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鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真撮影講座
第30回 おすすめ鉄道写真旅行02~秩父鉄道


railway30

Photo : Masato Endoh


TOPIX

鉄道写真の撮り方を体系的に解説している、鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真講座の 30 回目は、全国の鉄道風景の見どころも解説してゆくシリーズをお届けします。本シリーズの1回目は「 宗谷本線 」を取り上げました。シリーズ2回目の今回は、「秩父鉄道」の解説です。ぜひご覧ください。記事作成時と撮影時は状況が異なる場合がございます。マナーを守り撮影を楽しんでください。 by 編集部

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みなさまこんにちは!鉄道写真家の遠藤真人です。今回はおすすめ鉄道写真旅行の2回目として、秩父鉄道をご紹介します。こちらの路線も見どころがたくさんある路線です。ピクニック気分での撮影にも、本格的な撮影にも向いている鉄道です。天気の良い日にお出かけしてみてはいかがでしょうか。それでは早速スタートです。

Index

1.武州を横断する由緒ある秩父鉄道

秩父鉄道は明治時代に上武鉄道として生まれた鉄道です。明治 34 年に熊谷-寄居間で運行を開始した路線です。その後も延伸工事が行われ、大正3年には秩父まで線路が到達しました。大正5年には社名を秩父鉄道株式会社と改称し、現在の名称となりました。大正 11 年には熊谷-影森が電化完了するなど新技術の導入が比較的早い鉄道でもありました。鉄道事業はさらに発展してゆきました。昭和5年には現在の営業区間と同じ、行田-三峰口間が鉄道で結ばれました。

写真1
焦点距離:115 mm / シャッター速度:1/640秒 / 絞り数値:F5.6/ ISO感度:640

焦点距離:115 mm / シャッター速度:1/640秒 / 絞り数値:F5.6/ ISO感度:640

秩父鉄道は平地から渓谷を経て山間部にいたる、とても変化に富んだ路線です。沿線の風景を大きく分けて紹介すると、行田から寄居の区間は田園が広がる平地です。寄居から秩父までの区間は荒川に沿って走ります、渓谷地帯が続き所々で趣ある橋梁を渡ります。秩父鉄道の景勝地である、煉瓦積みで有名な荒川橋梁もこの区間にあります。秩父から終点の三峰口までは、路線は山間部を抜けてゆきます。勾配とカーブが多く鉄道にとっては険しい区間です。車窓からは秩父の名所、武甲山も間近に見ることができます。

写真2
焦点距離:113 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:640

焦点距離:113 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:640

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2.秩父鉄道の見どころ

写真3
焦点距離:100 mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F6.3/ ISO感度:640

焦点距離:100 mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F6.3/ ISO感度:640

秩父鉄道の最大の魅力は、季節や区間によって風景が一変するところです。春は梅や桜が線路に沿って咲いています。特に駅の前後が狙い目で桜並木があり、春を満喫できる路線として有名です。夏は涼しさを求めて、川沿いに観光客が集まります。長瀞周辺では川下りの船も運行されていて、賑やかな行楽の風景が広がります。秋は山が赤色に染まり、車窓から眺めるだけでも十分に季節の風を味わえます。秩父地方の冬に降雪はほとんどありませんが、枯れ木の風景も関東らしさを感じられます。すべての季節を満喫できる、楽しい路線といえるでしょう。

写真4
焦点距離:115 mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.0 / ISO感度:640

焦点距離:115 mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.0 / ISO感度:640

秩父鉄道を走る車両も種類が多く個性的です。普通列車は2両もしくは3両編成で運行されています。現在使用されている車両の多くは、過去に大手私鉄で活躍していた車両です。それほど古い車両ではありませんが、懐かしさを感じる人も多いのではないでしょうか。他にも専用車両を使用した急行秩父路号や貨物列車も走っており、様々な車両をみているだけでも十分に楽しめます。中でも秩父鉄道で目玉となる存在が観光列車のパレオエクスプレスです。

