いつか見た青い空…
旅先で見た澄みきった青い空、子供の頃に見上げていたふるさとの空…記憶にある青い空はいつも鮮明に残っているものです。写真家の間ではこれを「記憶色」と呼んでいます。
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画像A 一眼レフカメラで撮った青空と富士山。ただシャッターを押しただけでは青空はシロっぽくくすんで写ってしまいました。EOS Kiss Digital、F5.6、オート
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画像B コンパクトデジカメ『DSC-W300』で撮った写真。コンデジだって工夫すれば、きれいな青空のシャープな写真が撮れるんです…が。ソニーDSC-W300 F5.6 ワイコン装着 オート |
ところが、記憶に残っている空の青さと比べると、デジタルカメラで撮った空はいつもずいぶんとくすんでいませんか。
空は光の加減で青く見えますが、空気中の水蒸気やホコリによって起こる乱反射などの影響を受けて、写真の空は記憶した青よりずっと薄く、白く写ってしまうことがあります。これでは実際のところガッカリですよね。
レンズの性能や撮り方、露出の設定、モードによっても写真に写る空の色は変わってきます。
「一眼レフだからいつもキレイに撮れる」「コンパクトデジカメだからダメだ」というわけでもありません。
撮影技法について詳しく解説を始めると「撮り方講座」になってしまいますので、ここでは避けますが、例えば画像Bの写真は、私が愛用しているソニーのコンパクトデジカメ『DSC-W300』で広角で撮影した写真です。
空の青さがよく出ていますね。これくらい青く出ると、空を大胆に入れた景色を撮るだけで楽しくなります。もちろんカラー補正はしていません。
一眼レフカメラの場合、レンズの前面にレンズフィルター(PL)を装着することで、空がくすむのを防ぎ、記憶に近い青空を表現することができます。カメラマンやハイアマチュアの場合はいろいろなレンズフィルターを常時携帯していて、状況に応じて付け替えては作品作りを行っています。また、露出計を使って計測したり、露出を変えながら何枚か撮ることできれいな空の色を出すテクニックを使っています。光が差す向き、順光と逆光にも気を配ります。ただ、シャッターを押しているわけではないことは皆さんも周知のことですよね。
しかし、一般ユーザの場合は、露出についての知識十分ではありませんし、レンズフィルターを使っている方ばかりではありません。しかも、コンパクトデジカメの場合は、フィルターが発売されていなかったりで、折角撮った青空がこうしたガッカリ現象に繋がってしまうわけです。もちろん、被写体が富士山では、光のさす位置にあわせて動いてもらうこともできませんし(汗;)。
そこでカラー補正などの画像レタッチ・テクニックの出番です。空を青くするカラー補正の機能は、Picasa3でもPhotoshop Elements 8でも用意されています。(Picasa3では「第3回 逆光の失敗写真を明るく、青空をもっと青く補正するレタッチ術」を参照してください)
Elements 8では、空を青くカラー補正する操作方法が、いくつか用意されています。そのひとつは前回に紹介した「色相・彩度」ダイアログで調整する方法です。
【関連記事】
フォトショップ・エレメンツ de ゴーゴー!(旧バージョンのPSEでの手順を紹介したバックナンバー)
第4回 クイック補正とスタンダード編集
第6回 芝生を緑に、公園の池をエメラルドビーチに? 魔法の手動カラー補正
この方法は、指定したカラーに対して補正を行うテクニックです。
画像C(下)のように、「ブルー系」を指定し(A)、明度を落としながら、彩度を上げて(B)、空の青さ(C)を記憶色に近づけていきます。しかし、実際は写真全体のブルー系の色合いが補正されていますので、少女の帽子(D)やシャツのカラーである青にも影響を及ぼしてしまいます。
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画像C 前回解説した「色相・彩度」でカラー補正するテクニック。「ブルー系」を指定し(A)、明度を落としながら、彩度を上げて(B)、空の青さ(C)を記憶色に近づけていきます。しかし、実際は写真全体のブルー系の色合いが補正されていますので、少女の帽子(D)やシャツのカラーの青にも影響を及ぼしてしまいます。 |
選択範囲を指定することで、変更したくない部分(D)をカラー補正の範囲から除外することができます。
ツールパレットから「クイック選択ツール」を選択し、カラー補正を行いたい空の部分だけをなぞって範囲指定します。点線で空が指定された状態で、「色相・彩度」ダイアログで図と同様に補正すると、空の部分だけを青くすることができます。
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画像D クイック選択ツールを選び、補正したい空の部分をなぞって範囲を指定したところ。この後「色相・彩度」でカラー補正すると、点線で囲まれている空の部分だけが補正され、帽子やシャツには影響を与えません。 |
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