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星景写真家・北山輝泰の日本星空名所案内 第18回 関東編~02

Photo & Text:北山輝泰



TOPIX

関東地方は梅雨入り間近となってまいりました。日本全国の星空名所をご紹介する本シリーズの第 18 回目は前回に引き続き関東編を取り上げました。 by 編集部

<本記事は 2023 年 6 月現在の情報です。ご覧いただく時期により状況は記事内容と異なる場合がございます。>

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皆さん、こんにちは。星景写真家の北山です。夏日になるも増えて星空撮影もしやすくなってきましたね。関東地方は梅雨入りました。今年の梅雨は災害になるような大雨が降らないことを祈りたいです。さて、今回の星空名所案内は前回に引き続き神奈川県の撮影スポットをご紹介します。

Index

1.神奈川県の撮影スポット

ご紹介するのは神奈川県山北町にある「大野山」です。山北町は神奈川県の西端に位置し、静岡県との県境にある人口約 9,500 人の町です。紅葉の名所としても有名な丹沢湖や、日本の滝 100 選にも選ばれている酒水の滝があるなど、豊かな自然の景観を楽しむことができます。
 この山北町の南側に位置するのが今回ご紹介する大野山です。山というと登山をしなければいけないの?と思われるかもしれませんが、大野山山頂の近くまでは車でアクセスすることができます。ハイキングコースもありますので、のんびり徒歩で向かいたい方は景観を楽しみながら登るのもいいでしょう。山頂はとても広く、長時間滞在しても問題ありません(写真1)。かわいらいしい木彫りの動物のモニュメントが置かれている場所が大野山最高地点で、標高 723 メートルあります(写真2)。なお、山頂にはトイレが設置されていますが、私が訪れた冬季は使うことができませんでした(写真3)。おそらく夏季シーズンだけと思われますが、詳しくは管轄の町役場までお問い合わせください。

写真1

写真2

写真3

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2.大野山の撮影ポイント(1)

大野山からの眺望ですが、南の方角は足柄、小田原方面の街並みを一望することができ(写真4)、北は少し木が被りますが丹沢湖が見え(写真5)、そして西には雄大な富士山を見ることができます(写真6)。これらの素晴らしい眺望に加え、山頂には桜の木がたくさん植っており、春に訪れれば美しい光景も見ることができるでしょう。

写真4

写真5

写真6

星空撮影のポイントですが、どの方向に向けても絵になりますが、まずは富士山と一緒に撮影してみましょう。方角的に西に沈む星と一緒に撮影できますので、春は冬の星座が沈んでいく様子や、秋は天の川が沈んでいく様子と一緒に撮影するのが良さそうです。富士山とはある程度距離がありますが、広角で御殿場市の街明かりと一緒に撮影したり、標準から中望遠で富士山と星だけが写るように撮影したりとさまざまな焦点距離で撮影してみるのが面白いでしょう(写真7)。薄暮の時間に訪れれば、美しいマジックアワーの空と星空の写真も撮影することができますよ(写真8)。

写真7

カメラ: OM SYSTEM OM-1 レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
シャッター速度:4秒 ISO感度400 絞り:f5.6 ホワイトバランス:蛍光灯
500コマを比較明合成

写真8

足柄、小田原方面の夜景は大変明るいため、ハーフGNDフィルターなどを使って撮影するのが良いでしょう(写真9)。夏に訪れれば南中する天の川との絡みが期待できます。
丹沢湖方面ですが、谷の深いところにあり標準から中望遠で撮影すると星空が写しにくくなり、また広角で撮影すると湖の印象が少し弱くなってしまうため、他の方角に比べると多少撮影が難しい印象です(写真10)。せっかく来たなら一枚撮影という程度で、他の狙いで撮影に時間を使うのが良さそうです。
ある程度撮影も落ち着いてきたら、山頂一帯の木をシルエットに撮影してみるのも面白いでしょう。舗装された道や木のシルエットなども星景写真の良い題材になります(写真11)。

写真9

写真 10

写真 11

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3.大野山の撮影ポイント(2)

大野山の展望台を通り過ぎ、ハイキングコース(写真12)をしばらく歩くと「山北テレビ中継放送所」の鉄塔が見えてきます。このあたりまで来ると、より抜け良く御殿場市方向と富士山を撮影することができます(写真13)。ただし、足元にはたくさんの草が生い茂っているため、三脚を安定して立てられる場所がほとんどありません。また吹き上げてくる風の影響を強く受ける立地のため、風が強い日は機材の転倒などにも注意する必要がありそうです。

写真 12

写真 13

カメラ: SONY α7Ⅳ FE20mm F1.8G
シャッター速度:5秒 ISO感度800 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

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4.大野山へのアクセス

大野山へは車でアクセスすることになります。東京方面からアクセスする場合は、東名高速道路の大井松田ICを出て 246 号線を西に進み、「安戸」の交差点を右折し山を登っていきます。途中「大野山かどやファーム」さんの建物を通り過ぎたら、大野山の駐車場まであと少しです。車道は舗装されていますが、ところどころ道幅がかなり狭いところもありますので、できれば時間に余裕を持って明るいうちに行かれるのをおすすめします。駐車場はとても広く、駐車スペースに困ることはないでしょう(写真14)。駐車場から山頂まで舗装された急坂を 10 分ほど歩く必要がありますが、高台から見る景色を楽しみながら歩くとあっという間に到着です。

写真 14

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5.まとめ

関東編vol.2、いかがでしたでしょうか?今回は、神奈川県山北町にある「大野山」をご紹介しました。富士山の素晴らしい眺望だけでなく、市街の夜景も楽しむことができ、いろいろな星景写真撮影を試すことができる素晴らしい場所です。ぜひ一度行かれてみてはいかがでしょうか?それでは次回の更新もお楽しみに!星景写真家の北山輝泰でした。

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著者について
北山輝泰 星景写真家 1986年東京生まれ。 日本大学芸術学部写真学科 卒業 大学在学中、星好きだった恩師の影響で宇宙や天体写真に興味を持つようになる。卒業後、福島県鮫川村に移住をし、本物の星空に触れる生活を始める。 その後、天体望遠鏡メーカーに転職し、営業として7年勤務した後、星景写真家として独立。現在は天文雑誌「星ナビ」のライターをしながら、全国で星景写真のワークショップや創作活動を行っている。ワークショップ詳細については Facebookページ「ナイトフォトツアーズ」にて。