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鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真撮影講座
第24回 鉄道写真をうまく撮る~リフレクション鉄道写真


railway24

Photo : Masato Endoh


TOPIX

鉄道写真の撮り方を体系的に解説している、鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真講座の 24 回目はリフレクション鉄道写真について解説しました。映り込みのスナップ写真解説はネット上でも記事が多くございますが、鉄道写真に関してリフレクションに言及している記事は少ないのではないでしょうか?ぜひ、鉄道撮影の参考としてください。 by 編集部

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みなさまこんにちは。鉄道写真家の遠藤真人です。今回は鉄道写真界では、あまり解説されることがないリフレクションについて書いてゆきます。車両の写真ばかり撮っていると、なかなか気づかないこともあります。視野を広く持ってリフレクションを狙ってゆきましょう。それではスタートです!

Index

1.リフレクションとは

写真1上越線
焦点距離:112 mm / シャッター速度:1/125秒 / 絞り数値:F4.0 / ISO感度:12800 鉄道写真では直接リフレクションとは言わないものの、反射を利用した写真は定番だ。意外にも思われるが、現代の蒸気機関車はピカピカに維持されている。鉄道写真用語で”ギラリ”を積極的に狙ってゆきたい。

焦点距離:112 mm / シャッター速度:1/125秒 / 絞り数値:F4.0 / ISO感度:12800 鉄道写真では直接リフレクションとは言わないものの、反射を利用した写真は定番だ。意外にも思われるが、現代の蒸気機関車はピカピカに維持されている。鉄道写真用語で”ギラリ”を積極的に狙ってゆきたい。

リフレクションとは反射のことです。鉄道写真の王道とはいえないものの、よく見かける撮影方法です。鉄道写真では反射を利用した写真を ” 写り込み ” 、” 水鏡 ”、 ” ギラリ ” と呼ぶことが主流で、単語の ” リフレクション ” が使われることは非常にまれです。もちろん現象としては同じものですので、今回は鉄道写真的なリフレクション技術として解説します。

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2.写り込み

写り込みとは、鏡や窓などに被写体の姿が反射した状態を指します。鉄道の場合は、駅やその周辺が最も狙いやすい場所です。都市部の周辺では、お店やビルなど、建造物の窓ガラスに注目すると良いでしょう。なるべくピカピカに光った綺麗なガラスを見つけると、より写り込みが鮮明な写真に仕上がります。また、できる限り反射面に対して垂直にカメラを構えることができると驚くほど写り込みが得られます。

写真2 東海道新幹線
焦点距離:11.8 mm(コンパクトデジタルカメラ) / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F3.5 / ISO感度:100 数年前に撮影。有楽町駅近くを走る新幹線の写真。当時1/2.3インチのセンサーを搭載したコンデジにハマっていた。今でも通用する画質だ。

焦点距離:11.8 mm(コンパクトデジタルカメラ) / シャッター速度:1/500秒 / 絞り数値:F3.5 / ISO感度:100 数年前に撮影。有楽町駅近くを走る新幹線の写真。当時1/2.3インチのセンサーを搭載したコンデジにハマっていた。今でも通用する画質だ。

ローカル線の場合は、駅や列車に備わったミラーに注目して写り込みを探してみましょう。きっとあなただけが気づく素敵な風景が写り込んでいるはずです。こちらのスナップ写真も写り込み技術を駆使したものです。場所は千葉県を代表するローカル線のいすみ鉄道です。昨年に撮影会企画で撮影させてもらった一枚です。参加者の女性がカメラを構えたときに列車が写っていることに気付いて、慌てて撮らせてもらいました。スナップの要素も入った私のお気に入り写真です。

写真3 いすみ鉄道
焦点距離:140 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:640 ある意味で雄大な鉄道風景写真とは対をなす「スナップ写真」テイストの一枚。実際は薄い反射だったが、あるテクニックを使って反射を濃く仕上げた。

焦点距離:140 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:640 ある意味で雄大な鉄道風景写真とは対をなす「スナップ写真」テイストの一枚。実際は薄い反射だったが、あるテクニックを使って反射を濃く仕上げた。

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3.水鏡と水たまり

次に狙いやすい反射は、水を使ったリフレクション。鉄道写真での名前は水鏡です。この写真が狙いやすい場所は、河原や湖などです。水が早く流れている場所には映り込みが発生しにくいです。水の流れが穏やかな場所、できる限り流れがない場所を選んで撮影しましょう。このときカメラの位置は水面に近づくほど綺麗な反射となります。カメラ液晶はバリアングル機能がついたものが便利です。当然のことですが、カメラ本体は絶対に濡らさないようにしましょう。

写真4 只見線
焦点距離:70 mm / シャッター速度:1/20秒 / 絞り数値:F2.8 / ISO感度:2500 会津川口を後にする始発列車を撮影した。線路に沿う只見川にはダムが点在している。時期によっては穏やかな流れとなり、水鏡も多く見られる。

焦点距離:70 mm / シャッター速度:1/20秒 / 絞り数値:F2.8 / ISO感度:2500 会津川口を後にする始発列車を撮影した。線路に沿う只見川にはダムが点在している。時期によっては穏やかな流れとなり、水鏡も多く見られる。

また、日本では稲作が盛んに行われています。こちらは季節限定ですが、春の水が入った田んぼでも水鏡が撮影できます。ベストな期間は水張りをして、稲が植えられるまでの間です。すっきりとした写真が撮れます。ぜひお試しください。田んぼに水を入れる順番は、その地域ごとによって様々です。年によっても違いがあるので、その地域の人たちと交流を深めて情報を集めましょう。
ただし、この時に絶対やってはいけないことは、田んぼの畔(あぜ)に入って撮影することです。畔が破壊されることは、稲作を妨害されることと同じです。春先は農家の方々も最も神経を使う季節だと聞いています。仕事の邪魔にならないよう、道の隅から撮影しましょう。

