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萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第16回
SAMYANG AF50mm F1.4 FE

Posted On 2018 10月 02
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写真と文:萩原 和幸


TOPIX

本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのは、ミラーレスカメラの特性を活かした専用設計により、優れた光学特性を実現した開放絞り F1.4 のフルサイズ対応単焦点 50mm AFレンズ「 SAMYANG AF50mm F1.4 FE 」です。それではお楽しみください。  by 編集部

Index

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■ サムヤンの気概が感じられるレンズ

第16弾は「AF50mm F1.4 FE」。現在サムヤンでラインナップされているAFのフルサイズ対応レンズは計6本。本レンズの他、ソニーEマウントでは前回紹介したAF 14mm F2.8 FE、AF24mmF2.8 FE、AF35mmF2.8 FE。そしてキヤノンEFマウントのAF 14mm F2.8 EFとAF 85mm F1.4 EFだ。

今回のAF50mm F1.4 FEは、マニュアルフォーカスレンズを数多くラインアップするサムヤンから初めて登場したAFレンズだ。初のAFレンズに標準レンズである50mmを選んだことからも、かなりの力が入っていることがうかがえる。ましてや開放値F1.4ともなれば、50mmレンズの長い歴史の中で、もっともスタンダードな開放値として認知されている”領域”だ。それゆえにメーカーを問わず、ユーザーから厳しい目にさらされる訳だが、それでもこのスペックを選択したサムヤンのAFに対する気概が感じられる。AF50mm F1.4 FEは、それだけ完成度の高さが期待されるレンズだ。

そもそもサムヤンの“50mm”に対するこだわりは凄いものがある。本レンズであるAF50mm F1.4 FEの他、フルサイズ対応のもので50mm F1.4 AS UMC、XP50mm F1.2もラインナップ。50mmというユーザーが一番求めている画角に各タイプで応えている。もちろん筆者自身も50mmには強いこだわりがあり、それだけにかなり厳しい目で描写や使い勝手を見てしまう。

写真1 α7R IIIに装着
SAMYANG AF50mm F1.4 FEをα7R IIIに装着

SAMYANG AF 50mm F1.4 FEをα7R IIIに装着

このAF50mm F1.4 FEは、デザインはAFレンズシリーズと統一されており、ソニーαシリーズにはぴったりだ。バランスはとてもよく、右手でカメラを握り、左手で下からそっと添えると、しっくりとフィットする。まさにベストな大きさ。ソニーαシリーズを意識したのかなといつも思うオレンジのラインがカメラとマッチして、これがカッコいい。

写真2 レンズ単体での様子
レンズ単体での様子

レンズ単体での様子

レンズ構成は8群9枚。非球面レンズを3枚採用し、UMCコーティングが施されている。

絞り羽根は9枚。フィルター径は67mm。重量は585g。

写真3 フードを装着した様子
フードは逆さに装着すれば収納可

フードは逆さに装着すれば収納可

撮影に使ったカメラはソニーα7R III。AFの駆動音はやや大きいが、速度自体はストレスを感じさせない。

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■ メーカーサイト ■
SAMYANG AF50mm F1.4 FE

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■ スナップで試してみた

では早速撮影に出掛ける。普段使いのぶらぶらスナップを中心に、持ち歩くことを念頭においてレビューしてみた。

※ 注意
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。

写真4  実画像 ファイルサイズ:約 11.9MB
夜を徘徊。開放値が明るいので、夜にも持ち出したくなる。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/320秒)-3.0補正 ISO100 WB:オート RAW

夜を徘徊。開放値が明るいので、夜にも持ち出したくなる。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/320秒)-3.0補正 ISO100 WB:オート RAW

写真5  実画像 ファイルサイズ:約 7.9MB
照明に照らされて。紅葉にはまだ早いが…。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/400秒)-0.7補正 ISO100 WB:オート RAW

照明に照らされて。紅葉にはまだ早いが…。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/400秒)-0.7補正 ISO100 WB:オート RAW

写真6  実画像 ファイルサイズ:約 14.8MB
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/125秒)-0.7補正 ISO500 WB:オート RAW

SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/125秒)-0.7補正 ISO500 WB:オート RAW

