スタジオグラフィックス プロが教えるデジタルカメラの写真撮影&レタッチテクニック 公式 Official WebSite
SGギャラリー

星景写真家・北山輝泰の日本星空名所案内
第6回 中部編~ 04


kitayama_06

Photo : Teruyasu Kitayama


TOPIX

前回に引き続きご紹介する撮影スポットは美ヶ原高原です。美ヶ原高原は執筆する北山氏のホームグラウンドでもあり、今回も詳細な解説が記述されています。ぜひご覧ください。また、本スポットでは年に数回、北山氏主催によるワークショップも開催されています。ご興味がある方はぜひ北山氏のWebサイトをご訪問ください。 by 編集部

<本記事は 2021 年9月現在の情報です。現状は記事内容と異なる場合がございます。>

Go To Top


皆さんこんにちは。星景写真家の北山です。
季節はすっかり秋となり、夏の暑さから一転、涼しい日が続くようになりました。星空も徐々に夏の星座から秋冬の星座が主役となり、一等星が多く輝く賑やかな夜空を見ることができます。
さて、今回は6月にご紹介した美ヶ原高原編の後編ということで、美しの塔から向かって西側のエリアをご紹介したいと思います。

Index

1.美ヶ原高原での撮影のポイント④「王ヶ頭周辺」

美しの塔から西へ徒歩で 45 分ほど歩くと、美ヶ原高原の中でも標高が高い「 王ヶ頭 」エリアに行くことができます。ここには、宿泊施設の「 王ヶ頭ホテル 」をはじめ、周辺には県内の放送局の電波を発信する鉄塔とアンテナが複数立っており、美しの塔側から見上げる風景はまるで宇宙基地のようです。

写真1 王ヶ頭ホテルの星景写真
カメラ: EOS 6D レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8 シャッター速度:15.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: EOS 6D
レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8
シャッター速度:15.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯

王ヶ頭ホテルのすぐそばには松本市方面を一望できる展望場所があり、ここが美ヶ原高原で最も標高が高い場所になります。美ヶ原は百名山のひとつでもあるため、登山シーズンはここを目指して多くのハイカーが麓から登って
きます。展望場所からの眺望ですが、西側は浅間山や北アルプスの穂高岳、蝶ヶ岳、槍ヶ岳などを見ることができ、東南側は蓼科山、八ヶ岳、そして天気が良い日は富士山を見ることができます。また、11 月以降の寒い日は、木々に霧氷がつき、まるで物語の世界のような美しい光景が広がります。

写真2 王ヶ頭からの眺望

02_R

この場所で星景写真を撮影する場合の注意点ですが、鉄塔についているライトが夜になると赤く点灯し、その明かりが写真写りに大きく影響してくることです。

写真3 王ヶ頭からの星景写真
カメラ: EOS 6D レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8 シャッター速度:15.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: EOS 6D
レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8
シャッター速度:15.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯

このように王ヶ頭の石碑と一緒に撮影しようとすると、風景が赤くなってしまいます。RAW のレタッチで赤色だけを無くすこともできますが、不自然な仕上がりになってしまいますので、こればかりは諦めるほかありません。それでも、季節によっては雲海と星空の写真を撮ることができる場所でもありますので、訪れる価値はあるでしょう。

写真4 雲海の星景写真
カメラ: EOS 6D レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8 シャッター速度:15.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: EOS 6D
レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8
シャッター速度:15.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯

Go To Top

2.美ヶ原高原での撮影のポイント⑤「王ヶ鼻」

続いてご紹介するのは「王ヶ鼻」です。王ヶ頭から徒歩 20 分ほどでたどり着くことができ、ここからは松本市方面の街並みや、北アルプスの山並みを一望することができます。王ヶ頭よりも視界が開けているため、眺望重視の方はこちらの方がいいでしょう。

写真5 王ヶ鼻からの眺望

05_R

展望スペースは大人数が同時に滞在できるほど広いですが、ゴツゴツした岩が露呈しているので、日中夜問わず歩く際には十分注意が必要です。王ヶ鼻の特徴としては石仏が複数置かれていることで、これらはすべて御嶽山の方向を向いています。石仏が置かれている理由は諸説ありますが、礼拝のために御嶽山に登る人が多くいたころ、事情により登ることができなかった人々
が、代わりに3回美ヶ原に登ることで同じご利益を得ていたと言われており、その中でいつしか石仏が置かれたと言われています。

