なんとなく予想していた読者もいると思いますが、いま取り上げた少年の写真のサンプルはいかにも「コンテンツに応じた塗り」できれいに消すことができそうな写真を例にしました。
少年の背景は山肌で暗く、幾何学的なパターンが存在しないので、塗りつぶしで人間の目を誤魔化しやすいからです。
実際のレタッチではこのように都合の良い写真ばかりではありません。
この機能に興味があって、Photoshop Elements 9 を購入しようかどうしようか迷っている読者は、どれほどこの機能が有効か知りたいところでしょう。
本当のところをいくつかやってみます。
ユーザーの実際に近いよう、家族が撮ったスナップ写真も例にしてテストしてみましょう。
まずはこの写真。
さきほどの少年のように、ダチョウの向こうにいる人をドロンと消せるでしょうか。
「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」を選択して、男性を囲みます。
ドロン!!
えっ!?
えっ、え〜っ?
男性がダチョウに!?
別の意味で魔法です。白土三平先生でいうところの変わり身の術というか…
いや、これは残念ながらコンテンツに応じませんでした。
むしろ、大きな被写体を消す方が有効なのでしょうか?
この右の馬を消してみましょう。
やはり無理がありました。
「スポット修復ブラシツール」なのに、こんなでかい馬はちっともスポットじゃないじゃないか、とツッコミが入りそうです。
少し反省して、次は消す被写体を小さくしましょう。スポットでネ。
空港の写真ですが、4人の人影(赤印)を消して、無人の空港にできるでしょうか。
よぉく見ると違和感はありますが、さすが「スポット修復ブラシツール」…スポットには効果覿面のようです。無人の空港になりました。
実際、ヒトは背景に関しては概ねで把握します。
次のような例が解りやすいのではないでしょうか。下の写真の場合、メタボなおっさんのバディはどうも気になって(不快感?)、写真のイメージを低下させていますが、おっさんが消えてしまうとスッキリします。
ヒトは気になる(特に不快な)モノが写っていると背景であっても注目してしまうものですが、そうでなければそれほど細かい点は注視しないものです。だから削除した後は多少の不自然さがあっても気がつきません。
ましてや、岩肌や海、砂、森、空のように幾何学的ではない自然の模様には違和感を感じにくいので、「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」によるスポット削除はとても手軽で有効です。
背景が岩肌のようなものだと、このくらい大きな対象(女性)でも消すことができます。
また、一度できれいに消えなかったときは(この場合、少年の腕がコピーされた)、何回かブラシでなぞることで、違和感なく消える場合もあります。
人工物の上でも少年の忍法は成功するでしょうか?
ドロン!!
ちょっと意地悪ですが、金網の向こうのオウムは消えるでしょうか?
意外とがんばりました。
このように、ユーザの意図どおりとはいきませんが、「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」をうまく使えば、役立つツールであることが解ります。
また、今回紹介した一連のサンプルを見て頂ければ、だいたいどのような理屈で背景を補間し修復しているのか、どのような場合に有効に利用できるのかが、なんとなく解ってきたのではないでしょうか。
また、ブラシのサイズやブラシの動かし方によっても違いが出るようですので、既にPhotoshop Elements 9 を持っている方は、ご自身でいろいろやってみるとコツが解るかもしれません。
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※今回のレポートはPhotoshop Elements 9 のベータ版を使用しています。
製品版の画面や性能、仕様は変更になる場合があります。
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