写真7  実画像 ファイルサイズ:約 23.8MB
曼珠沙華が咲き始めた。前ボケはなかなか綺麗。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/1250秒)-0.3補正 ISO100 WB:オート RAW

曼珠沙華が咲き始めた。前ボケはなかなか綺麗。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/1250秒)-0.3補正 ISO100 WB:オート RAW

写真8  実画像 ファイルサイズ:約 21.3MB
最短撮影距離で。最短撮影距離は0.45m。この焦点距離なら標準的。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/1250秒)-0.3補正 ISO100 WB:オート RAW

最短撮影距離で。最短撮影距離は0.45m、この焦点距離なら標準的。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/1250秒)-0.3補正 ISO100 WB:オート RAW

写真9  実画像 ファイルサイズ:約 25.4MB
後ボケはなだらかな印象で悪くない。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/2000秒) ISO100 WB:オート RAW

後ボケはなだらかな印象で悪くない。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/2000秒) ISO100 WB:オート RAW

写真10  実画像 ファイルサイズ:約 26.9MB
目に入ったシーンを直感的に切りとれるのが50mmのいいところ。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f5.0 1/2000秒)-2.3補正 ISO160 WB:オート RAW

目に入ったシーンを直感的に切りとれるのが50mmのいいところ。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f5.0 1/2000秒)-2.3補正 ISO160 WB:オート RAW

写真11  実画像 ファイルサイズ:約 26.7MB
裏路地にて。看板が面白く、絞ってシャープを出しながら撮影。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f8.0 1/125秒)-0.3補正 ISO640 WB:オート RAW

裏路地にて。看板が面白く、絞ってシャープを出しながら撮影。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f8.0 1/125秒)-0.3補正 ISO640 WB:オート RAW

写真12  実画像 ファイルサイズ:約 26.9MB
こういう雑多な感じが好きでして(笑)SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f9.0 1/125秒) ISO250 WB:オート RAW

こういう雑多な感じが好きでして(笑)
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f9.0 1/125秒) ISO250 WB:オート RAW

写真13  実画像 ファイルサイズ:約 18.3MB
こうした缶に植物を植えてあること自体、クスッと笑ってしまう。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f2.0 1/1000秒)-0.7補正 ISO400 WB:オート RAW

こうした缶に植物を植えてあること自体、クスッと笑ってしまう。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f2.0 1/1000秒)-0.7補正 ISO400 WB:オート RAW

写真14  実画像 ファイルサイズ:約 18.1MB
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/1000秒)+0.7補正 ISO100 WB:オート RAW

SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/1000秒)+0.7補正 ISO100 WB:オート RAW

写真15  実画像 ファイルサイズ:約 21.7MB
開放時はとても柔らかく、女性的な描写。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.6 1/8000秒)-2.0補正 ISO100 WB:オート RAW

開放時はとても柔らかく、女性的な描写。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.6 1/8000秒)-2.0補正 ISO100 WB:オート RAW

写真16  実画像 ファイルサイズ:約 12MB
開放値F1.4の余裕というか、お祭りの提灯をISO100でこのシャッター速度で撮影出来る。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/125秒)-1.7補正 ISO100 WB:オート RAW

開放値F1.4の余裕というか、お祭りの提灯をISO100でこのシャッター速度で撮影出来る。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/125秒)-1.7補正 ISO100 WB:オート RAW

写真17  実画像 ファイルサイズ:約 21.2MB
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/60秒)-1.0補正 ISO1200 WB:オート RAW

SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/60秒)-1.0補正 ISO1200 WB:オート RAW

写真18  実画像 ファイルサイズ:約 23.1MB
ちょっと早いイルミネーション(というか、一部分ではあったが)が行われていた。夜のシーンも冬に向かっているんだなあ。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/60秒)-0.3補正 ISO200 WB:オート RAW

ちょっと早いイルミネーション(というか、一部分ではあったが)が行われていた。夜のシーンも冬に向かっているんだなあ。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/60秒)-0.3補正 ISO200 WB:オート RAW

写真19  実画像 ファイルサイズ:約 22.2MB
ちょっとした街の営みを、誇張することなく切り取っていく面白さがたまらない。開放値が明るいこのレンズは良いお供になる。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.6 1/60秒)-1.3補正 ISO320 WB:オート RAW