写真6 石仏と夜景
カメラ: α7Ⅲ レンズ:FE24mm F1.4 GM シャッター速度:10.0秒 ISO感度:1600 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: α7Ⅲ
レンズ:FE24mm F1.4 GM
シャッター速度:10.0秒
ISO感度:1600
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯

眺望は抜群ですが、その代わりに街の明かりをダイレクトに拾ってしまうため、ハーフNDフィルターを併用して撮影するのが良いでしょう。東南の方向を撮影すれば、蓼科山や八ヶ岳、富士山と昇る星座を撮影することができます。

写真7 オリオン座と八ヶ岳
カメラ: EOS 6D レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8 シャッター速度:15.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: EOS 6D
レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8
シャッター速度:15.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯

ちなみに、王ヶ鼻のとある場所にはゼロ磁場と呼ばれるポイントがあります。ゼロ磁場とは、磁力の N 極と S 極が拮抗している状態のことを言います。方位磁石を持っていれば、本来とは真逆の方向を指したり、ぐるぐる磁石が回る様子を見ることができます。ぜひアナログな方位磁石を持って、どこにあるか探してみてください。

写真8 コンパス

08-1

Go To Top

3.美ヶ原高原での撮影のポイント⑥「思い出の丘」

最後に美ヶ原高原の端にある「思い出の丘」を紹介します。

写真9 思い出の丘

09_R

松本市から車で 50 分ほど山道を上がってくると、思い出の丘駐車場にたどり着きます。そこから10分ほど歩くと展望台に到着します。西側の眺望としては王ヶ鼻と大きく変わりませんが、思い出の丘の方が東~南側の眺望が良いという点と、駐車場にトイレがあるため長時間の滞在に向いています。ここからはまず北アルプスに沈む星々と夜景の写真を狙うのがセオリーでしょ
う。

写真10 思い出の丘からの星景写真
カメラ: EOS 6D レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8 シャッター速度:15.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: EOS 6D
レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8
シャッター速度:15.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯

次に、東~東南の方向を見ると、向かって左側は上田市方向の明かりが見え、右側には王ヶ頭の鉄塔の明かりが見えます。その真ん中に美ヶ原自然保護センターへと続く人気のトレッキングコースがありますので、ロケーションを変えながら撮影したい場合は、ここを歩きながら撮影するのも面白いでしょう。

写真 11 思い出の丘からの星景写真
カメラ: EOS 6D レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8 シャッター速度:15.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: EOS 6D
レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8
シャッター速度:15.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯

思い出の丘は周囲がよく見渡せる分、遠くの街の明かりの影響(光害)を受けやすいため、「光害カットフィルター」を併用しながら撮影するのが良いでしょう。

Go To Top

4.まとめ

美ヶ原高原の後編、いかがでしたでしょうか?人気の被写体である「美しの塔」をはじめ、高原の各所から見られるアルプスの山々や、光輝く夜景など、見所たっぷりなのが美ヶ原高原です。一晩で全てを撮影することは困難ですが、ぜひ何回かに分けて美ヶ原の絶景と星空の撮影に訪れていただければと思います。なお、美ヶ原高原では定期的に私が講師で星景写真のワーク
ショップを行なっております。告知などは私のホームページにて募集を行っておりますので、ぜひご覧いただければと思います。
https://www.kitayamateruyasu.com

Go To Top

5.次回予告

さて次回は、東北地方の撮影スポットについてご紹介します。乞うご期待!

Go To Top

 

北山輝泰
著者について
北山輝泰 星景写真家 1986年東京生まれ。 日本大学芸術学部写真学科 卒業 大学在学中、星好きだった恩師の影響で宇宙や天体写真に興味を持つようになる。卒業後、福島県鮫川村に移住をし、本物の星空に触れる生活を始める。 その後、天体望遠鏡メーカーに転職し、営業として7年勤務した後、星景写真家として独立。現在は天文雑誌「星ナビ」のライターをしながら、全国で星景写真のワークショップや創作活動を行っている。ワークショップ詳細については Facebookページ「ナイトフォトツアーズ」にて。
メルマガ登録