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薮田織也の三脚レビュー
UTC-53II AS で滝と海を撮ってみた!

UTC-53II AS レビュー記事

Photo & Text:薮田織也

TOPIX

軽くてコンパクトで持ち運びに便利なトラベル三脚「 UTC-53II AS 」が、ベルボン株式会社から 2019 年2月に発売。そこで早速、本サイトでお馴染みの写真家・薮田織也にハウツーを交えたレビューをしてもらいます。氏は、CP+ 2019 でベルボン社ブース用に UTC-53II AS のポスター撮影も担当していたようなので、深く切り込んだレビューが期待できそうです。( 編集部 )

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■ UTC-53II AS のページはこちら ■

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2013 年の4月、ベルボン社のトラベル三脚 UT-63Q をレビューさせていただいてから6年。昨年末に開発が一区切りついていた同シリーズの最新機種 UTC-53II AS を、発売前なのにもかかわらず使わせていただく機会を得た。それではと、UTC-53II AS を持ってあちこちかけずり回って撮影してきたので、トラベル三脚シリーズのその進化の具合とその使い勝手を中心に、UTC-53II AS の魅力を皆様にご紹介したいと思う。

1.ミラーレスカメラに最適な UTC-53II AS

■写真1 UTC-53II AS と OLYMPUS OM-D E-M1X
推奨積載質量が 3.5kg あるのでフルサイズ一眼レフにも使えるが、トータルバランスで観るとボディもレンズも一回り小さなミラーレスカメラが似合う。写真は OM-D E-M1X を載せた状態

推奨積載質量が 3.5kg あるのでフルサイズ一眼レフにも使えるが、トータルバランスで観るとボディもレンズも一回り小さなミラーレスカメラが似合う。写真は OM-D E-M1X を載せた状態

トラベル三脚シリーズ UTC-53II AS を手にしてからというもの、ここ2~3ヶ月の間、OLYMPUS OM-D E-M1 mkII との組み合わせで海や山、渓谷へと出かけてきた。当初は Nikon D850 と Tamron SP 24-70mm を UTC-53II AS に載せてみて、ボディサイズが大きく重いフルサイズ一眼レフでも UTC-53II AS が十分に使えることは確信していた。D850 にも対応できるということは、各社のフルサイズミラーレスにも UTC-53II AS は軽々対応できるということになる。わたし薮田の経験則で書くと、ベルボン社が Web カタログなどで発表している「 推奨積載質量 」は他社のカタログと比べると安全マージンを取り過ぎているように感じる。実経験では表記されている質量よりも重い機材を載せても問題なかったことが多い。今回の UTC-53II AS の推奨積載質量は 3.5kg だが、今回の長い撮影ではそれを超えることが多かった。従来のトラベル三脚 UTC-63 よりも脚部が細くなった UTC-53II AS だが、脚部の付け根部分の内部構造を刷新したそうで、コンパクトにはなったが剛性は高くなっていると聞いた。

とはいえ、山や谷など登山中の撮影機材となると、少しでも軽くコンパクトにしたいというのが人情だ。そんなとき、仕事の関係で OLYMPUS OM-D E-M1X で作品撮りをする機会を得たので、UTC-53II AS と組み合わせて山梨は西沢渓谷に行ってきた。目的は七ツ釜五段の滝( 写真2 )だ。

■写真2 七ツ釜五段の滝
UTC-53II AS と OM-D E-M1X の組み合わせで撮った七ツ釜五段の滝  カメラ:OLYMPUS OM-D E-M1X レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO  フィルター:NiSi M75 システム Pro CPL + Soft nano IR GND8(0.9) + IR ND1000(3.0)  f/5.0 ss 20sec ISO:1600

UTC-53II AS と OM-D E-M1X の組み合わせで撮った七ツ釜五段の滝
カメラ:OLYMPUS OM-D E-M1X レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
フィルター:NiSi M75 システム Pro CPL + Soft nano IR GND8(0.9) + IR ND1000(3.0)
f/5.0 ss 20sec ISO:1600

