スタジオグラフィックス プロが教えるデジタルカメラの写真撮影&レタッチテクニック 公式 Official WebSite
SGギャラリー

星景写真家・北山輝泰の日本星空名所案内
第5回 中部編~ 03


kitayama_05

Photo : Teruyasu Kitayama


TOPIX

今回ご紹介する撮影スポットは美ヶ原高原を取り上げました。美ヶ原高原は執筆する北山氏のホームグラウンドでもあり、いつにも増して詳細な解説が記述されています。ぜひご覧ください。また、本スポットでは年に数回、北山氏主催によるワークショップも開催されています。ご興味がある方はぜひ北山氏のWebサイトをご訪問ください。 by 編集部

<本記事は 2021 年6月現在の情報です。現状は記事内容と異なる場合がございます。>

Go To Top


皆さんこんにちは。星景写真家の北山です。
本州でも梅雨入りとなり、星空がなかなか見られない季節となりました。このような時は、撮影候補地の情報収集を行ったり、機材のメンテナンスをしたりと、次の撮影のための準備をする時間にあてましょう。さて、今回は再び中部編の続編ということで、私が最も通っている長野県の撮影スポットについてご紹介します。

Index

1.長野県の撮影スポット

今回ご紹介をするのは、長野県にある標高2,000mの高原地帯、美ヶ原高原です。

写真1 美ヶ原高原のパノラマ

01_R

美ヶ原高原は松本市、上田市、長和町の3つの市町の境に位置しており、広さは約 600 ヘクタールと東京ドーム約 127 個分の広さです。夏は美しい緑の草原が広がり、冬はスノーシューがないと歩けないほどの雪が積もります。夏から秋にかけては、牛が数百頭放牧されており、牧歌的な光景を見ることができるのが特徴です。ちなみに、美ヶ原高原は「 八ヶ岳中信高原国定公園 」に指定されており、植物、鉱石の採取や、許可車両を除く一般の車両( 自転車含む )の通行は禁止されています。

美ヶ原高原へのアクセスのメイン道路である「 ビーナスライン 」が 2002 年に無料化されて以降、バイクや自家用車で気軽に標高 2,000m まで登ってこられるということで、多くの人が訪れるようになりました。また、ビーナスラインは、災害時、悪天候時を除き、24 時間通行可能ということもあり、星空や朝方見られる雲海を求めて登ってくる人も多くいます。その星空ですが、市街地から遠く離れていることもあり、快晴で月明かりがない夜はたくさんの星を見ることができます。

私もこの星空に何度も魅了され、1年のうち何回も足を運んでいます。ただ星空を見るだけでも十分楽しめますが、撮影をしたいという方向けにいくつか撮影ポイントをご紹介します。

脚注※ビーナスラ インは例年5月から 11 月までと開通している期間が限られています。詳しくはビーナスラインのHP をご覧ください。

Go To Top

2.美ヶ原高原での撮影のポイント①「美しの塔」

美ヶ原高原のシンボルとも言えるのが、高原の中心にある「美しの塔」です。

写真2 美しの塔

02_R

高さはおよそ6m で、日本で一番大きな文学碑として有名です。塔の裏側から内部に入ることができ、見上げると鐘がついているのが分かります。これは、霧の中で登山者が迷わないように、鐘を鳴らして歩く方向を知らせるために備わっているそうです。GPS が発達した現在ではその用途で使われることは無くなりましたが、今もその鐘の音は変わりませんのでぜひ一度鳴らしてみてください。

美しの塔までのアクセスは、美ヶ原長和町営駐車場(無料)に車を泊めて、徒歩で 15 分ほど歩く必要があります。

写真3 美ヶ原長和町営駐車場と星空
カメラ: α7SⅢ レンズ:TAMRON 11-20mm F2.8 シャッター速度:25.0秒 ISO感度:1600 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

カメラ: α7SⅢ
レンズ:TAMRON 11-20mm F2.8
シャッター速度:25.0秒
ISO感度:1600
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

