明るい85mmを持っておこうか』というライトな気持ちで手にしていただくには、最も適した中望遠レンズだろう。

モデル:佳奈

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萩原和幸
著者について
■ 萩原 和幸 (はぎわら かずゆき) 写真家 ■   1969年 静岡県出身。東京工芸大学写真技術科卒業、静岡大学人文学部法学科卒業。 写真家・故今井友一氏師事。独立後、K&S Photograph∞を設立。 フリーランスのフォトグラファーとして雑誌での撮影・執筆や広告撮影などで活動中。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。静岡デザイン専門学校非常勤講師。
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