萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第20回
SAMYANG 85mm F1.4 AS IF UMC
写真と文:萩原 和幸
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのはサムヤンレンズのロングセラー、焦点距離85mm・開放F1.4、フルサイズ対応単焦点レンズ「SAMYANG 85mm F1.4 AS IF UMC」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ 抜群のコスパを誇るロングセラー・レンズ
第20弾は、『85mmF1.4 AS IF UMC』。SAMYANGのロングセラーとして支持され続けている本レンズは、ポートレート撮影に最適な中望遠85mmにF1.4という大口径を備えた、フルサイズ一眼レフカメラ用に開発されたMFレンズだ。支持され続けている理由は、F1.4という明るさでMFとはいえ3万円台で入手できる抜群のコストパフォーマンスではないだろう。
ポートレート撮影では、ある意味“鉄板”とも言える画角である85mm。コミュニケーションを取りやすい、モデルを浮かび上がらせる適度なボケなど、多くの理由があって撮影に用いる愛好家が多い。かくいう私も85mmはよく使っており、ポートレート撮影だけでなく、スナップ撮影や風景撮影でも適度な切り出し・フレーミングの快適さなどもあり、ジャンルを問わずオールラウンドな画角だろう。
それだけに世に出回っている85mmは多く、絞り開放値もF1.2の超大口径から使い勝手重視のF2やF2.8など様々。そのような多くの85mmの中で、自分自身がどのような1本を選ぶかは、ジャンルやシーンに応じて選択することになるが、現在の大口径レンズは画質重視で大型化の傾向にある。本レンズのF1.4という大口径は大型化の傾向にある開放値の部類であり、フットワークの面で重いレンズは避けたいとの理由でF2クラスを選ばれている方も多いはず。でもF1.4を持っていきたい!…そうしたニーズにもこのレンズは応えてくれそうだ。
レンズ構成は7群9枚。外観は梨子地仕上げで高級感が漂う。今回はキヤノンEFマウントを使い、EOS5D MarkⅣで撮影を行った。装着時のバランスは良い。ラインナップされているマウントは、キヤノンEFの他、ニコンF、ペンタックスK、ソニーAの各マウントだ。
フードは必要以上に大きくなく、このレンズのボディサイズにマッチしている。
85mmのF1.4という大口径の割には、コンパクトな部類に入ると思う。重さはキヤノンEFマウントで540g。写真のように手のひらにすっぽりと収まる。フィルターサイズも77mmと、大口径F1.4にしては比較的小さい。これだけでもフィールドに持ち出すことへの億劫さが払拭されるのではないだろうか。ピントリングはやや重め。極浅の被写界深度を考えれば、これくらいの重さがあっていい。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 85mm F1.4 AS IF UMC |
■ ポートレートで試してみた
早速撮影に出かける。85mmは冒頭に述べた通りポートレート撮影での出番が多い。今回もポートレート撮影を行ってみた。さほど機材が大きくならないこともあり、ぶらぶらと歩きながらスナップ風のポートレートを撮影してみることにした。
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 85mm F1.4 AS IF UMC |
■ 総評
撮影のほとんどを開放F1.4で撮影してみたが、ボケ味にややクセが感じられるものの、前ボケも後ボケも共に滑らかで、ボケを生かしたカットを撮影したくなった。F1.4の極浅の被写界深度にはライブビューでピントを追い込んだ方が確実だが、モデルと呼吸を合わせてシャッターを切っていく様もオツなもの。要は考え方で、マニュアルフォーカスで十分なシチュエーションでじっくり撮影をするのならば、これだけのスペックを3万円台で入手できる意味はかなり大きい。85mmとしてはコンパクトで取り回しも良く、『明るい85mmを持っておこうか』というライトな気持ちで手にしていただくには、最も適した中望遠レンズだろう。
モデル:佳奈
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