松本市方面から自家用車でアクセスする場合、ナビによっては高原を横断する一般車が走ることができない道を指示してくる場合がありますので、事前によく調べるようにしましょう。また、トイレは駐車場、美しの塔どちらにもありませんので、「 道の駅 美ヶ原高原美術館 」のトイレを利用する形になります。

この美しの塔の周辺ですが、360 度視界が開けていますので、どの方角からでも美しの塔と一緒に星の写真を撮ることができます。非常に写真映えする被写体ですので、美ヶ原高原に来たらまずこの塔と一緒に星を撮ることから始めるのが良いでしょう。

写真4 美しの塔の星景写真1
カメラ: EOS 6D レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8 G2 シャッター速度:30.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯

カメラ: EOS 6D
レンズ:TAMRON 15-30mm F2.8 G2
シャッター速度:30.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯

写真5 美しの塔の星景写真2
カメラ: α7Ⅲ レンズ:FE16-35mm F2.8GM シャッター速度:30.0秒 ISO感度:4000 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

カメラ: α7Ⅲ
レンズ:FE16-35mm F2.8GM
シャッター速度:30.0秒
ISO感度:4000
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

なお、塔と一緒に星空を撮影するために、あえて離れたところから撮影している方もいます。そのため、塔の付近に立つと別の方の写真に写り込んでしまう可能性があります。これは人気の撮影地全てに言えることですが、まず明かりを消し、周囲に撮影をしている人がいないかをヘッドライトの明かりやカメラの液晶の明かりなどを元に確認し、いるようであれば、どの方向を撮影しているのかを推測し、構図の中に写り込まないような場所にカメラと三脚をセットするようにしましょう。
美しの塔付近で南東方向を撮影していると地平線付近に色がついているのが分かります。

写真6 美しの塔の星景写真3
カメラ: α7SⅢ レンズ:FE20mm F1.8G シャッター速度:10.0秒 ISO感度:2000 絞り:f1.8 ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

カメラ: α7SⅢ
レンズ:FE20mm F1.8G
シャッター速度:10.0秒
ISO感度:2000
絞り:f1.8
ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

これは長和町方面の「 光害 」です。美しの塔周辺は周囲に遮るものや高い山がないため、遠くの街明かりの影響も直接受けてしまいます。そのため、カメラを向ける方向によっては地平線付近に光害による色かぶりが生じてしまうことが多々あります。そのため、美しの塔付近で撮影を行う場合は、光害カットフィルターを併用するのがいいでしょう。

■ マルミ光機製 レンズフィルター 77mm StarScape の実売価格をアマゾンで見る! ■
Go To Top

3.美ヶ原高原での撮影のポイント②「牛伏山」

美ヶ原高原のおすすめの撮影地の2つ目は「 牛伏山 」です。

写真7牛伏山山頂周辺

07_R

写真8 牛伏山山頂から王ヶ頭を望む

08_R

その名前の通り、離れたところから見てみると、牛が伏せているような形をしているのが特徴です。山頂は広々としており、美ヶ原高原一帯を見渡すことができるのはもちろん、遠くには北アルプス、中央アルプス、南アルプスなどの山々も見ることができます。山といってもハードなものではなく、入り口から山頂まではおおよそ 15 分程度で到着します。あまり知られていませんが、実はここには以前スキー場があり、リフトで牛伏山近くまで上がることができたようです。その時の記録はほとんど残っていませんが、行かれた際はその痕跡を探してみるのも面白いかもしれません。入り口は美ヶ原長和町営駐車場(無料)のすぐ近くと、道の駅側からの2箇所ありますので、都合の良い方を利用しましょう。

牛伏山の撮影ポイントは、山頂に積まれたケルンを被写体にした撮影です。ケルンとは、登山の際の道標や、慰霊のために意図的に積まれた石の塔のことを言います。牛伏山にはいくつかケルンがありますが、これらはおそらく先の目的ではなく、観光で訪れた方が積んだものと考えられます。ですが、その形はどれもユニークで構図の中の良いアクセントになるでしょう。

写真9 牛伏山の星景写真1
カメラ: α7Ⅲ レンズ:FE16-35mm F2.8 GM シャッター速度:20.0秒 ISO感度:6400 絞り:f4.0 ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