ちょっとした街の営みを、誇張することなく切り取っていく面白さがたまらない。開放値が明るいこのレンズは良いお供になる。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.6 1/60秒)-1.3補正 ISO320 WB:オート RAW

写真20  実画像 ファイルサイズ:約 16.6MB
少し絞るとシャープさが前面に出てくる。玉ボケはこの絞りになるとやや角が感じられるが、気になるほどではない。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f3.2 1/400秒)-0.7補正 ISO100 WB:オート RAW

少し絞るとシャープさが前面に出てくる。玉ボケはこの絞りになるとやや角が感じられるが、気になるほどではない。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f3.2 1/400秒)-0.7補正 ISO100 WB:オート RAW

写真21  実画像 ファイルサイズ:約 17.9MB
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f2.0 1/400秒)ISO100 WB:オート RAW

SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f2.0 1/400秒)ISO100 WB:オート RAW

写真22  実画像 ファイルサイズ:約 23.4MB
冬の光を感じてしまう朝。着実に季節は動いているなあ。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f7.1 1/1600秒)-2.3補正 ISO100 WB:オート RAW

冬の光を感じてしまう朝。着実に季節は動いているなあ。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f7.1 1/1600秒)-2.3補正 ISO100 WB:オート RAW

写真23  実画像 ファイルサイズ:約 25.1MB
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f3.2 1/8000秒)-2.3補正 ISO100 WB:オート RAW

SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f3.2 1/8000秒)-2.3補正 ISO100 WB:オート RAW

写真24  実画像 ファイルサイズ:約 14.9MB
学校にいた教え子たちに写真を撮らせてもらった。F1.6と開放近くで撮影。ウエストアップで、背景のボケ具合が滑らかなのがよくわかる。夕日に輝く髪も綺麗だ。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.6 1/400秒)+1.0補正 ISO100 WB:オート RAW

学校にいた教え子たちに写真を撮らせてもらった。
F1.6と開放近くで撮影。ウエストアップで、背景のボケ具合が滑らかなのがよくわかる。夕日に輝く髪も綺麗だ。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.6 1/400秒)+1.0補正 ISO100 WB:オート RAW

写真25  実画像 ファイルサイズ:約 16.3MB
開放F1.4で撮影。バストアップで、柔らかい描写がソフトな印象を与え、ポートレートに向いている。とかくシャープさが求められたレンズが多い中、むしろ貴重ともいえる描写を得られるレンズだ。SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/200秒)+1.0補正 ISO100 WB:オート RAW

開放F1.4で撮影。バストアップで、柔らかい描写がソフトな印象を与え、ポートレートに向いている。
とかくシャープさが求められたレンズが多い中、むしろ貴重ともいえる描写を得られるレンズだ。
SONY α7RⅢ 絞り優先AE(f1.4 1/200秒)+1.0補正 ISO100 WB:オート RAW

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SAMYANG AF50mm F1.4 FE

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■ 総評

純正品はとかく金額が張るソニーEマウントレンズだが、コストパフォーマンスに優れたサムヤンレンズの中で、AFシリーズのEマウントレンズは多くの方にお使い頂きたいと常々感じている。純正品との価格差を、例えば撮影の機会に充てるとか、アクセサリーに投資するとか、別のものに用立てることができるからだ。AF50mm F1.4 FEの描写は申し分なく、描写そのものはとても素直で、被写体をまっすぐに引き出してくれる。テイスティングという言葉で表すと「癖のない」レンズであり、この価格で50mmの開放F1.4を入手できるので、「まずは使ってみるか」という気持ちにさせてくれるレンズだ。

最初に述べたが、50mmという画角は”激戦区”というよりも”聖域”に近いが、「ソニーEマウントで50mmレンズを使い倒す!」と言う意味では、このレンズはオススメだ。

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著者について
■ 萩原 和幸 (はぎわら かずゆき) 写真家 ■   1969年 静岡県出身。東京工芸大学写真技術科卒業、静岡大学人文学部法学科卒業。 写真家・故今井友一氏師事。独立後、K&S Photograph∞を設立。 フリーランスのフォトグラファーとして雑誌での撮影・執筆や広告撮影などで活動中。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。静岡デザイン専門学校非常勤講師。