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鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真撮影講座
第15回 新幹線の撮り方

railway15

Photo : Masato Endoh


TOPIX

鉄道写真の撮り方を体系的に解説している、鉄道写真家・遠藤真人の鉄道写真講座の 15 回目は新幹線の撮り方を解説いたします。 前回まで解説をしていた「 蒸気機関車の撮り方 」と、対極に位置しておりますが、負けず劣らずの人気の被写体です。日本の鉄道技術の粋を集めて走る新幹線。その撮り方をぜひご覧ください。 by 編集部

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みなさまこんにちは!鉄道写真家の遠藤真人です。鉄道写真講座にアクセスいただき、ありがとうございます。
今回は、新幹線の撮り方について解説してゆきます。蒸気機関車に続き、新幹線もまた難しいジャンルです。コツをしっかり理解して、いい写真を撮りましょう!

Index

1.新幹線の魅力

日本が世界に誇る鉄道「 新幹線 」。世界から新幹線は最も先進的な列車として認識されています。新幹線は昭和 39 年の東京オリンピックに合わせて開業をしました。最初に開通した区間は東海道新幹線の東京 〜 新大阪間です。ひかりの一番列車は 210 キロで営業運転を果たしました。初代の車両、0系新幹線を設計した島秀雄は D51 型蒸気機関車の生みの親であることも有名です。その新幹線も時代ともに改良され、現在では320 キロで走行している区間もあります。開業から 50 年以上経った今でも、大きな事故もほとんどなく大都市間の輸送を支えています。天災が多い日本で、これだけ安定した交通を確保することは、絶え間ない努力と最新技術の結晶です。それが新幹線の魅力です。

写真1 東海道本線
焦点距離:130 mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F6.3 / ISO感度:250 東海道”新幹線”ではなく、東海道本線の走行風景。ミニ新幹線の新車は在来線を使って、神戸から秋田まで輸送された。当時のテレビ番組にも使われた一コマ。

焦点距離:130 mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F6.3 / ISO感度:250 東海道”新幹線”ではなく、東海道本線の走行風景。ミニ新幹線の新車は在来線を使って、神戸から秋田まで輸送された。当時のテレビ番組にも使われた一コマ。

新幹線は地域に合わせて、フル規格とミニ新幹線の2形態が存在しています。ミニ新幹線とよぼれているのは、秋田新幹線と山形新幹線の二つです。途中から在来線を走るため、車体が一回り小さいのが特徴です。外観のデザインも時代とともに変化し、N700 系では遺伝的アルゴリズムのシミュレーション結果を取り入れて設計されています。デザイン性が優れており、いつの時代も子どもからの人気の絶大です。憧れの的とも言える存在です。「 美しいものは速い 」と表現したくなります。

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2.撮影地の探し方

さて、ここからは撮影のハウツーに入ってゆきます。新幹線は高速走行の実現と共に、沿線への騒音対策にも力を注ぎました。特に人が多く住む地域では、線路は高い防音壁に囲まれています。つまり、このような区間で列車を綺麗に写すには、高い場所から撮影する必要があります。最初は線路を跨ぐ「 跨線橋 」や「 丘の上 」など、全体を見渡せるような撮影場所を探しましょう。特に都市部での撮影は高い場所以外は存在しないと考えても問題ありません。新幹線の沿線にある高い建物の展望台などは、撮影地とされる場所も多いのです。要チェックですね。

写真2 北陸新幹線
焦点距離:200 mm / シャッター速度:1/2000秒 / 絞り数値:F 9.0/ ISO感度:200 富山市内の山から遥か山々を望む。ここ呉羽山公園展望台も有名撮影地だ。

焦点距離:200 mm / シャッター速度:1/2000秒 / 絞り数値:F 9.0/ ISO感度:200 富山市内の山から遥か山々を望む。ここ呉羽山公園展望台も有名撮影地だ。

また、新幹線が見える場所が有名スポットにされていることも多いです。北陸新幹線の走る津幡市では、「 新幹線の見える丘公園 」と名前がついている場所もあります。よく探してみましょう。

写真3 田沢湖線
焦点距離:102 mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:320 秋田新幹線は盛岡から分岐して、田沢湖線と奥羽本線を経由して秋田にいたる。自然の中を走る新幹線も、なかなかの雰囲気だ。

焦点距離:102 mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:320 秋田新幹線は盛岡から分岐して、田沢湖線と奥羽本線を経由して秋田にいたる。自然の中を走る新幹線も、なかなか味わい深い。

都市部以外では、防音壁がない場所も多く存在します。こだわって撮影をしたい方には、都市部以外の走行区間がオススメです。東海道新幹線ならば、静岡県内には防音壁がない場所が多くあります。お馴染みの富士山バックの場所から、お茶畑に囲まれた撮影地などキャパシティも広くオススメです。東海道新幹線は走行の本数も多く、撮影を満喫したい方にはもってこいの路線です。
また、秋田新幹線の秋田 〜 盛岡、山形新幹線の新庄 〜 福島間はミニ新幹線として在来線区間を走ります。扱いは特急と同じになります。この区間は新幹線の撮影地としても人気があります。ローカル線の雰囲気を感じる情景を走ります。

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3.駅のホーム

次に撮りやすい場所は駅です。駅といえばスナップ写真向きの場所ですが、編成写真が撮れる場所も多くあります。私の場合は新幹線を利用する時は、あらかじめ乗車する新幹線よりも早い時間に駅へ行きます。それは目的の列車に乗る前に数本撮影するためです。新幹線のホームは広く設計されていることも多いので、望遠レンズを用意しておけば無理なく撮れます。往来の邪魔とならないよう気をつけましょう。

