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鉄道写真家・煙道伸麻呂の鉄道写真撮影講座 第43回 おすすめ鉄道写真旅行07 ~ 磐越西線 SLばんえつ物語

Photo : Nobemaro Endoh



TOPICS

鉄道写真の撮り方を体系的に解説している、鉄道写真家・煙道伸麻呂の鉄道写真講座の 43 回目はおすすめ鉄道写真旅行の7回目として、磐越西線 SLばんえつ物語の撮影スポットをご案内いたします。本記事を参考にぜひお出かけください。 by 編集部
<本記事は 2022 年 9 月現在の情報です。2022 年 9 月現在、撮影スポット3付近の濁川鉄橋が大雨によって流出し、部分運休となっています。現在 SLばんえつ物語号の運行再開は未定です。普通列車は一部区間を折り返しで運行されています。今方は一日も早い復旧を祈念して記事を公開します。ご覧いただく時期により状況は記事内容と異なる場合がございます。>

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こんにちは鉄道写真家の煙道伸麻呂( えんどうのべまろ )です。今回はおすすめ鉄道写真旅行は磐越西線を紹介します。こちらの路線は新潟県と福島県を結ぶ路線です。阿賀野川に沿って走る路線は、別名水と森とロマンの鉄道と言われます。今回はこの路線を走るSLばんえつ物語号の撮影地を中心にご紹介します。それでは磐越西線編さっそくスタートです。

Index

1.磐越西線

磐越西線は福島県郡山市と新潟県新潟市を結ぶ、全長175キロの路線です。磐越西線の前身となる岩越鉄道が郡山―中山宿間で1898年に開業しました。当時の代表取締役は2021年にNHK大河ドラマでも注目された渋沢栄一でした。1914年には現在の郡山―新津駅間が全通しました。1917年には磐越西線として改称されました。現在は喜多方―郡山駅間は電化区間となり、新津―喜多方間は非電化区間です。2021年には喜多方―会津若松駅間が、設備コスト削減のため再非電化になる案も浮上しました。様々な局面で動向が気になる路線でもあります。

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2.SLばんえつ物語号

写真1

焦点距離: 75mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:360]

SLばんえつ物語号は 1999 年から土日祝日を中心に運行が開始されました。新潟市立新津第一小学校に保存されていたC57型蒸気機関車の180号機が復元され、新津―会津若松駅間で運行開始となりました。一時期は新潟駅にも列車が発着していましたが、新潟駅の高架化に伴い、当初の新津駅発着に戻りました。また、会津若松-郡山駅間でも特定日に「 SL郡山会津路号 」「 SL磐梯会津路号 」として延長運転されていた時期もありました。
SLばんえつ物語号は新津―会津若松駅( 片道 111 キロ )を一日一往復する、走行距離が最長の SL 牽引列車です。非電化区間で客車7両を従えて走る姿は大迫力です。鉄道ファンに人気があります。運行期間は4〜 11 月と降雪がない季節を走ります。

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3.撮影スポット1 五十島―三川駅

写真2

焦点距離: 50mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:400

Googleマップ位置情報:37.71062594185842, 139.35540579400123
https://goo.gl/maps/jy4RzApTjvb8jMbVA

最初に紹介する撮影地はこちらです。会津若松行きの SL を撮影する場所です。こちらは五十島駅からも1キロほど離れた場所にあります。五十島駅を通過した SL はこのポイントから加速し始めます。SL 撮影で肝心な煙もこのポイントではとても期待できます。こちらは背景に建物や道路が写り込むため、ローアングルで撮影すると良いでしょう。カメラを低く構えると、迫力のある姿に表現されます。シャッタースピードは速めに設定しておく方がよいです。

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4.撮影スポット2 山都 ― 喜多方駅 (一の戸橋梁)

写真3

焦点距離:28 mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:200

Googleマップ位置情報:37.64099919925809, 139.7783518213164
https://goo.gl/maps/MrctJResxRwYxWXS7

続いて紹介するポイントは、山都駅を発車した直後の一の戸橋梁です。こちらは煉瓦積みの橋梁で、東洋一の橋と言われています。この橋は 1910 年に造られた歴史のある橋です。橋を見上げるアングルからは下を流れる川と一緒に撮影できます。こちらでは広角レンズを使って、橋の堂々とした姿を撮影しましょう。この地点は峠に向かって、思い切り煙を出します。天気の良い日にオススメのアングルです。

写真4

焦点距離: 200mm / シャッター速度:1/400秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:125

Googleマップ位置情報:37.63869522231988, 139.77908625773568
https://goo.gl/maps/MrctJResxRwYxWXS7