七ツ釜五段の滝へは、西沢渓谷入り口の駐車場に車を止め、そこからハイキングコースを約5kmほど歩く。( 写真3 )ハイキングコースと書くと楽々行けそうな気がするが、遊歩道としてきちんと整備されいるわけではない。ところどころ道が崩れているし、大きく尖ったむき出しの岩の上を歩くことになるので、最低でもトレッキングシューズは必要だ。そんなロケーションに行くのだからこそ機材は軽くてコンパクトなものにしたい、というわけで前述のトラベル三脚とカメラの組み合わせを選んだわけだ。

■写真3 西沢渓谷の地図とハイキングコース
七ツ釜五段の滝は山梨県の北部、西沢渓谷にある。ハイキングコースとは言え、それなりの準備をしてから行くようにしよう。トレッキングシューズは必須。歩くときに両手を空けられるように、カメラバッグはリュックタイプがオススメ

七ツ釜五段の滝は山梨県の北部、西沢渓谷にある。ハイキングコースとは言え、それなりの準備をしてから行くようにしよう。トレッキングシューズは必須。歩くときに両手を空けられるように、カメラバッグはリュックタイプがオススメ

七ツ釜五段の滝へは駐車場から寄り道せずに歩けば2時間で着くとのことだが……、そこはホラ、運動不そ……あっいや、途中にあるいくつもの滝をね、三重の滝とか竜神の滝なんてのを撮りながらの行程ですからね、そりゃぁ時間がかかるわけですよ。駐車場を朝の6時半頃出て、七ツ釜五段の滝で撮影を始めるまでには、なんと6時間以上かかってしまった。この往復 10km の行程を歩いてみて、機材の軽さとコンパクトさがどれだけ撮影者の負担を軽くするかが実感できた。

■写真4 ハイキングコース
ハイキングコースとは名ばかりの場所が随所にある。柵も無く足を滑らせば深い崖( 左 )。鎖の柵がある場所は足元が岩だらけ( 右 )。崖崩れで沢を迂回する必要もある

ハイキングコースとは名ばかりの場所が随所にある。柵も無く足を滑らせば深い崖( 左 )。鎖の柵がある場所は足元が岩だらけ( 右 )。崖崩れで沢を迂回する必要もある

そんなわけで七ツ釜五段の滝を撮った結果が写真2 だ。角形 ND フィルターを使って 20 秒の長秒露光で撮影した。最近のカメラには高性能な手ブレ補正機能が搭載されて、OM-D E-M1X なんかだと5秒程度なら手持ちで撮れたりするのだが、さすがに 20 秒ともなると三脚無しでは無理。そこまで長秒露光ではなくても、光学的な解像力を最大限にして描写したければ、やっぱり三脚は必須な機材だといえるだろう。

七ツ釜五段の滝は新緑か紅葉の季節がオススメだが、その時節は観光客が押し寄せると思われるので三脚を使える状態かどうかは不明だ。足場は悪く、なによりも道が狭いので、三脚を設置すると他の人への迷惑になることがあるだろう。これ以上の三脚禁止エリアを増やさないためにも、マナーはくれぐれも守って撮影しよう。今回は三脚を堂々と使える来訪者の少ない時期を狙ったが、雪で覆われる時期の方が画になると思われる。登山のベテランであれば一度どうだろうか。まっ、今回はロケハンのつもりでもあったので次回に期待だ。それまでには崖崩れで立ち入り禁止になっていたコースの補修が終わっていることを期待しよう。

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2.縮長 350mm → 全長 1505mm !

