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鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真撮影講座
第32回 おすすめ鉄道写真旅行03~湘南モノレール


railway32

Photo : Masato Endoh


TOPIX

鉄道写真の撮り方を体系的に解説している、鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真講座の 32 回目は鉄道撮影旅行シリーズをお届けします。今回は大船 ⇔ 湘南江の島を結ぶ湘南モノレールを取り上げました。湘南モノレールはここ数年、翌年のカレンダーに採用する写真のフォトコンテストを春ごろから夏に開催しています。そして現在もフォトコンテストが開催されています。(2021年7月現在)撮った写真を応募する楽しみもある編集部でもお勧めの鉄道です。この機会に訪れてみてはいかがでしょうか。
記事作成時と撮影時は状況が異なる場合がございます。マナーを守り撮影を楽しんでください。 by 編集部

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みなさまこんにちは!鉄道写真家の遠藤真人です。今回取り上げる路線は湘南モノレールです。湘南モノレールはジェットコースターの異名があるほど、乗っていても楽しい路線です。短い路線ではありますが、随所に見どころがある良い鉄道です。それでは早速スタートです。

Index

1.江ノ島への近道 湘南モノレール

写真1
焦点距離:300mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:450

焦点距離:300mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:450

湘南モノレールは2021年に全線開業50年を迎えた懸垂式モノレールの鉄道です。こちらの路線では、走行装置を軌道桁の間に通す、サフェージュ式モノレールで運行されています。駅の数は8つ、営業路線の全長はわずか 6.6 キロ。地域密着型の路線です。2015 年には三菱重工業株式会社から、みちのりホールディングスへと事業が引き継がれました。大きなターミナルの大船駅を出発した列車は、街を飛び越え、山を登り、江ノ島の玄関口まで続く路線です。全線を乗り通しても、片道 14 分の旅です。湘南モノレール社のホームページのトップでは、「江ノ島への近道」と書かれています。まさにぴったりのキャッチフレーズだと感じます。近年では世界初のモノレール鉄道・ヴッパータール空中鉄道( ドイツ )との姉妹懸垂モノレール協定を締結するなど話題に欠かない路線の一つです。

写真2 ヴッパータール空中鉄道(ドイツ)
焦点距離:400mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:640

焦点距離:400mm / シャッター速度:1/1000秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:640

この路線は風景の変化が多く、車窓をみているだけでも楽しいショートトリップが味わえます。さらに鉄道ファンとして見逃せないのが、列車の加速性能の優秀さ。加えて最高速度が 75 キロにもなる、その俊足ぶりです。私も色々な鉄道に乗ってきた方なのですが、この感覚は他では味わえません。鉄道愛好家の皆さんもきっと驚くことでしょう。

湘南は江ノ電も有名ですが、鉄道ファンにはこちらも必見・必乗の路線です。余談ですが、江ノ電では「江ノ島駅」、湘南モノレールでは「湘南江の島駅」と表記が違います。これは昭和 41 年 10 月に、住居表示が以前は「江之島」だったものが、現在の「江ノ島」と正式に改定されたこと。その後、昭和 44 年に地元の観光協会が中心となり、新しいものは「江の島」に統一するように奨励したことが切っ掛けとされます。モノレールの湘南江の島駅は、昭和 46 年7月に開業となりました。そのため、ひらがなの「の」が使われています。

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2.湘南モノレールの見どころ

先ほども少しご紹介しましたが、この路線は短距離でありながらロケーションが豊に変化してゆきます。路面電車的でもあり、山岳鉄道的でもあり、絶景ローカル線のような雰囲気も漂う路線です。最大勾配は 74 ‰ (編集部注 「 ‰ 」パーミルは鉄道の勾配の程度を示す単位、74 ‰ は 1,000 メートルに対して 74 メートルの高低差を持つ勾配 )もするため、本格的なものです。心して挑みたいところです。

