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星景写真家・北山輝泰の日本星空名所案内
第1回 中部編~ 01

Posted On 27 1月 2021
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Photo : Teruyasu Kitayama


TOPIX

ここ数年、デジタルカメラの性能が上がり多くの撮影するファンが増えている星景写真。コロナ禍の中でも根強い人気を誇るジャンルです。この度、日本全国の星景撮影スポットをご紹介する記事を新連載することにいたしました。執筆いただくのは雑誌、Webで活躍中でカメラメーカーの講師も務める北山輝泰氏に依頼しました。 by 編集部

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皆さんこんにちは。星景写真家の北山と申します。
この度、スタジオグラフィックスon the WEBにて(再び)連載記事を執筆させていただくことになりました。内容は「 星景写真家が案内する日本星空名所 」ということで、日本全国を旅して星景写真を撮影している私が、過去訪れた中で魅力的だと感じた場所をご紹介していこうと思います。

Index

1.星景写真の撮影地について

インターネットで「星空 名所」などと調べると、星空が綺麗に見えるおすすめの場所が多数載っています。ですが、そういった場所は必ずしも星景写真を撮影するのに適している場所とは限りません。
それは、星空観察に適している場所は「光害(ひかりがい)が少ないこと」「360°視界が開けていること」という条件が重要なのに対し、星景写真では「撮りたい方角が開けていること」「ユニークな地上風景があること」という条件が理想的だからです。
満天の星空が写っていても風景が蔑ろにされていれば、作品としては 50 点の出来となってしまいます。自分が撮りたい星空とマッチした風景を探せるようになれば、より魅力的な星景写真になること間違いなしです。

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2.中部地方の推奨撮影地

前置きが長くなりましたが、早速今回の撮影地をご紹介していきたいと思います。
今回私が訪れたのは静岡県南部に位置する「御前崎灯台」です。静岡県最南端ということで、目の前は太平洋という最高のロケーションです。

写真1 御前崎灯台

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写真2 御前崎灯台の展望台

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御前崎灯台に訪れた理由は、木星と土星が大接近している様子を薄明の海沿いの風景とともに撮影するという狙いのためでした。
木星と土星の大接近とは、2020 年 12 月末に起きた天文現象で、西の地平線に沈んでいく2つの惑星が、見かけ上一つに重なったように見えるという一生に一度しか見ることができない貴重なものです。この日は大接近の日から1週間前ではあったものの、肉眼でも十分に近づいているのが分かりました。

写真3 展望台から見た方位角の写真

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今回は、太陽の残照が残る薄明の時間帯に木星と土星を撮影したかったので、撮影時間の目安は 17 時 30 分から 18 時としました。その時木星と土星がある方角を調べると、方角は南西で方位角は 223° ということが分かります。私がロケハンでよく使用している Spyglass(※有料)というアプリを使用して、方角と方位角を確認すると、御前崎灯台横の展望台でも十分に撮影できることがわかりましたので、早速機材をセッティングします。

写真4 機材の展開の様子

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この日は前線の影響で、太平洋から陸地に向かって強い風が吹いている状況での撮影でした。そのため、三脚はなるべく低くし、できるだけ風の影響を少なくして撮影を行いました。風が吹いていなくても、展望台など人が多く出入りする可能性がある場所では、なるべく端っこで三脚を低くしてカメラを設置するようにしています。

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3.今回の作例

写真5
モデル名:E-M1MarkII レンズ情報:OLYMPUS M.40-150mm F2.8 焦点距離 (35mm換算):300.0mm シャッター速度:1/320秒 絞り値:F8.0 ISO感度:200 ホワイトバランス:マニュアル 撮影日時:2020/12/14 16:35:28

モデル名:E-M1MarkII
レンズ情報:OLYMPUS M.40-150mm F2.8
焦点距離 (35mm換算):300.0mm
シャッター速度:1/320秒
絞り値:F8.0
ISO感度:200
ホワイトバランス:マニュアル
撮影日時:2020/12/14 16:35:28

海に沈んでいく太陽を見送ってからが本番です。徐々に露出が切り替わる時間帯になりますので、撮った写真を再生し、注意深く露出を確認しながら撮影を行います。暗くなってくるにつれて、徐々に木星と土星の存在がはっきり分かるようになってきました。