川まで降りずに、高台から望遠レンズで撮影するアングルもおすすめです。望遠レンズを使うと飯豊連峰を背景に列車が撮影できます。空気が澄んだ日にオススメです。列車全体を写しても良いですが、機関車のアップも捨てがたいです。望遠の圧縮効果が加わり、雪を被った山もしっかりと写ります。以前の記事で蒸気機関車の撮影方法をご紹介しましたが、横からのアングルではロッド位置が下がった写真を撮りましょう。連写で撮影しても良いので、ベストの瞬間を選びたいところです。

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5.撮影スポット3 喜多方 ― 山都駅

写真5

90mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:200

Googleマップ位置情報:37.64631087917349, 139.8509170472102
https://goo.gl/maps/giQ7vTJPooJxAw8UA

ここからは復路の新津行き列車の撮影ポイントをご紹介します。復路で有名な撮影地は喜多方駅の発車後に数カ所あります。帰りの SL 列車は喜多方駅を 15:51 分に発車します。運行終盤の 11 月はこの付近は陽が当たる最後の区間です。濁川鉄橋の近くが撮影ポイントです。

写真6

260 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F 6.3/ ISO感度:640]

Googleマップ位置情報:37.64631087917349, 139.8509170472102
https://goo.gl/maps/giQ7vTJPooJxAw8UA

同じ撮影ポイントから振り返って撮影しました。11月ならば、このように被写体が輝くギラリも狙いやすいポイントです。動輪部分は少し隠れてしましたが、ススキを画面のアクセントに加えてフレーミングしました。背景は山が近くにあるため、影の部分を思い切ってアンダーにすると、被写体が浮かび上がります。

写真7

85mm / シャッター速度:1/2000秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:100]

Googleマップ位置情報:37.64737109060327, 139.84872427595516
https://goo.gl/maps/Z7TKD888nCj88Lre6

先ほどの踏切ポイントの逆光側では SL をシルエットで撮影できます。こちらの写真は以前もご紹介しました。撮影地はこちらの場所でした。機関車を含めると8両の長い編成となるため、思い切って客車を2〜3両入るぐらいのフレーミングで構えました。棚引く煙に重点を置き、機関車が目立つような位置でシャッターを切っています。

写真8

82 mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:400

Googleマップ位置情報:37.64106347255773, 139.83723140920353
https://goo.gl/maps/7yVhpquhzNR46Cbj7

濁川鉄橋を通過すると、列車は山へ向かいます。その直前にある慶徳踏切も撮影スポットです。こちらは農道を少し進んだ場所にあります。畑に囲まれた場所なので農家のみなさんに邪魔とならないよう行動しましょう。こちらは春から夏にかけて、順光でしっかりとした編成写真が撮影できます。秋は山の影となるポイントです。先ほど紹介した濁川鉄橋も画面奥に見えるポイントです。この場所を通過するまでの数分間、列車の姿を楽しめる場所です。

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6.撮影スポット4 日出谷 ― 津川駅

写真9

157 mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:2200]

Googleマップ位置情報:37.70491233882243, 139.5247460114723
https://goo.gl/maps/mo8gq6EVdj8QtJZNA

最後にご紹介するのは日出谷駅を発車したポイントです。こちらもまた立派なトラス橋があります。そこを通過する列車を狙います。季節にもよりますが、気温が低く湿度が高い条件であれば、このように美しい白煙を撮影できます。夏頃には川霧も発生しやすく、鉄橋と平行に掛かる道路橋から、風景写真を撮ることも可能です。

写真 10

123 mm / シャッター速度:1/50秒 / 絞り数値:F5.6/ ISO感度:280

Googleマップ位置情報:37.70491233882243, 139.5247460114723
https://goo.gl/maps/mo8gq6EVdj8QtJZNA

編成写真を撮影した後はこのようなサイドビューの写真も撮影可能です。こちらのC57型蒸気機関車は貴婦人と呼ばれるほど、美しいプロポーションをしています。横から見た姿は特に人気があります。先ほどの写真を撮影したあと、スローシャッターへ設定を変えて流し撮りしています。お手軽に二カットも撮影できるオススメの場所です。

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7.次回予告

いかがでしたでしょうか。これで磐越西線編は終了です。さて次回は鉄道写真のハウツー回をお届けします。ぜひご期待ください。

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著者について
煙道伸麻呂 ( えんどうのべまろ )鉄道写真家 本名 遠藤真人 日本大学芸術学部卒業 日本写真学会会員 EIZO ColorEdge Ambassador 幼少期から鉄道に魅了されカメラマンの道を目指す。近年は撮影のみならず、カメラメーカーや鉄道会社とのタイアップイベントを企画する。コンテスト審査員・メディア出演・写真教室講師など活動は多岐にわたる。