鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真撮影講座
第38回 おすすめ鉄道写真旅行05 ~ 東武鉄道鬼怒川線
Photo : Masato Endoh
TOPIX
鉄道写真の撮り方を体系的に解説している、鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真講座の 38 回目はおすすめ鉄道写真旅行の5回目として、東武鉄道鬼怒川線の撮影スポットをご案内いたします。相変わらず新型コロナの流行で厳しい状況は続いておりますが、落ち着いた際には訪れたいスポットです。 by 編集部 |
みなさまこんにちは!鉄道写真家の遠藤真人です。今回は東武鉄道鬼怒川線の撮影スポットを紹介してゆきます。この路線では週末を中心に SL 大樹が走ります。1日に最大4往復走る日もあるので、蒸気機関車の魅力を十分に味わうことができます。他にも特急電車や気動車も走る全国でも珍しい区間です。都心からも近くお手軽にいけるのも良いですね。それではさっそくスタートです。
Index
1.東武鉄道鬼怒川線 2.撮影スポット1大桑駅~新高徳駅間 3.撮影スポット2 新高徳ー小佐越駅間 4.撮影スポット3 大桑ー大谷向間 倉ヶ崎 SL 花畑 5.撮影スポット4 鬼怒川温泉駅前 6.次回予告 |
1.東武鉄道鬼怒川線
東武鉄道鬼怒川線は 12 路線ある東武鉄道のうちの1路線です。栃木県下今市駅から新藤原駅までの区間です。SL 大樹は下今市駅から鬼怒川温泉駅まで走行します。牽引する蒸気機関車は C11207 号機あるいは C11325 号機です。走行距離は 12.4 キロと短く急カーブと勾配が多い区間です。煙を出すポイントは限られていますが、迫力のあるシーンが撮影できます。
蒸気機関車は駅発車が定番撮影地ですが、この区間でそのような場所ありません。どの撮影地もアクセスがしやすく、初心者向けの路線でもあります。鬼怒川温泉駅は駅前に転車台がある珍しい駅です。本来転車台は駅のバックヤードに施設されるのですが、あえて駅前に増設されました。SL 大樹が到着したあと、この場所で方向転換をします。このように見所も多く、初めて鉄道写真に挑戦する方にもオススメの路線です。この区間は野岩鉄道や会津鉄道への直通列車も通過します。スペーシアやリバティー、通勤電車、気動車などが走ります。SL が当番しない日には DE10 が牽引する DL 大樹も登場します。いま一番元気な鉄道路線の一つです。周辺には鬼怒川温泉や東武ワールドスクエアもあり観光地としても有名です。ご家族での旅行も良いかもしれませんね。
2.撮影スポット1大桑駅~新高徳駅間
最初に紹介する撮影地は大桑駅と新高徳駅にある場所です。鬼怒川温泉行きのSL大樹を狙いましょう。場所は新高徳駅からアクセスする方が良いでしょう。急カーブと勾配を蒸気機関車がゆっくりと登ってゆきます。煙はほぼ出ると考えて良いでしょう。こちらの撮影地は縦位置で狙うのがベストです。時間帯によっては逆光に近い光線となりますが、煙の立体感も良い雰囲気で狙えます。タイミングさえあえば、ドレーンも狙える場所です。豪快な姿を狙いましょう。レンズは中望遠から望遠程度が狙い目です。架線柱の高さから、立ち上がる煙を意識して構図を決めましょう。
列車はこのスポットを通過すると、鉄橋に差し掛かります。こちらもまた撮影スポットです。河原で鉄橋をサイドのアングルから狙います。沿線でも数少ない鉄道風景写真が撮れる場所です。構図は横位置だけでなく縦位置もおすすめです。
同じ場所で陰影を意識した写真です。川を入れ込んだ撮影では水鏡のリフレクションが定番ですが、波立つ水面も工夫次第では綺麗に写ります。川のカーブが特徴的なので、それを生かしたフレーミングを作りたいところです。鉄橋を渡っているのは特急リバティーです。
3.撮影スポット2 新高徳ー小佐越駅間
こちらのポイントは鬼怒川線と並走する国道 121 号線から撮影する場所です。鬼怒川温泉行きの SL 大樹を狙いましょう。決して広いキャパシティではありませんが、臨時列車の走行時などは必ずと言っていいほど混雑するポイントです。国道 121 号線は通行量が多いことと周囲に駐車スペースが存在しないため、鉄道でのアクセスをオススメします。最寄は小佐越駅です。
レンズは標準系から広角系が一般的です。望遠レンズを使って架線柱の間からアップで狙うことも可能ですがアングルは限られます。鉄道写真にとっては理想のカーブですが、蒸気機関車は無煙で通過する時もある場所です。煙が出たらラッキーぐらいの気持ちでいた方が良いでしょう。
4.撮影スポット3 大桑ー大谷向間 倉ヶ崎 SL 花畑
次にご紹介するのは、復路にあたる下今市行きの SL 大樹向けのポイントです。こちらのポイントでは編成写真をスッキリと撮ることができます。鬼怒川線沿線は線路を跨ぐ形状の架線柱が多いですが、こちらのスポットは片側から架線を支える柱で撮影できます。線路側には柵が設置されていますが、列車にはかからない程度の高さに設計されています。下今市行きの SL 大樹では唯一と言っても良いほど、煙を期待できるスポットです。
使いたいレンズは中望遠から望遠レンズです。天気が良い日は背景に山並が写ります。煙で姿が消えないよう、望遠気味のアングルがオススメです。天気が悪い日でも大丈夫です。蒸気機関車は悪天候の時ほど、迫力が増してみえます。小型機関車とは思えないほど、いい煙が期待できるでしょう。
こちらのポイントは名前の通り、花畑の中に作られた撮影スポットです。春は菜の花に囲まれた中で撮影可能です。冬の時期は日没後にイルミレーションが始まります。列車と一緒に撮影することも可能です。
5.撮影スポット4 鬼怒川温泉駅前
鬼怒川温泉駅ではこのように至近距離で機関車を見学できます。望遠レンズや広角レンズを駆使して、スナップ撮影が可能です。S L大樹での乗り鉄旅では、一番撮影しやすいスポットと言えるでしょう。
下今市ゆきの SL 大樹が出発するまで撮影が可能です。ここでは撮影した写真をモノクロに仕上げました。令和の時代とは思えない、ノスタルジーの世界を表現できます。機関車から溢れた蒸気や水を狙うと、かなり上級者と言えるでしょう。
駅前には蒸気機関車だけでなく、珍しいカラーリングのバスも現れます。このカラーはかつて日光駅前から走っていた、東武日光軌道線の鉄道車両を模したものです。会えたらラッキーです。線路がない場所でも鉄道にまつわるものはたくさんあります。被写体を探しだすこともスナップでは大切な要素です。
6.次回予告
いかがでしたでしょうか、今回は東武鉄道鬼怒川線の撮影地をご紹介しました。週末にふらっと行ける距離なのがいいですね。次回の路線紹介は都電の荒川線です。ぜひご期待ください。
■ 制作・著作 ■
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遠藤真人