写真6
モデル名:ILCE-7SM3 レンズ情報:FE 20mm F1.8 G 焦点距離 (35mm換算):20.0mm シャッター速度:4.0秒 絞り値:F1.8 ISO感度:1250 ホワイトバランス:マニュアル 撮影日時:2020/12/14 17:45:04

モデル名:ILCE-7SM3
レンズ情報:FE 20mm F1.8 G
焦点距離 (35mm換算):20.0mm
シャッター速度:4.0秒
絞り値:F1.8
ISO感度:1250
ホワイトバランス:マニュアル
撮影日時:2020/12/14 17:45:04

薄明の時間も終盤になるにつれて、木星と土星以外の暗い星の存在もはっきり分かるようになってきました。撮影の途中、構図の右奥の方から車が一台海岸線を走ってくるのが分かりましたので、シャッタースピードを遅くし、車のヘッドライトが軌跡になるよう調整をしてシャッターを切りました。道路がヘッドライトで浮かび上がり、立体感のある写真になりました。

写真7
モデル名:E-M1MarkII レンズ情報:OLYMPUS M.8mm F1.8 焦点距離 (35mm換算):16.0mm シャッター速度:1.6秒 絞り値:F1.8 ISO感度:400 ホワイトバランス:マニュアル 撮影日時:2020/12/14 17:29:09 コンポジット撮影設定:比較明合成,2360コマ

モデル名:E-M1MarkII
レンズ情報:OLYMPUS M.8mm F1.8
焦点距離 (35mm換算):16.0mm
シャッター速度:1.6秒
絞り値:F1.8
ISO感度:400
ホワイトバランス:マニュアル
撮影日時:2020/12/14 17:29:09
コンポジット撮影設定:比較明合成,2360コマ

撮影は2台体制で行いましたので、一つはパースに特徴のあるフィッシュアイレンズを使って撮影を行いました。こうすることで、木星と土星だけでなく、前景の草も多く写すことができ、写真に奥行き感が生まれます。また道路も歪みが強調されて、ダイナミックな写真になりました。

写真8
モデル名:E-M1MarkII レンズ情報:OLYMPUS M.8mm F1.8 焦点距離 (35mm換算):16.0mm シャッター速度:1.0秒 絞り値:F1.8 ISO感度:400 ホワイトバランス:マニュアル 撮影日時:2020/12/14 18:35:27 コンポジット撮影設定:比較明合成,1050コマ

モデル名:E-M1MarkII
レンズ情報:OLYMPUS M.8mm F1.8
焦点距離 (35mm換算):16.0mm
シャッター速度:1.0秒
絞り値:F1.8
ISO感度:400
ホワイトバランス:マニュアル
撮影日時:2020/12/14 18:35:27
コンポジット撮影設定:比較明合成,1050コマ

薄明が終了し木星と土星の撮影を切り上げた後、帰り際に御前崎灯台と星の写真を撮影しました。1秒という星の撮影をするには非常に早いシャッタースピードですが、ご覧の通り灯台が白く飛んでしまっています。このような明るい被写体と星空を撮影する場合は、1枚撮影をしただけでは星の存在感がない写真になってしまいますので、比較明合成という手法を用いて、星を線像にし撮影を行うことが多いです。

オリンパスのカメラには比較明合成をカメラ内で行う「ライブコンポジットモード」が搭載されておりますので、星の線像が短すぎず長すぎず、ちょうど良い感じになった瞬間を見計らって撮影を終了することができます。また、1050 コマという大変な枚数でも、出来上がりの写真一枚のみしかデータが残らないので、SDカードの容量を気にする必要がないのもメリットです。

今回は静岡県の御前崎灯台での星空をご紹介しました。西から~南西の眺望は抜群なので、この方角とマッチする星空を探してぜひ撮影に訪れてみてください!次回はまた別の撮影地についてご紹介をしたいと思います。

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北山輝泰
著者について
北山輝泰 星景写真家 1986年東京生まれ。 日本大学芸術学部写真学科 卒業 大学在学中、星好きだった恩師の影響で宇宙や天体写真に興味を持つようになる。卒業後、福島県鮫川村に移住をし、本物の星空に触れる生活を始める。 その後、天体望遠鏡メーカーに転職し、営業として7年勤務した後、星景写真家として独立。現在は天文雑誌「星ナビ」のライターをしながら、全国で星景写真のワークショップや創作活動を行っている。ワークショップ詳細については Facebookページ「ナイトフォトツアーズ」にて。
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