萩原和幸 流 サムヤンレンズ使い倒し術
第13回 SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYE
写真と文:萩原 和幸
TOPIX
本サイトでお馴染みの写真家・萩原和幸が、高コストパフォーマンスで写真好きの耳目を集め始めているサムヤンレンズをトコトン使い倒す「 萩原和幸流サムヤンレンズ使い倒し術 」。豊富なラインナップを誇るサムヤンレンズから、萩原氏がお気に入りの一本を選んでスナップ、ネイチャー、ポートレートなどなどで使い倒した生々しいレビューを月1でお届けしています。今回取り上げたのは開放絞り F3.5 の マイクロフォーサーズ 対応 7.5mm 単焦点マニュアルフィッシュアイレンズ「 SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYE 」です。それではお楽しみください。 by 編集部 |
Index
■ フィッシュアイレンズの入門に最適
今回試すレンズは、SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYE。マイクロフォーサーズ用としてデザインされたマニュアルレンズだ。Glass非球面レンズ(AS)に加えて3枚の低分散レンズ(EDレンズ)を採用。画角は対角線画角約180°、レンズ構成は7群9枚。ボディカラーはブラックとシルバーが用意されている。
マイクロフォーサーズ用のフィッシュアイレンズといえば、代表格のオリンパスとパナソニックからもラインナップされている。オリンパスは8mm F1.8というスペックで、今回試すSAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYEよりも開放値が2段明るく、光が乏しい条件での撮影では有利に働く。しかし、価格は10万円越えとあって手を出しづらいし、なによりも315gという重量が気にかかる。
一方のパナソニックからは8mm F3.5がラインナップされている。スペック的にはSAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYEとほぼ同じになるが、AFを重視しないのであれば、SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYEの価格はパナソニックのそれに比べて半額以下で入手可能とコストパフォーマンスに優れる。
SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYEは重量が190gしかなく、軽量コンパクトなマイクロフォーサーズの印象に近いと思う。そもそも被写界深度の深いマイクロフォーサーズとフィッシュアイレンズの組み合わせなので、MFで気楽に撮影するのであれば、SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYEの存在価値は大きい。
いずれにせよ、SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYE はフィッシュアイレンズの入門として最適だ。
レンズ本体はさすがにコンパクト。今回撮影に使用したカメラはPanasonic Lumix GX8。マイクロフォーサーズ機としては大柄だが、コンパクトにまとまっていてバランスは良い。鏡胴はとてもしっかりとした造りを感じさせる。
絞りは1/2段クリック、最大絞りはf22。フォーカスリングのトルク感は重めだが、レンズ自体がコンパクトな仕上がりなので仕方がないと言えることだが、ピントリングと絞りリングがもう少し大きくても良いかなと思う。ピントリングに手をかけながら撮影すると、手が写ってしまうこともあるので注意が必要だが、ファインダーや液晶モニターで確認すれば良い。そもそもフィッシュアイレンズなのだから、写る範囲をファインダーなりモニターなりで確認する必要がある…というか、どこまで写っているのかを見るのが面白い。
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■ 今回もスナップで試してみた
さて、早速撮影に出かける。前回に続いて2回連続でフィッシュアイレンズでの撮影となったが、私自身、フィッシュアイレンズだけでこれだけの撮影を行うことがなかったので、いろんな意味で発見があり、“フィッシュアイレンズ”的感覚が研ぎ澄まされたようで、面白かった。ぜひ前回の連載もご覧いただきたい。
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■ 総評
フィッシュアイレンズは、何枚かの写真を組んで見せる組み写真では、いわばアクセントというかスパイス的な意味合いで使うカットを撮影する時に登場することが多い。だがこうしてこのレンズだけで撮り歩いているうちに、フィッシュアイレンズの特性を生かしつつも、フットワークを使って被写体との距離を変化させることで、見え方の違いを楽しむなど、深い面白みに満ちたレンズだなと感じた。最短撮影距離が0.09mと短いので、寄っての撮影がまた面白く、ここまで被写体に寄れるの?と、ハマる人も多いはずだ。フィッシュアイレンズをまだお持ちでないマイクロフォーサーズユーザーは、MFを気にしなければ、SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYEは入門にはもってこいだと思う。手にしやすい価格だし、開放からの描写もいいので、写真は必ず満足できる仕上がりになる。ぜひフィッシュアイワールドの扉を叩いてほしい。
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