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鉄道写真家・煙道伸麻呂の鉄道写真撮影講座 第48回 花と列車の撮影方法

Photo : Masato Endoh



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鉄道写真の撮り方を体系的に解説している、鉄道写真家・ 煙道伸麻呂( えんどうのべまろ )の鉄道写真講座の 48 回目は「花と列車の撮影方法」をお届けします。最近は更新が途絶えがちで申し訳ありません。 by 編集部

<本記事は 2023 年 9 月現在の情報です。現地の状況は記事をご覧いただく時期により記事内容と異なる場合がございます。>

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みなさまこんにちは!鉄道写真家の煙道伸麻呂です。
今回は鉄道写真の1ジャンルといっても過言ではない、花と一緒に撮影する方法を解説してゆきます。春は撮影に快適な季節です。暖かな陽気のなか沿線に咲く綺麗な花を見つけて、撮影に出かけましょう。それではスタートです!

Index

1.花と列車を撮影するときはアイレベルが肝心

さて、早速本題へと入ってゆくのですが、その前に鉄道と絡めやすい花を紹介します。まずは花の代表として桜が頭に浮かぶと思います。特にソメイヨシノは広範囲に渡り植えられています。青空を背景に頭上に咲く花はとても美しいですね。一方で、菜の花やタンポポなど足元の花も沿線には多く咲いています。こちらも魅力的な被写体です。

写真1 小田急電鉄

焦点距離:55 mm / シャッター速度:1/2000秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:400

人間が眼で見るときにはあまり感じませんが、撮影では人間の目線と高さが違うものを写すときは一工夫が必要です。撮影用語でいうアイレベルに気をつける必要があります。高い場所に咲く花であれば、高い位置に。低い場所に咲く花は、低くカメラを構えるのが基本動作です。ときには脚立も必要ですし、地面に寝転がって撮影することもよくあります。このような時にはカメラのファインダーだけでなく、背面モニターも使用したバリアングル撮影が便利です。バリアングルでの撮影は、広角〜標準レンズならばフレーミングも安定し、狙った作品が撮れるはずです。

写真2 真岡鐵道

焦点距離:600 mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:400

桜並木はこのようにハイアングルから望遠レンズで撮影すると効果的に写ります。レンズの望遠圧縮効果を狙ってフレーミングしてみましょう。こちらは超望遠レンズの 600mm で撮影をしました。画面の中で名脇役として、桜を配置しています。
また、大きな花はそれ自体の存在感が強いため、あえて見上げるようなアングルも迫力があります。その代表はひまわりです。見上げのアングルでは思い切って広角レンズを使い、遠近感を強調してみましょう。きっと夏らしい元気な一枚が撮れるはずです。ぜひアイレベルを意識して撮影に挑みましょう!

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2.列車ピンor花ピン

次に大切なのがピントを列車に合わせるか、花に合わせるかです。花の撮影に限らず、画面の中に題材が2つ以上ある場合に大切な考え方です。どちらが画面の主役で、脇役なのかを決める必要があります。これをしないと画面全体が散漫な印象となり、写真を観る人も景色がただ写っているという感想にしかなりません。撮影者本人が現場でそのような感動を得たのか、を主役と脇役に分けて表現することが大切です。

写真3 奥羽本線

焦点距離:60 mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:250

例えば、線路側に一輪の花が咲いていたとしましょう。この場合、撮影者はその健気な花の姿に感動したからこそ「写真を撮ろう!」という気持ちになったのでしょう。その場合は花が主役です。ピントを合わせて、こちらが主役なのだ。と強調して撮影しましょう。この場合は列車が脇役です。

写真4 わたらせ渓谷鐵道

焦点距離:150 mm / シャッター速度:1/400秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:200

一方で、線路沿いに桜並木があり、その中をゆく列車に感動したとき。
その時には列車にピントを合わせましょう。繰り返しになりますが、撮影者本人がより感動した方を主役考えてピントを合わせましょう。写真は一枚の中にまとめる必要があります。あれも入れたい、これも入れたい! という気持ちはわかりますが、撮影者の思いきった決断が必要です。

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3.順光か逆光か

次に大切な要素は光線の向きです。順光の場合、花の色が鮮明に表現されます。ストレートな表現にはこちらの方がいいでしょう。特に色が濃い花は順光で撮影すると、強いインパクトが生まれます。鉄道車両に対しても、順光での撮影が基本ですから、相性が良い撮影状況といえるでしょう。

写真5 弥彦線

焦点距離:400 mm / シャッター速度:1/320秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:320

花との撮影の場合、逆光もまた魅力的です。逆光の場合、花びらは太陽光を透過し、存在感を引き立てます。花に対しては非常に良い光線ですが、鉄道車両にはあまり向いていない条件です。このような場合は、躊躇なく花にピントを合わせた方が良いでしょう。花が主役で、列車は脇役です。もちろん撮影の工夫次第では、列車ピンも良いですが、基本は逆光では花ピンと心得ておきましょう。

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4.撮影に向いているレンズ

最後は、撮影に向いているレンズを紹介します。花を絡めた鉄道の撮影では、14mm から 20mm 程度をカバーする超広角レンズが重宝します。低い場所に咲いている花や、小さい花には有効です。超広角でさらに近接撮影が可能なレンズならば完璧です。

写真6 箱根登山鉄道

焦点距離:24 mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F4.0 / ISO感度:2500

超広角レンズの次に使いやすいのは、広角レンズです。こちらも近接撮影できるものが有利です。実際に撮影してみるとわかるのですが、小さい植物の場合は24mmや35mmでも全体が収まりきらない時があります。その場合はカメラ位置をさらに低くする、縦位置で撮影するなど工夫が必要です。

写真7札沼線

焦点距離:21 mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:320

反対にお花を撮影しやすいといわれている、マクロレンズはあまり鉄道撮影とは相性がよくありません。このことからも自然写真(ネイチャーフォト)的な、花の撮影方法とは違うのです。

写真8 小湊鐵道

焦点距離:67 mm / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:125

最後の写真は思いきって車両すらない、輝く線路と花の共演です。背景は山陰となり、花の姿がとても印象的でした。さりげなく線路を入れることで、奥ゆかしさのようなものを感じられるよう撮影しました。春ののんびりとした待ち時間に出会った風景です。

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5.次回予告

以上で花と列車の撮影方法を終わります。これからの季節に活用できる撮影方法のご紹介でした。さて次回はわたらせ渓谷鐵道の撮影地をご紹介します。ぜひご期待くださいね。

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著者について
煙道伸麻呂 ( えんどうのべまろ )鉄道写真家 本名 遠藤真人 日本大学芸術学部卒業 日本写真学会会員 EIZO ColorEdge Ambassador 幼少期から鉄道に魅了されカメラマンの道を目指す。近年は撮影のみならず、カメラメーカーや鉄道会社とのタイアップイベントを企画する。コンテスト審査員・メディア出演・写真教室講師など活動は多岐にわたる。