写真4 東北新幹線
焦点距離:換算1000 mm相当(トリミングあり) / シャッター速度:1/3200秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:1250 迫力のある写真は意外にも駅で撮影可能だ。那須塩原駅を通過する新幹線。時速320キロの世界だ。

焦点距離:換算1000 mm相当(トリミングあり) / シャッター速度:1/3200秒 / 絞り数値:F5.6 / ISO感度:1250 迫力のある写真は意外にも駅で撮影可能だ。那須塩原駅を通過する新幹線。時速320キロの世界だ。

またスナップ撮影でも、駅がオススメです。こちらは停まっている列車がメインターゲットとなります。新幹線のデザインに注目するもよし、駅の雰囲気を写し出すもよし。様々な角度からトライしましょう。ここで忘れてはいけないことは、近年はスナップ撮影に関してはマナーとモラルが必要だということです。写真撮影には他者への配慮が必要不可欠です。

写真5 東北新幹線
焦点距離:43 mm / シャッター速度:1/125秒 / 絞り数値:F 8.0/ ISO感度:100 東京駅に停車中の列車を撮影。直線と曲線が交差する不思議な場面を切り撮った。コンパクトデジタルカメラで撮影。

焦点距離:43 mm / シャッター速度:1/125秒 / 絞り数値:F 8.0/ ISO感度:100 東京駅に停車中の列車を撮影。直線と曲線が交差する不思議な場面を切り撮った。コンパクトデジタルカメラで撮影。

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4.新幹線の公開イベントも狙い目

ここまで説明した通り、新幹線の撮影地は制約が多く、ポジションが少ないのが現実です。唯一の救いとしては、珍しい車両や引退が近い車両が走る場合を除くと撮影地は混みません。沿線の撮影地では、定員がとても限られるポジションも多くあります。有名撮影地でありながら、一名様限定の場所もあります。よく下調べをして撮影に行きましょう。沿線撮影以外では、新幹線の車両基地の公開イベントなども絶好の機会です。定期的に開催されるイベントもあれば、数年に一回など不定期のものもあります。情報のアンテナを高く張って、参加されることをオススメします。普段は見られないようなアングルから、新幹線を眺めることができるかもしれません。

写真6浜松工場
焦点距離: 18mm / シャッター速度:1/200秒 / 絞り数値:F 5.6/ ISO感度:2500 宙を舞う新幹線。なんとも派手なイベントだった。

焦点距離: 18mm / シャッター速度:1/200秒 / 絞り数値:F 5.6/ ISO感度:2500 浜松工場で一年に一度開催されるイベント。宙を舞う新幹線。なんとも派手なシーンだった。

余談ですが、東海道新幹線の浜松工場では「 新幹線なるほど発見デー 」というイベントが開かれています。以前はこのイベントでクレーン吊りで、新幹線が宙を舞う工程が公開されていました。とても人気のあるイベントでしたが、現在は工場のロボット化が進み宙吊り作業は無くなってしまいました。新幹線が宙を舞う光景にとても感動したことを覚えています。新幹線の公開イベントも絶好の撮影機会と捉えましょう。

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5.新型車両は新しいうちに

真っ白で空気を切り裂くような列車。緑・赤・青と自然の山々と調和するカラーリングをした列車。と、新幹線は彩鮮やかなものばかりです。そんな新幹線にも、実は旬の時期があります。それは新型列車のデビュー直後です。その理由は、新幹線のカラーには汚れが目立ちやすいからです。できるだけ新幹線は綺麗なうちに撮るのがベストと言えます。もちろん鉄道車両も定期的に洗車はされてはいますが、新車には敵いません。特に屋根の部分は清掃される機会が少なく、屋根が大きく写る撮影地へは早めに行くことをオススメします。

先ほど撮影地の探し方でも書いた通り、大抵の撮影地では新幹線を見下ろすことになります。その際に汚れが目立つ可能性もあるので、要注意です。また新車以外では、定期検査直後の車両は屋根まで綺麗な状態です。写真で捉えることができればラッキーだと思いましょう。

写真7 北陸新幹線
焦点距離:82 mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F 8.0/ ISO感度:200 日本海を背にして走る新幹線。新車の美しい時期に撮るのがベストだ。

焦点距離:82 mm / シャッター速度:1/1600秒 / 絞り数値:F 8.0/ ISO感度:200 日本海を背にして走る新幹線。新車の美しい時期に撮るのがベストだ。

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6.流し撮りの動感表現もオススメ

こちらも蒸気機関車に引き続き、オススメの撮影方法です。撮影地の数が限られていたとしても、少しの空間さえあれば、流し撮りは可能です。都市部を走行する列車でも容易です。全体を見渡す場所以外でも大丈夫です。特に駅を発車した直後の新幹線は、在来線の列車に近い速度で走行するため同じような感覚で撮影が可能です。私が流し撮りの記事で写した場所は、浜松町の駅近くの有名な場所です。東海道新幹線は 16 両編成と長いです。この場所で列車の全体を入れることは不可能ですが、先頭部分のアップは撮影できます。

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7.次回予告

いかがでしたでしょうか。
以上で新幹線の基礎知識の解説を終わります。次回は撮影の実践編です。ご期待ください。

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遠藤真人
著者について
鉄道写真家 1989年生まれ 日本大学芸術学部卒業 日本写真学会 会員 EIZO ColorEdge Ambassador 幼少期から鉄道に魅了され、カメラマンの道を目指す。近年は撮影のみならず、カメラメーカーや鉄道会社とのタイアップ企画を行う。また、イベント・メディア出演・写真教室講師を務めるなど活動は多岐にわたる。
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