■写真5 専用ケースが付属
UTC-53II AS にはクッション性のある専用のケースが付属。持ち運びやすさと周囲に対する安全を担保できる

UTC-53II AS にはクッション性のある専用のケースが付属。持ち運びやすさと周囲に対する安全を担保できる

ここでは UTC-53II AS の製品概要を少し紹介しよう。トラベル三脚と銘打たれた UTC-53II AS は、とにかく軽くてコンパクトだ。全高 1505mm にもなる三脚が、雲台( QHD-S5AS )がついた状態で 1330g しかない。同程度の全高を持つ普通の三脚なら 2 ~ 3kg はあることを考えれば、いかに UTC-53II AS が軽いかがわかるだろう。

■写真6 UTC-53II AS 折りたたまれた状態
UTC-53II AS は3本の脚が 180 度に展開できる。これにより折りたたんだ脚をエレベーター部と並べて収納でき、全長が 350mm、胴囲が約 270mm と、とてもコンパクトになる

UTC-53II AS は3本の脚が 180 度に展開できる。これにより折りたたんだ脚をエレベーター部と並べて収納でき、全長が 350mm、胴囲が約 270mm と、とてもコンパクトになる

UTC-53II AS の脚部は5段収納で、写真6のように畳んだ3本の脚を 180 度に折ってエレベーター部と並べて収納できる。この状態で全長が 350mm になる。この長さは B4 用紙の長辺より 14mm 短い。脚を折りたたんだ状態での胴回りは1辺が約 90mm の正三角形になる。コンパクトとはいえ、それなりの胴回りになるが、質量は 1330g しかないので片手で楽々と持てる。

■写真7 UTC-53II AS 脚のバリエーション
UTC-53II AS は脚を開いた状態の最低高が 288mm、脚とエレベーターを延ばした全高が 1505mm となる

UTC-53II AS は脚を開いた状態の最低高が 288mm、脚とエレベーターを延ばした全高が 1505mm となる

350mm までコンパクトになる UTC-53II AS だが、エレベーターを使った全高はというと、普通の三脚の標準的な高さと変わらない 1505mm。写真8はフランス人写真家のスティーブ氏と、筆者の薮田が UTC-53II AS を使っているシーンだが、エレベーターを最大には引き出していない状態での写真だ。薮田は身長 178cm、スティーブは……間違いなく 180cm 以上だろう。この写真からもわかっていただけるように、全高 1505mm は必要十分な高さだと言える。

■写真8 UTC-53II AS を使っているシーン
180cm オーバーはあるスティーブ氏( 上 )と、178cm の薮田( 下 )

180cm オーバーはあるスティーブ氏( 上 )と、178cm の薮田( 下 )

ひとつ UTC-53II AS の難点をあげておこう。それは三脚の重量とのトレードオフの関係にあることだが、UTC-53II AS はとにかく軽いため、風が強く吹く環境だと不安になってしまうのだ。ベルボン社の他の三脚製品ではエレベーター下端にフックが取り付けられるようになっていて、薮田はここにカメラバッグなど重いモノを吊すことでカーボン三脚の軽さの欠点を補っている。しかし UTC-53II AS にはフックを取り付けるためのネジなどの工夫がない。このネジがない製品の対策として、以前であれば「 ストーンバッグ 」と呼ばれる石を入れて三脚を安定させるアクセサリーがベルボン社から販売されていた。残念ながら今は生産終了になっている。

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3.脚の伸ばし方と使い方

実はトラベル三脚シリーズ UTC-53II AS は「 フツー 」の三脚ではない。どのように普通ではないかというと、初めてトラベル三脚シリーズを手にした人は「 使うためのコツ 」を掴む必要があるのだ。だからといって「 なんだか面倒そうだな 」とは思わないで欲しい。この「 使うためのコツ 」はすぐに掴めるし、最大限コンパクトに収納するための通過儀礼でもあると筆者は思うからだ。では、UTC-53II AS の脚部の伸ばし方と畳み方を紹介しよう。

■写真9 脚の開き方
1.3本の脚をすべて 180 度転回させる。2.中央部にあるロータリーハブを引き上げて 60 度回転

1.3本の脚をすべて 180 度転回させる。2.中央部にあるロータリーハブを引き上げて 60 度回転

UTC-53II AS を使う上で最初に覚えておかなければならいのが写真9の2枚目、エレベーター部付け根にあるロータリーハブと呼ばれる機構だ。3本の脚を 180 度開いたら、ここを上に持ち上げて左右どちらでも構わないので 60 度回転させる。ロータリーハブにあるノブが脚の付け根にある3段に切られた溝にカチッと音がして収まれば OK。収納するときは逆の手順で、ロータリーハブを元の状態に戻して脚をエレベーター側に倒す。初めての人が陥るポイントがここ。ロータリーハブを戻し忘れているために脚を収納できなくなって慌てるのだ。