パレオエクスプレスは昭和 63 年から運行が開始された SL 牽引のイベント列車です。現在は主に3月から 12 月までの土休祝日を中心に一日一往復運行されています。区間は熊谷から三峰口の間をゆっくり走ります。C58型蒸気機関車が客車4両を引き連れて走ります。終点の三峰口では機関車は転車台を使い方向転換をします。この場面は今ではとても珍しいものであり、鉄道ファンにとても人気があります。良いシャッターチャンスと言えるでしょう。令和2年からは三峰口駅に隣接した公園が再整備されて、機関車を間近で見学できるようになりました。運行日は見学の親子連れで賑わいます。それでは沿線の撮影しやすい場所をご紹介してゆきます。今回の場所はどちらも駅から徒歩で移動しやすい範囲に存在しています。一日フリー切符などを購入して、気ままに移動すると楽しい撮影となりそうです。

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3.撮影スポット1 上長瀞駅付近

秩父鉄道で最初にご紹介するのは、超有名スポットの荒川橋梁です。こちらは秩父鉄道の中間地点である長瀞町にあります。長瀞といえば関東にある有名観光地です。秩父観光といえば、この橋の写真をみたことがある方も多いのではないでしょうか。この橋梁は煉瓦積みで造られた歴史のある橋です。ポスターなどでこの姿を知っている方も多いのではないでしょうか。

写真5
焦点距離:159mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:320

焦点距離:159mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:320

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/UWKddUQSFGJidyqL6

この荒川橋梁は上長瀞〜親鼻駅の間にあります。位置としては上長瀞駅から直線距離で200 メートルぐらいの場所にあります。川の上流側・下流側ともに撮影可能です。この写真は橋梁の全体を入れるべく、上流側から中望遠のレンズで撮影しました。後ろの山が近くて季節の雰囲気が写しやすい場所といえます。この日は曇りでしたが、午前は下流側・午後は上流側が順光となります。列車はゆっくり走るので、遅めのシャッタースピードでも大丈夫です。

写真6
焦点距離:165mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:320

焦点距離:165mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:320

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/UWKddUQSFGJidyqL6

同じような角度から、パレオエクスプレスを狙ってみました。三峰口へゆく往路の列車は煙を出して加速してゆくことが多いです。じっくりと腰を据えて狙いたい場面です。この写真は珍しく秩父地方で雪が降った翌日の写真です。関東の雪は降ったとしても、多くの場合は翌日の昼前後には溶けてなくなるような量しか降りません。冬季は蒸気機関車の運行も少なく、貴重な場面といえます。寒い季節は煙に色がつきやすいので、撮影にはもってこいです。

写真7
焦点距離:600mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:320

焦点距離:600mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:320

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/HRMbhasNjpXLTo4A7

上長瀞駅近くには、もう一箇所撮影スポットがあります。それは長瀞-上長瀞駅間にある桜並木です。こちらは上長瀞から 100 メートルも行かない場所にあります。秩父の桜は例年4月初旬から中旬程度まで咲きます。天気予報や観光協会の情報をリサーチして、その年のタイミングを調べましょう。このスポットは特に SL 運行日は大混雑となります。お互いに譲り合って、往来の妨げにならないよう注意しましょう。

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4.撮影スポット2 三峰口駅付近

次に紹介するスポットは三峰口駅の周辺です。こちらは秩父鉄道の終着駅です。駅を出て線路を渡ると駅を見渡せる公園が併設されています。ここでは列車を近くで見学できます。2020 年には公園が再整備され、より停まっている列車が見学しやすくなりました。

写真8
焦点距離:16 mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:250

焦点距離:16 mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:250

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/FiyifsgF2AdUtgEn8

写真9
焦点距離:26 mm / シャッター速度:1/400秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:200

焦点距離:26 mm / シャッター速度:1/400秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:200

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/FiyifsgF2AdUtgEn8

こちらのスポットで押さえておきたい場面は、こちらの転車台にのる蒸気機関車の姿です。13 時前に到着した SL は折り返しの時間まで、整備を行います。30 分ほどすると方向転換するために転車台が稼働します。そのような場面も撮影可能です。乗り鉄の皆さまにも十分に楽しめるスポットです。
転車台近くでは広角レンズが必需品です。忘れないようにカメラバックに入れておきましょう。