湘南モノレールは下を走る道路とも深い歴史関係があります。もともと湘南モノレールは、京浜急行が保有する自動車専用道路の上空に建設されました。そのような歴史もあるので、風景を中心とした街中の雰囲気を写すもの良いでしょう。また、モノレールでは珍しいトンネルを走る場面も見逃せません。写真は表現しづらい場所ですが、もしそのような写真が撮れたならば、湘南モノレールらしい一枚となるでしょう。

モノレールは空中を走るため、天気や空の雰囲気も重要な脇役となります。入道雲や鰯雲などと絡めても良いかもしれません。運行本数は多い路線なので、シャッターチャンスは数多くあります。駅間が短く、撮影しやすい路線と言えるでしょう。初心者でも安心です。撮影には一日乗車券がお得です。一日フリーきっぷは大人一人、610 円です。
車両のカラーリングもそれぞれの編成によって違うため、撮影意欲が湧いてきます。青空には赤い帯の車両、落ち着いた雰囲気の黒も良いし、賑やかな雰囲気のラッピング車両もあります。そのように拘っても楽しく過ごせる路線です。

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3.片瀬山駅周辺の風景

それでは沿線の撮影スポットを紹介してゆきます。湘南モノレールといえば、まず片瀬山駅周辺は外せません。片瀬山駅は湘南江の島駅から2駅ほど大船側にある駅です。この駅自体もモノレールでありながら地上駅です。とても非常に珍しい立地をしています。この姿を見るだけでも訪れる価値は十分にあります。

写真3 片瀬山駅
18mm / シャッター速度:1/250秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:200

18mm / シャッター速度:1/250秒 / 絞り数値:F7.1 / ISO感度:200

さて、撮影地として最初に紹介するのは、江の島側に 200 メートルほどの場所です。こちらは上下線ともに違った魅力を写すことができます。まずは大船方面を向くとこのような風景です。

写真4
32mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F4.0 / ISO感度:400

32mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F4.0 / ISO感度:400

豪快な走りを見せるモノレールが頭上スレスレを通過してゆきます。鉄道風景としてはこのような場所は他にはありません。かなり迫力のある風景です。こちら側の撮影には、広角から標準系のレンズが良いでしょう。またかなりの速度で列車が迫ってくるので、シャッタースピードは 1/1250 秒くらいの早めにしておいたほうが無難です。連写機能を十分に駆使して一瞬を捉えましょう。

写真5
650mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.0 / ISO感度:320

650mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.0 / ISO感度:320

同じ場所ですが、今度は江の島方面にカメラを構えます。すると、こちらでは海をバックに列車が撮影できます。このポイントが山頂にあり、列車を見下ろす角度から撮影できます。空中を走る列車をこの角度から見られる場所は限られています。納得ゆくまで撮影したいところです。ただし、こちらのアングルには超望遠が必携です。画面いっぱいに海と列車を写すにはフルサイズで 600mm 相当のレンズが必要です。海バックの撮影は晴天がベストです。

写真6
185mm / シャッター速度:1/640秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:320

185mm / シャッター速度:1/640秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:320

手前に引いた全景です。交差点で停車する車やバスも多いため、撮影のタイミングには要注意です。粘り強くチャンスを狙いましょう。また比較的広い歩道からの撮影にはなりますが、往来も多いため三脚の使用は控えましょう。

写真7
97 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F 4.5/ ISO感度:100

97 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F 4.5/ ISO感度:100

片瀬山駅を挟んで、大船方面にゆくとこちらも隠れた撮影スポットです。この場所は湘南モノレールの中で高い位置を走る列車が狙える地点です。この場所で、望遠レンズの圧縮効果を狙うと軌道桁を支える柱が迫力を増します。普通の鉄道写真と一味違った味わいがあります。

写真8
380mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:320

380mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:320

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4.湘南深沢の周辺風景

次にご紹介するのは、湘南モノレールの本社が近くにある湘南深沢駅です。全線の中間地点に位置してます。この周辺は商店も多く、なんとなく私鉄沿線のような面影が感じられます。どことなく生活感があるような、アットホームな風景というような趣があります。そのような空間で目にするモノレールの姿は、まさに非日常さを演出してくれます。何度訪れても飽きない光景です。

