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星景写真家・北山輝泰の日本星空名所案内 第16回 九州編~ 02

Photo & Text:北山輝泰



TOPIX

昼夜の寒暖差が大きく秋が深まってまいりました。日本全国の星空名所をご紹介する本シリーズの第 16 回目は前回に引き続き九州 福江島を取り上げました。どうぞご覧ください。 by 編集部

<本記事は 2022 年 11 月現在の情報です。ご覧いただく時期により状況は記事内容と異なる場合がございます。>

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皆さん、こんにちは。星景写真家の北山です。寒い日が続いていますが、体調崩されていないでしょうか?冬になり日没が早くなったことで、長い時間星空が楽しめるのもこの季節ならではの特徴です。無理のない範囲で、晴れている日は星空を見上げてみてくださいね。さて、今回は九州編の第二回目ということで、前回に引き続き福江島の撮影スポットについてご紹介します。

Index

1.福江島の撮影スポット

今回ご紹介をするのは、福江島の南西の端にある「大瀬崎灯台」です。東シナ海を眼前に望む切り立った崖の上にあり、明治9年、イギリス人技師「プラトン」による設計で建てられました。その後、昭和 46 年に建て替えられ、国内最大級の200 万カンデラ( 1カンデラ=1本分の蝋燭の明かり)の光度がある1キロワット電球が搭載され、その光は 44 kmも離れたところからでも見えるそうです。また、デザインは白を基調とし、海の青、空の青とのコントラストが美しく、「日本の灯台 50 選」にも選ばれています。
まさに福江島のシンボルとも言えるこの大瀬崎灯台ですが、周囲を大自然に囲まれていることもあり、夜は満天の星を見ることができました。今回はその模様をお伝えしたいと思います。

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2.大瀬崎灯台の撮影ポイント(1)

大瀬崎灯台と星空を撮影する場合は、撮影候補地は三ヶ所あります。一つ目の撮影場所は、長崎県道 50 号(玉之浦大宝線)から大瀬崎灯台へと向かう公道の途中に設置された展望台です(写真1)。展望台からは灯台を俯瞰することでき、東シナ海の広々とした風景と一緒に撮影することができます(写真2)。あいにく私が訪れた日は雲が多く星空と一緒に撮影することは叶いませんでしたが、翌日昼間に訪れた際に撮影した写真を掲載いたします。

写真1

写真2

展望台は木造ですが、非常に頑丈な作りで揺れもほとんどありませんでした。なお、自家用車で行く場合は、展望台のすぐ近くにある「大瀬崎園地」の駐車場に停めて徒歩で行くのがよいでしょう(写真3)。ちなみに、大瀬崎園地の展望台からも灯台を見ることはできますが、手前の草木が生い茂っているため、脚を伸ばせる三脚がないと少々撮影し辛いでしょう(写真4)。

写真3

写真4

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3.大瀬崎灯台の撮影ポイント(2)

二つ目は、今ご紹介をした展望台よりさらに高いところにある展望広場です。大瀬崎園地に車を停めてから公道を挟んだ山側に、展望広場へと登っていく階段があります(写真5)。徒歩3分ほど昇ると、より俯瞰した形で灯台と海を見渡せる展望スペースがあります(写真6)。アングルがガラッと変わるというわけではありませんが、公道を通る車の明かりや振動が気になる場合は、こちらから撮影するのが良いでしょう。私も次回訪れた際は、本州最後の夕陽が沈む瞬間から星が現れてくるまでのタイムラプスをここで撮影したいと考えています。

写真5

写真6

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4.大瀬崎灯台の撮影ポイント(3)

三つ目は、大瀬崎灯台近くの高台です。先ほどの展望台横の公道を行き止まりまで進むと、大きな駐車スペースがあり、その脇には大瀬崎灯台へと繋がる道の入口があります(写真7,8)。ここからは徒歩で大瀬崎灯台へと向かうことになりますが、道中は舗装されていない山道になるため、歩きやすいスニーカーと、虫対策で長袖と長ズボンは必須です。行きは下りで 20 分、帰りは登りで 40 分ほどかかりますが、撮影機材を持っていく場合はさらにプラス 10 分程度見ておいたほうがいいでしょう。山道を抜けると眼前には大瀬崎灯台が聳え立つ圧巻の風景を見ることができます(写真9)。灯台近くまで道は続いているため真下で撮影することもできますが、灯台の明かりが強いため、星景写真を撮影する場合はあまり近付かず撮影するのがいいでしょう。
高台から灯台方向はほぼ真南に位置しているため、南中する星空と一緒に撮影することができます。私が訪れたタイミングは8月だったため、日没後すぐに南中する夏の天の川を撮影することができました( 写真10 )。またこの日は半月程度の月がある日でしたが、月明かりがあっても肉眼で天の川を見ることができ、福江島の空の暗さを再認識することができました( 写真11 )。

写真7

写真8

写真9

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE 14mm F1.8 GM 
シャッター速度:4.0秒 ISO感度4000 絞り:f2.8 ホワイトバランス:オート

写真 10

カメラ: SONY α7Ⅳ レンズ: FE 14mm F1.8 GM 
シャッター速度:10.0秒 ISO感度6400 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

写真 11

カメラ: OM SYSTEM OM-1 α7Ⅳ レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 
シャッター速度:15.0秒 ISO感度3200 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

なお、灯台の反対方向は山になるため、あまり視界はよくありませんが、北極星はぎりぎり山の上に見えましたので、ポータブル赤道儀の極軸合わせもぎりぎり行うことができました( 写真12 )。

写真 12

カメラ: OM SYSTEM OM-1 α7Ⅳ レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 
シャッター速度:15.0秒 ISO感度3200 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯

また、撮影が終了してから駐車スペースまで戻る道は、街灯が一つもない山道になるため、ヘッドライトが必須になります。予備の電池も含めて忘れずに携行するようにしましょう。

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5.大瀬崎灯台へのアクセス

大瀬崎灯台へは、福江港がある市街地から車で1時間程度、そこからは徒歩で移動するのが基本です。道は舗装されているため、運転に不慣れな方でも安心して行くことができるでしょう。もし公共バスで行くこと場合は、福江港から五島バスに乗り、大瀬崎口のバス停で降り、そこから徒歩で1時間程度歩くと大瀬崎灯台の入り口へと行くことができます。

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6.まとめ

九州編vol.2、いかがでしたでしょうか?今回は、五島列島・福江島の大瀬崎灯台をご紹介しました。圧倒的な風景を目の前に星景写真を撮影することができる場所ですので、自然風景の星景写真が好きな方にはぜひおすすめです。それでは次回の更新もお楽しみに!星景写真家の北山でした。

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