写真10
焦点距離:400mm / シャッター速度:1/250秒 / 絞り数値:F9.0 / ISO感度:400

焦点距離:400mm / シャッター速度:1/250秒 / 絞り数値:F9.0 / ISO感度:400

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/FiyifsgF2AdUtgEn8

スナップ撮影での定番レンズは、広角から標準領域です。できるだけ身軽な格好の方が良いでしょう。しかしながら蒸気機関車の場合は迫力がある雰囲気を望遠レンズで切り取ると格好よく写ります。この時はフェンスの外から超望遠レンズでボイラー部分をアップで狙いました。停まって状態とはいえ、煙が写ると迫力が違います。

写真11
焦点距離:400 mm / シャッター速度:1/250秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:400

焦点距離:400 mm / シャッター速度:1/250秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:400

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/FiyifsgF2AdUtgEn8

今度は車輪回りの蒸気が漂う場所を狙ってみました。このような写真は実際に動いている状態よりも、このように停まっている時が狙い目です。走行状態の姿だけでなく、じっくり被写体と対峙するとシャッターチャンスが無限にうまれることでしょう。この場所に限らず、蒸気機関車が停まっている駅など私も好んで撮影しています。この写真はかなり部分的な狙いをしています。

写真12
焦点距離: 50mm / シャッター速度:1/2000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:400

焦点距離: 50mm / シャッター速度:1/2000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:400

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/oA43rgF2BRgZEwgm8

秩父駅を線路沿いに歩くと、しばらくの間は道路と線路が並走しています。こちらもお手軽な撮影スポットです。電線などが少しうるさいですが、山を降ってくる雰囲気があって秩父鉄道らしい雰囲気が写せます。レンズは中望遠程度のものがあると、周囲の景色も入れ込んで撮影可能です。安全な距離から迫力のある姿を捉えることが可能です。比較的線路から近い距離で撮影するため、シャッタースピードは早めに設定しておいた方が良さそうです。

写真13
焦点距離:550 mm / シャッター速度:1/640秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:500

焦点距離:550 mm / シャッター速度:1/640秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:500

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/h5QoeANWyayfis6U9

蒸気機関車と定番撮影スポットといえば、思いっきり加速をする駅発車も撮影スポットとなります。この三峰口駅も発車が撮影できます。この写真は駅の先にある踏切から撮影しました。こちらのアングルでは超望遠レンズが必要です。もし、そのような機材がない時は、先ほど紹介した公園からも撮影ができます。混雑ぐあいを確かめてから、安全な場所で撮影しましょう。

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5.撮影スポット3 影森駅付近

写真14
焦点距離: 62mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:180

焦点距離: 62mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:180

Googleマップ位置情報:https://goo.gl/maps/AcWJkneTi9E84v5T8

最後にご紹介したいスポットは、こちらの影森駅の三峰口側にあるスポットです。こちらの撮影地は影森の駅から徒歩 10 分ほどの場所にあります。蒸気機関車ファンにはよく知られた撮影地です。歩行者用の陸橋から撮影します。午後の熊谷ゆきのパレオエクスプレスが、急カーブの勾配を必死に登ってゆきます。地形的には逆光状態の撮影地ですが、立ち上る煙に立体感も生まれ大迫力の姿が期待できます。勾配は 20 パーミリあるため、とてもスローペースで煙が垂直に立ち上がります。私はこのスポットが好きで、過去に写真展で連作を発表したほどです。

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6.次回予告

いかがでしたでしょうか。これで秩父鉄道編は終了です。蒸気機関車向きの撮影地が多かったですが、やはりパレオエクスプレスは秩父鉄道の目玉です。しっかりと写真にとっておきたい存在です。東京からも近い路線なので、ぜひハイキング気分でお出かけください。さて次回はモノクロで楽しむ鉄道写真講座をお届けします。ぜひご期待くださいませ。

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遠藤真人
著者について
鉄道写真家 1989年生まれ 日本大学芸術学部卒業 日本写真学会 会員 EIZO ColorEdge Ambassador 幼少期から鉄道に魅了され、カメラマンの道を目指す。近年は撮影のみならず、カメラメーカーや鉄道会社とのタイアップ企画を行う。また、イベント・メディア出演・写真教室講師を務めるなど活動は多岐にわたる。
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