写真9
125mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F4.0 / ISO感度:140

125mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F4.0 / ISO感度:140

駅を降りて、江の島方へゆくと坂道が見えます。その中腹、直線が終わるポイントが撮影地です。ここでは中望遠から超望遠まで、好きなように写真を撮れます。正面がちの構図になりますが、坂を登ってくる列車の姿を写しましょう。広めに写真を撮ると、周りの風景も入れ込むことができます。このような写真は、数年後に見返すと思わぬ当時のものが写っていたりして案外気に入った写真となるときもあります。デジタルカメラは沢山写真が撮れるので、少しでも気になったものがあれば撮るのが吉です。

写真10
860mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:400

860mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:400

写真11
55mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F3.5 / ISO感度:160

55mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F3.5 / ISO感度:160

さらに山頂方面までゆくと、編成写真が撮りやすい場所が近くにあります。編成写真も撮れるとはお得ですね。こちらの撮影スポットは、午後が順光となります。列車の顔に軌道桁の影も掛からず、良い光線で撮影可能です。三両編成なので構図からはみ出さないよう注意しましょう。

写真12
567mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F5.0 / ISO感度:560

567mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F5.0 / ISO感度:560

最後に湘南深沢駅の脇から、大船方を超望遠で撮影してみました。湘南モノレールの見所でもある、道路の高低差も相まって不思議な写真となりました。狭い歩道から見える光景です。通行人の邪魔にならないよう行動しましょう。

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5.富士見町駅の風景

最後に紹介する場所は、大船駅から一駅先にある富士見町の都市を走るモノレールの風景です。こちらの場所は富士見町駅から大船方面へ向かいます。200 メートルほど進んだ場所が撮影スポットです。この場所はモノレールが大きな道路を跨ぐため、一ヶ所だけ支柱が特殊な形をしています。垂直方向ではなく山のような姿に富士山型と呼ぶ人もいます。湘南モノレールの風景の中でも、かなり象徴的な構造物です。

写真13
18 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.0 / ISO感度:200

18 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.0 / ISO感度:200

この場所は街中にあるため、被写体を隠す障害物も多くあります。今回はできるだけ被写体に近づいて、超広角レンズで狙ってみました。運よく車や歩行者も入らず、すっきりとした写真が撮れました。

写真14
28 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:110

28 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F4.5 / ISO感度:110

歩道からでなく、脇道から見上げる構図もおすすめです。今までのイメージとはガラッと違う、格好良いモノレールの姿を撮影できます。防音対策でしょうか、陸橋を隠す板が生活感を遮断して無機質さ演出してくれます。

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6.次回予告

いかがでしたでしょうか、今回は湘南モノレールをご紹介しました。現在( 2021 年 7 月 14 日 )は湘南モノレール カレンダーフォトコンテストも開催中( 2021 年 8 月 31 日まで )なので、ぜひ撮影後、コンテストに応募してみてはいかがでしょうか?このフォトコンテストは夏ごろには毎年開催されているので、ぜひ公式ページもチェックしてください。フォトコンテスト応募の際は「 第29回 鉄道フォトコンテスト~審査員から見た入選のポイント 」も参考にしてください。
また、こちらの情報は 2021 年7月現在のものなので、撮影の際には最新情報をチェックしてお出かけください。次回は「超望遠3000ミリで撮る 鉄道写真 」をお届けしたいと思います。お楽しみに!

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遠藤真人
著者について
鉄道写真家 1989年生まれ 日本大学芸術学部卒業 日本写真学会 会員 EIZO ColorEdge Ambassador 幼少期から鉄道に魅了され、カメラマンの道を目指す。近年は撮影のみならず、カメラメーカーや鉄道会社とのタイアップ企画を行う。また、イベント・メディア出演・写真教室講師を務めるなど活動は多岐にわたる。
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