写真5 ひたちなか海浜鉄道
焦点距離:32 mm / シャッター速度:1/400秒 / 絞り数値:F6.3 / ISO感度:160 まるでウユニ塩湖のような風景が広がる、ひたちなか海浜鉄道の期間限定シーン。朝霧の雰囲気も残って、幻想的な風景となった。

焦点距離:32 mm / シャッター速度:1/400秒 / 絞り数値:F6.3 / ISO感度:160 まるでウユニ塩湖のような風景が広がる、ひたちなか海浜鉄道の期間限定シーン。朝霧の雰囲気も残って、幻想的な風景となった。

さらに上級者となると、雨でできた水溜まりにもリフレクションを見つけることができます。機会があれば、ぜひ試してみましょう。撮影のコツとしては、やはりカメラの位置は低く、水たまりに接近して広角レンズを使うことが王道です。出来る限りパンフォーカスで撮影する方が良いでしょう。小さな水たまりでも、あのウユニ湖のように写すことだって可能です。写真の力は無限大です。

写真6 日高本線
焦点距離:18 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:800 こちらはささやかな水鏡を狙った。今みると、もう少しタイミングを粘った方が良かったか。夏、北海道の午後。

焦点距離:18 mm / シャッター速度:1/1250秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:800 こちらはささやかな水鏡を狙った。今みると、もう少しタイミングを粘った方が良かったか。夏、北海道の午後。

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4.ギラリ

こちらは鉄道写真では定石を踏んだ撮影方法です。今までの撮影方法とは違い、太陽の光を直接被写体に反射させる方法です。朝や夕方などの太陽の高さが低い時間帯で撮影できる方法です。

撮影のコツは、列車が通る前に太陽の光が反射する位置を見極めることです。学校で習った「反射の法則」を思い出してください。入射角=反射角ですから、列車を挟んで太陽と同じ角度になるよう場所を決めましょう。夕陽は常に角度を変えてゆきますので、可能な限りギリギリのタイミングで見極めましょう。線路や架線をみれば、大体の雰囲気が掴めます。この撮影方法はシャッター位置が決まっているので、三脚の使用も良いでしょう。特に秋から冬にかけて撮りやすいシーズンといえます。

写真7 奥羽本線
焦点距離:78 mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:200 森や林が背景になる場所を選ぶと、このように車両だけが浮き上がる。側面の反射を生かすために、最大限手前に引きつけた一枚。

焦点距離:78 mm / シャッター速度:1/800秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:200 森や林が背景になる場所を選ぶと、このように車両だけが浮き上がる。側面の反射を生かすために、最大限手前に引きつけた一枚。

撮影場所は背景が森や林のように、暗い場所がおすすめです。両者の露出差が大きく開いているので、太陽光を受けた列車はまるで風景に浮かび上がるように表現されます。最近の列車はシルバーのステンレス製のものが多く、わずかな光でも存在感は抜群です。ローカル線の情景だけではなく、都市部を走る列車も格好の被写体です。通勤列車なども積極的に狙ってゆきましょう。ピカピカな車両がやってきたらラッキーです。念を込めて(?)撮影しましょう。

ある程度コツが掴めたところで、ローカル線にも応用してみましょう。こちらは一時間に数本もありません。気合を入れて挑みましょう。撮影がバッチリ決まった時は、えも言われぬような快感が味わえます。気に入った写真が撮れたならば、コンテストにも応募してみましょう。きっと良い結果となるはずです。

写真8 三江線
焦点距離:60 mm / シャッター速度:1/4秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:1250 反射といえば、線路に映るライトも鉄道写真らしさを代表する要素だ。列車が走らなくなると、レールは驚くほど錆びてしまう。

焦点距離:60 mm / シャッター速度:1/4秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:1250 反射といえば、線路に映るライトも鉄道写真らしさを代表する要素だ。列車が走らなくなると、レールは驚くほど錆びてしまう。

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5.リフレクションに役立つアイテム

リフレクション撮影で役立つアイテムは、ずばり可変偏光フィルターです。「可変」というところがミソです。通常、偏光フィルターといえば余計な反射を取り除くときに使うものです。「リフレクション撮影では、逆効果なのでは?」と思った方も多いと思いますが、偏光フィルターの役割を正しく理解すると納得してもらえると思います。

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普通の偏光フィルターであれば、特定の波長をカットするように設計されています。一方で可変偏光フィルターでは、特定の波長をコントロールして加減を調整できるのです。つまり可変偏光フィルターは、使い方次第で反射効果を強めることもできるのです。リフレクション撮影を極めたい方は、可変偏光フィルターを導入しましょう。ただし、偏光膜を備えたフィルターは寿命があることでも知られています。数年使ったものは効果が薄くなるため、定期的に買い換えることをお勧めします。

以上でリフレクションを利用した撮影方法の解説を終わります。

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6.次回予告

いかがでしたでしょうか。
次回は鉄道撮影におけるレンズフィルターの活用について解説したいと思います。お楽しみにしてくだい。

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遠藤真人
著者について
鉄道写真家 1989年生まれ 日本大学芸術学部卒業 日本写真学会 会員 EIZO ColorEdge Ambassador 幼少期から鉄道に魅了され、カメラマンの道を目指す。近年は撮影のみならず、カメラメーカーや鉄道会社とのタイアップ企画を行う。また、イベント・メディア出演・写真教室講師を務めるなど活動は多岐にわたる。
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