萩原和幸 流
サムヤンレンズ使い倒し術 第18回
SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS
写真と文:萩原 和幸
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのは、開放絞り F1.2 の大口径により、美しいボケ味を活かした撮影が楽しめるAPS-Cセンサーのミラーレスカメラ対応の標準画角レンズ「 SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS 」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ 魅力的な大口径F1.2の中望遠
第18弾は「 50mm F1.2 AS UMC CS 」、APC-Cサイズセンサーのミラーレスカメラ対応の中望遠レンズだ。50mmだがAPS-Cサイズセンサー用なので、フルサイズ換算にすると1.5〜1.6倍となり、いわゆる中望遠画角となる。
大口径F1.2の中望遠、それだけでも魅力的だ。APS-Cセンサー機で1.5倍なら約75mmの中望遠レンズ。しかもF1.2の開放値は、ポートレートを撮影する者からすれば、まさに憧れの領域と言っても過言ではない。浅い深度から生み出されるボケ味はもちろん、光が乏しい条件下での撮影では動きやブレ対策の高速シャッター選択の可能性など、快適な撮影そのものへの期待できる。
ラインナップはソニーEマウント、キヤノンMマウント、富士フィルムXマウント、マイクロフォーサーズが用意されている。
レンズには絞りリングが備わっており、絞りはF1.2〜F16までの1/2段クリックだ。
今回の撮影ではEマウントを使用したので、ソニーα7RⅢのクロップ(トリミング)機能を使って撮影した。ソニーα7RⅢに装着してのバランスはとてもよく、やや細身のレンズ鏡筒で掌に収まる感じが心地よい。やや重めのピントリングは理想的な抵抗感があり、ピント合わせはとてもしやすい。
ちなみにピント合わせの際は、ピーキング機能を使用して行なっている。ピーキング機能とはピントのあっている部分に色をつけてEVF上に表示する機能のこと。ピントリングの動きにあわせてピントのあっている個所を確認できるのでとても便利。ミラーレス一眼カメラとMFレンズとの相性の良さは、こうした機能が一役買っている。
同梱のフードは大型で実用的だ。レンズ構成は7群9枚、Glass非球面レンズを2枚採用している。フィルターサイズは62mm。絞り羽根は9枚で円形に近く設計されている。コーティングはサムヤン独自技術のUMCコーティングが施されている。
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■ メーカーサイト ■ SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS |
■ ポートレートで試してみた
では早速撮影に出掛ける。中望遠でF1.2の大口径なら、やはりポートレート。なので今回はポートレート撮影を行う事にした。ボケの残り方を含めたボケ味、コミュニケーションのしやすさなどから、80mm(今回の撮影は50mm x 1.5倍クロップ = 75mm)前後の焦点距離の中望遠レンズは“ポートレートレンズ”と呼ばれることも多い。モデルとの距離感も含め、チェックしてみた。
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。サムネイル画像をクリックするとリサイズした画像がポップアップ表示されます。
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■ 総評
開放F1.2ではやや甘めかなというシャープさは、1/3絞ってF1.4で撮影した途端にキリッとシャープな画に変貌する。F1.2の画は、まるで“F1.2でのお楽しみ”とも言うべき面白みが存在する。やや甘めかなと言ってもシャープさがない訳ではなく、浅い深度ゆえの柔らかさだ。シャープとなった画はクリアさが際立ち、ギスギス感は全くない。繊細な印象で、ポートレートにはぴったりの画質だ。
円形絞りとは謳ってはいないが、ボケは結構揃っていて綺麗だ。引きの画でも十分なボケ味で不満はない。極淺の被写界深度のため丁寧なピント合わせが必要となるが、これだけの大口径で、しかも開放近くでの撮影となれば、AFでもピント合わせが慎重になるのは同じ。モデルと呼吸を合わせてシャッターを切る楽しみもMFの可笑しみの一つなので、大いに満喫できるレンズと言える。
気軽にもっともっとF1.2を楽しんでいただけたらいいと思う。その点ではこのレンズの存在は大きい。
モデル:こいずみさき(ABP)
ヘアメイク:町田恭子
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