カメラ: α7Ⅲ
レンズ:FE16-35mm F2.8 GM
シャッター速度:20.0秒
ISO感度:6400
絞り:f4.0
ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

牛伏山からは、美ヶ原高原にある3カ所の宿泊施設を見ることができます。宿泊施設の明かりや登山道をアクセントに、星空撮影するのも良いでしょう。

写真 10 牛伏山の星景写真2
カメラ: α7SⅢ レンズ:TAMRON 11-20mm F2.8 シャッター速度:15.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

カメラ: α7SⅢ
レンズ:TAMRON 11-20mm F2.8
シャッター速度:15.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

Go To Top

4.美ヶ原高原での撮影のポイント③「道の駅 美ヶ原高原美術館」

最後にもう一つ撮影ポイントをご紹介します。美ヶ原高原の東側の端に位置する「道の駅 美ヶ原高原美術館」です。ここには 800 台もの駐車スペースがある美ヶ原台上駐車場( 無料 )があり、美ヶ原高原の観光の起点として利用することができます。道の駅内は食堂や売店なども充実しており、さらに 24 時間使えるトイレがあるのも魅力的です。

写真 11 美ヶ原台上駐車場と星空
カメラ: α7SⅢ レンズ:TAMRON 11-20mm F2.8 シャッター速度:15.0秒 ISO感度:3200 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

カメラ: α7SⅢ
レンズ:TAMRON 11-20mm F2.8
シャッター速度:15.0秒
ISO感度:3200
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

この駐車場の端には北東 ~ 東側の眺望が抜群の展望スペースがあり、車を降りてすぐ絶景を見ることができます。遠く浅間山を初め、上田市の夜景を堪能することができるでしょう。

道の駅 美ヶ原高原美術館の撮影のポイントとしては、朝方に見られる雲海です。

写真12 道の駅 美ヶ原高原美術館から望む、雲海と浅間山から昇る太陽
カメラ: E-M1 MarkⅡ レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO シャッター速度:1/30秒 ISO感度:100 絞り:f8.0 ホワイトバランス:日陰

カメラ: E-M1 MarkⅡ
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
シャッター速度:1/30秒
ISO感度:100
絞り:f8.0
ホワイトバランス:日陰

見られる可能性が高いのは朝方の気温が低くなる夏の終わりから秋にかけてです。まさに「雲の海」という言葉どおり、どこまでも果てしなく広がる雲の絨毯は、何度見ても心奪われる美しい光景です。おすすめの撮影タイミングは、日の出時刻の1時間半ほど前です。それまで見えていた星が少しずつ消え始め、朝焼けが始まるタイミングが最も空のコントラストが美しく、夜景
も良いアクセントになってくれるでしょう。

写真13 雲海と星の星景写真
カメラ: α7Ⅲ レンズ:TAMRON 17-28mm F2.8 シャッター速度:10.0秒 ISO感度:800 絞り:f2.8 ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

カメラ: α7Ⅲ
レンズ:TAMRON 17-28mm F2.8
シャッター速度:10.0秒
ISO感度:800
絞り:f2.8
ホワイトバランス:蛍光灯(温白色)

なお、美ヶ原高原は麓の街との温度差が約10度あります。夏でも朝晩は大変冷え込みますので、手袋、ネックウォーマー、防寒具はオールシーズン準備するようにしましょう。

Go To Top

5.次回予告

今回は、美ヶ原高原の中でも主に東側のエリアを中心にご紹介しました。次回は、美ヶ原高原の西側のエリアの中でのおすすめの撮影スポットをご紹介します。乞うご期待!

Go To Top

 

著者について
北山輝泰 星景写真家 1986年東京生まれ。 日本大学芸術学部写真学科 卒業 大学在学中、星好きだった恩師の影響で宇宙や天体写真に興味を持つようになる。卒業後、福島県鮫川村に移住をし、本物の星空に触れる生活を始める。 その後、天体望遠鏡メーカーに転職し、営業として7年勤務した後、星景写真家として独立。現在は天文雑誌「星ナビ」のライターをしながら、全国で星景写真のワークショップや創作活動を行っている。ワークショップ詳細については Facebookページ「ナイトフォトツアーズ」にて。