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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第54回 静岡(清水)・富士工場夜景の撮り方

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Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

夜景の中で確固たる地位を気づいている工場夜景。前回は「 第53回 北九州工場夜景の撮り方 」を解説いたしましたが、今回は近年人気急上昇中の「 静岡(清水)・富士工場夜景の撮り方 」を取り上げます。岳南電車以外にも見どころたっぷりの工場夜景が広がります。ぜひ、ご覧ください! by 編集部

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以前、静岡や富士山に関するテーマとして「第44回 全国有数のパノラマ夜景都市!美しい静岡夜景の撮り方」「第26回 富士山夜景の撮り方」を執筆いたしましたが、今回は今までに取り上げなかった、静岡市清水区と富士市の工場夜景スポットを取り上げます。昨年11~12月にかけて撮影した新しい写真を元に、作例紹介や撮影スポットでのコツをお伝えしたいと思います。富士山が綺麗に見えない時期でも、工場夜景撮影が楽しめるスポットはたくさんあり、工場との距離も近く、雨さえ降らなければ季節を問わず撮影が楽しめるスポットを厳選しました。

写真1 入道樋門公園でトワイライトタイムに化学工場を撮影(手持ち)

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:28mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1/10秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:12800 / WB:白色蛍光灯 ]

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■静岡・富士の特徴

今回紹介する静岡市清水区と富士市は県内でも特に工場夜景スポットが充実したエリアであり、富士市は全国十一大工場夜景都市に加わっている。天気の良い日であれば富士山と工場が撮影できることから、写真愛好家にも絶大な人気がある。一方で静岡市清水区は、薩た峠や日本平などの景勝地が有名で、工場よりも高台から見下ろす夜景スポットが充実している。

写真2 静岡市清水区と富士市の地図

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清水区はかつて、2003年3月末まで清水市であったが、現在は静岡市と合併している。後に由比町なども静岡市に合併した。(地図:CraftMap

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■静岡(清水)・富士の工場夜景撮影のポイント

工場夜景を撮影する上で特別な準備は必要無いが、工場との距離が近いため気象条件の影響はさほどなく、車に標準レンズや望遠レンズを積んで、ライト類を忘れずに持参すれば特段問題無いだろう。なお、イハラニッケイの撮影ポイントなど10分程度歩く場所もあるので、動きやすい服装がおすすめ。

写真3 イハラニッケイの撮影ポイントへ続く土手の入口

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イハラニッケイの工場夜景撮影ポイントは土手にあり、土手を10分ぐらい歩く必要がある。なお、土手への一般車の進入は禁止されている。(地図

(1)工場との距離が近いので季節の影響はさほど無い

雪化粧をした綺麗な富士山が見えるのは、年間のうち秋~冬に限られ、天候にも左右されるが、工場だけを撮る場合は、秋~冬に限らず年間を通じて楽しめる。もちろん、1日にたっぷり撮影を楽しむなら日没の早い秋~冬がベストだ。

(2)標準レンズ+望遠レンズの持参をおすすめ

工場との距離感の近い場所が多く、望遠レンズだけでは役不足になることが多い。基本は35mmフルサイズ換算で24-105mm相当の標準ズームレンズ、サブで70-200mmや70-300mmクラスの望遠ズームレンズがあると良いだろう。

(3)移動は車が基本

清水・富士の工場夜景スポットは岳南電車沿いを除き、最寄り駅から離れた場所が多いので、車移動が原則。ただし、静岡県内は比較的気温が高く、冬になっても雪が降る心配が少ないのは嬉しい。

(4)真っ暗な場所が多いのでライトの持参をおすすめ

撮影スポットは公園だけでなく、真っ暗な土手なども含まれるので、足元や機材を照らすライトの用意は欠かせない。

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■撮影スポット(1):蒲原(イハラニッケイ)

静岡市内で唯一無二とも言われている工場夜景スポット。静岡市内は化学系の工場が少なく、イハラニッケイの撮影ポイント以外はほとんど知られていない。イハラニッケイは一段高い土手から撮影でき、標準レンズで全景を撮るのも、望遠寄りの画角で工場の一部を撮るのも楽しめる。なお、土手へのアクセスは上記「写真3 イハラニッケイの撮影ポイントへ続く土手の入口」の地図の位置も参考にして欲しい。いきなりの訪問が心配な場合は、昼間に一度ロケハンをしておくと良いだろう。(地図