■写真10 脚の伸ばし方と収納の仕方
脚の先端にある石突部を握り、反時計回り( 石突底面から眺めた場合 )にひねることでロックを解除し、必要な長さまで引き出した後で石突部を時計回りにひねると全段がロックされる

脚の先端にある石突部を握り、反時計回り( 石突底面から眺めた場合 )にひねることでロックを解除し、必要な長さまで引き出した後で石突部を時計回りにひねると全段がロックされる

次は脚の伸ばし方と収納の仕方だ。ここも UTC-53II AS が初めての人の頭の上に「?」が3つくらい並ぶポイント「 ウルトラロック 」機構だ。脚を伸ばすときは、先端にある硬質の「 石突 」を握り、反時計回り( 石突底面から眺めた場合 )にひねるとロックが外れた手応えを感じるはずだ。捻り続けて4回の手応えを感じればすべてのロックが解除され、脚を最大まで引き延ばせる。伸ばした脚を固定させたいときは、石突を時計回り( 石突底面から眺めた場合 )にひねり続ければすべてのロックが閉じる。このウルトラロック機構は、普通の三脚に慣れている人にとっては少し不安を感じるポイントだと思われるが、慣れると驚くくらい簡単に脚の長さを調節できることに気づくはずだ。

脚を収納するときは逆の行程。石突を反時計回りにひねってすべてのロックを解除して脚を押し込めばよい。

■写真11 エレベーターの調節
ロータリーハブの上にあるロックナットを反時計回りに回すとロックが緩み、エレベーターの高さを調節できるようになる

ロータリーハブの上にあるロックナットを反時計回りに回すとロックが緩み、エレベーターの高さを調節できるようになる

UTC-53II AS のエレベーターはロータリーハブの上にあるロックナットを緩めてから高さを調節する。ここも普通の三脚と異なる部分で、UTC-53II AS を使う上で最後の「?」ポイントだ。というのも、本製品はエレベーターが最大まで引き出された状態で収納されているので、写真6の状態に戻すときには必ずエレベーターを最大まで引き出し、雲台部を写真6のように 90 度に曲げておかなければならない。実際の撮影の現場で新人アシスタントから「 脚が畳めません… 」と泣きが入るときはこれが原因だ。

UTC-53II AS のエレベーター部はセンター棒が2段構造になっている。センター棒の下部を回して部分的に取り外せるようになっていて、エレベーターの長さを約 9cm ほど短くできるのだ。こうする目的は次で紹介する。

■写真12 3段階の開脚
ロータリーハブにあるノブをスライドさせて開脚角度を3段階に調節できる

ロータリーハブにあるノブをスライドさせて開脚角度を3段階に調節できる

UTC-53II AS の中央部にあるロータリーハブには、脚の開脚角度を調節するためのノブがある。このノブを左右中央のいずれかにスライドさせ、脚の付け根にある3段に切られた溝に合せることで開脚角度が調節できる。ノブを右端にすると最大開脚でき、UTC-53II AS を写真13 のようにローポジションで設置できるようになるわけだ。このとき、エレベーターのセンター棒下部を取り外せばエレベーターを最下まで下げられ、最低地上高が 288mm となる。

■写真13 最低地上高 288mm のローポジション設置
センター棒の下部を取り外し、ノブを右端に寄せて最大開脚にすると、最低高が 288mm になる

センター棒の下部を取り外し、ノブを右端に寄せて最大開脚にすると、最低高が 288mm になる

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4.自由雲台とアルカスイス互換シュー

新製品 UTC-53II AS でもっとも大きなトピック( といいながら先に書かないのも変だが )が、アルカスイス互換シューが使える新しい自由雲台が同梱されたことだろう。ベルボン社には QRA システムと呼ばれるオリジナルクイックシューが従来からある。このクイックシューはワンタッチでカメラの着脱ができる優れものなので、薮田は所有しているカメラと望遠レンズの数だけこのクイックシューを用意している。そんな優れたシューを作っているベルボン社が、2019 年からアルカスイス互換もバリエーションに加えたのだ。アルカスイス互換が使える撮影機材アクセサリーは世界的に普及しているし、最近発表されはじめた各社アクセサリーでもある種のブームになっているので、そのトレンドに対応しようという姿勢だろう。

■写真14 アルカスイス互換シューが使える自由雲台
アルカスイス互換シューが装着できる使いやすい自由雲台 QHD-S5AS。別売もされている。シューは脱落防止機構が装備されている

アルカスイス互換シューが装着できる使いやすい自由雲台 QHD-S5AS。別売もされている。シューは脱落防止機構が装備されている

ではアルカスイス互換だとどんなメリットがあるのかというと、多種多様のメーカーから発売されているアルカスイス互換カメラアクセサリーとシューの部分を共通して使える( 可能性がある )ということがあげられる。たとえば、アルカスイス互換シューを装着したカメラをカメラバッグのハーネス部分に取り付けたクランプ( シューを受ける側 )にワンタッチで着脱できるアクセサリー( ピークデザインのキャプチャーなど )や、光軸をあまり変えずにカメラのタテヨコを変更できるL型ブラケットが人気だが、そうしたアクセサリーとシューを共用して使えるというメリットがある。

■写真15 シューの雲台への装着方法
QHD-S5AS のシューには脱落防止用の( 取り外せる )ネジが装備されているので、クランプへシューを取り付けるときはクランプ側のネジを大きく緩めて、斜めに差し込む必要がある。なお、このシューは他社製レバー式クランプには対応していない

QHD-S5AS のシューには脱落防止用の( 取り外せる )ネジが装備されているので、クランプへシューを取り付けるときはクランプ側のネジを大きく緩めて、斜めに差し込む必要がある。なお、このシューは他社製レバー式クランプには対応していない

前段で「 可能性がある 」と断ったのには理由がある。アルカスイス互換とはいっても、ISO とか DIN などの国際規格標準化機関が定めた規格ではないので、互換をうたっていてもすべてのメーカー製の雲台で共通して使えるわけではない。そもそもだが、アルカスイスとはスイスで創業したフランスに拠点を置くカメラメーカーで、そのアルカスイスが自社のカメラ用に作った雲台の仕組みが、単純構造で安定感があり使いやすいとの理由から、多くのアクセサリーメーカーに使われ、個々に進化していった結果が現在の雲台のトレンドになっているのだ。いわゆる事実上の業界標準、デファクトスタンダードということだ。なので、アルカスイス互換の文字があるからといって、他社メーカー間での互換が確実だと思わず、必ず店頭なので確かめる必要がある。ちなみに、前述したピークデザインのキャプチャーと共用する場合は、キャプチャーのシューを UTC-53II AS に装着することはできるが、逆に UTC-53II AS のシューをキャプチャーに装着はできない。

■写真16 雲台は交換できる
UTC-53II AS の雲台は取り外して、他の雲台と交換できる

UTC-53II AS の雲台は取り外して、他の雲台と交換できる

もちろんだが、UTC-53II AS の雲台部は取り外せる。従来の雲台 QRA システム製品を持っている人にとっては、アルカスイス互換雲台ではない方がいいという場合もあるだろうが、近々 QRA 雲台が装備された UTC-53II も発売される予定( 2019 年 5月現在 )だそうだ。脚部のみでの販売はされないそうだ。

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5.磯で使ってみた!