写真4 イハラニッケイ全景を写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-105mm F3.5-5.6 IS USM / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

写真5 望遠寄りの画角でプラントを写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-105mm F3.5-5.6 IS USM / 焦点距離:95mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:3.2秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(2):入道樋門公園沿いの土手

富士市内で最も有名な工場夜景スポット。公園から化学工場・ポリプラスチックスが撮影できるが、公園南側の土手からは一段高い場所から工場を見下ろすように撮影でき、さらに迫力ある工場夜景写真が撮れる。ただし、土手までの道は真っ暗なのでライトを忘れず。標準レンズで全景を撮るのも良いが、望遠レンズで工場の一部を切り取る方が作品として特徴が出しやすい。なお、工場の煙突が解体されるという話も出ている。(地図

写真6 土手からポリプラの全景を写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:50mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:オート(雰囲気優先) ]

写真7 望遠レンズで配管群を写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:TAMRON SP 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD (Model A035) / 焦点距離:161mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:オート(雰囲気優先) ]

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■撮影スポット(3):比奈(興亜工業)

岳南電車の比奈駅から徒歩圏内にある製紙工場で、「富士工場夜景マップ」にも掲載されている。道路から工場のプラントやタンクを見渡すことができ、青い柱に囲まれたプラントが特徴的。望遠レンズよりは標準レンズの出番が多い。なお、道路は一般車両やトラックなども通行することがあるので、安全面等には十分気をつけること。(地図

写真8 興亜工業のパイプやプラントを写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:62mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:オート(雰囲気優先) ]

写真9 興亜工業のタンクを写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:200 / WB:オート(雰囲気優先) ]

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■撮影スポット(4):岳南電車(夜景電車)

富士市内を走る全長9.2kmのローカル鉄道で、地元住民だけでなく、車内から工場夜景が眺められることから、観光客にも人気がある。「日本夜景遺産」にも選ばれており、日本一暗い夜景としてPRしている。時期にもよるが、主に隔週の土曜日に「夜景電車」を運行しており、車内の明かりを消して窓を開けての運転となるため、夜景撮影にもおすすめ。
なお、車窓からの夜景撮影は手持ち撮影となるので、カメラの設定は「船上での工場夜景撮影」と同様に、「高感度(ISO6400~25600程度)」「絞り開放寄り(F4以下を目安)」「露出補正はマイナス寄り」「手ブレ補正スイッチON」にして、シャッター速度を稼ぐようにしよう。レンズは絞り値が固定の24-70mm前後(絞り値はF2.8またはF4程度)の標準ズームレンズがおすすめ。(地図

写真10 岳南江尾駅で車両を写す(手持ち)

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:35mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1/40秒 / 絞り数値:F4 / ISO感度:16000 / WB:オート(雰囲気優先) ]

写真11 三菱商事フードテックを写す(手持ち)

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1/160秒 / 絞り数値:F4 / ISO感度:20000 / WB:オート(雰囲気優先) ]

写真12 日本食品化工(株)富士工場を写す(手持ち)

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1/100秒 / 絞り数値:F4 / ISO感度:20000 / WB:オート(雰囲気優先) ]

写真13 日本製紙富士工場の内部(手持ち)

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[ ボディ:CANON EOS 6D MarkII / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:24mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F4 / ISO感度:20000 / WB:オート(雰囲気優先) ]

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■今月のお勧め夜景スポット「興津清見寺町」

清水港を高台から見渡せる絶好のビューポイント。オレンジ色の温かみがある埠頭の明かりが美しく、撮影も観賞も楽しめる規模感が魅力。市街地からさほど離れた場所では無いが、道幅が広くないため、運転初心者は注意が必要。作例は単焦点の50mmで撮影しているが、望遠レンズでガントリークレーン群をアップで写すような構図もおすすめ。なお、車を停車させるときは、通行車両の迷惑にならないよう気をつけたい。(地図

興津清見寺町
営業時間:終日開放
所在地:静岡市清水区興津清見寺町
アクセス:JR東海道本線「興津駅」から車で約5~10分
料金:無料
URL:https://www.nightview.info/yakei/detail/okitsuseikenji/

写真14 清水港を写す

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[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM / 焦点距離:50mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。
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