■写真17 真鶴半島三ツ石海岸で撮影
日中に 15 秒の ND フィルターを使った長秒露光のため、三脚は必須。  カメラ:OLYMPUS OM-D E-M1X レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO  フィルター:NiSi M75 システム Pro CPL + Soft nano IR GND8(0.9) + IR ND1000(3.0)  ストロボ:Air10s + Nissin MG10  f/8.0 ss 15sec ISO:640

日中に 15 秒の ND フィルターを使った長秒露光のため、三脚は必須。
カメラ:OLYMPUS OM-D E-M1X レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
フィルター:NiSi M75 システム Pro CPL + Soft nano IR GND8(0.9) + IR ND1000(3.0)
ストロボ:Air10s + Nissin MG10
f/8.0 ss 15sec ISO:640

本サイトの読者はお気づきだろうが、写真17 は1ヶ月前にも本サイトの記事で使ったモノだ。そう、「 《3回連載》角型フィルターで変わる! エモーショナル風景写真 第1回 角型フィルターってなに? 」の記事だ。この時の撮影でも UTC-53II AS を使った。写真18写真19 をご覧いただければご理解いただけるだろうが、足場の悪い磯での撮影だ。ここも七ツ釜五段の滝ほどではないが、撮影現場に行くまでがそれなりに大変だ。こうした現場では、UTC-53II AS とミラーレスカメラの OM-D E-M1X のような軽い機材はホント重宝する。

■写真18 撮影風景1
脚部の角度と長さ調節がしやすい UTC-53II AS は、こうした足場の悪い現場で大変重宝する。写真は UTC-53II AS に OM-D E-M1X を装着。カメラ上部にはストロボ用コマンダーが装着されている

脚部の角度と長さ調節がしやすい UTC-53II AS は、こうした足場の悪い現場で大変重宝する。写真は UTC-53II AS に OM-D E-M1X を装着。カメラ上部にはストロボ用コマンダーが装着されている

■写真19 撮影風景2
角形フィルターを使って日中長秒露光をするため、iPad でモニタリングしながらレリーズを切った

角形フィルターを使って日中長秒露光をするため、iPad でモニタリングしながらレリーズを切った

写真19 では、iPad を使って OM-D E-M1X のレリーズを切った。15 秒の長秒露光なので、カメラ本体に触れずにレリーズを切りたかったからだ。続いて写真20 は伊豆は下田の爪木崎で撮った朝日。これも角型 ND とグラデーション ND による 10 秒の長秒露光だ。この写真では Nikon D850 + Tamron SP 15-30mm を UTC-53II AS に載せた。

■写真20 爪木崎の朝日
カメラ:Nikon D850 + Tamron SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD  f/8.0 ss 10sec ISO:64

カメラ:Nikon D850 + Tamron SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD  f/8.0 ss 10sec ISO:64

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6.総評

UTC-53II AS は、「 トラベル三脚 」というシリーズ名称が示すとおり、撮影旅行( 旅行ついでの撮影ではない )用に特化して開発された三脚だ。コンパクトで軽量な三脚ではあるが、その堅牢性はプロの撮影でも十二分に使える。山や渓谷、足場の悪い磯での撮影でも、安心してカメラやレンズを任せられる。また、脚部の長さや角度の調整も慣れれば素早く簡単にできるので、シャッターチャンスを逃しにくいというメリットもある。薮田は6年にわたってトラベル三脚シリーズを使い続けてきたが、風景撮影愛好家さん達に自信を持ってオススメできる三脚である。最後になったが、今回掲載した写真17 は、2019 年 5 月 31 日からオリンパスプラザ東京 地下1階ショールーム クリエイティブウォールで開催される「 広告写真家が撮る OM-D E-M1X の世界 」にプリント展示されるので、ご興味ある方は脚をお運びいただきたい。

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薮田 織也
著者について
■ 薮田 織也( Oliya T. Yabuta )人物・光景写真家 ■  1961 年生まれ。テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て、1995 年独立、人物写真家に。2000 年よりモデルプロダクションの経営に参画し、モデル初心者へのポージング指導をしながらポージングの研究を始める。2008 年「モテ写: キレイに見せるポージング」を共著で上梓。2003年か らStudioGraphics on the Web の創設メンバーとして活動。近著に「 美しいポートレートを撮るためのポージングの教科書 」( MdN 刊 )、監修書籍に「 ちょっとしたコツで10倍かわいく見える モテ[写]の教科書。」(MdN 刊)がある。公益社団法人 日本広告写真家協会 正会員
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