さて、Photoshop Elements 10 ではどのような機能が追加されたのでしょうか。
まずは整理・検索ツール「Elements Organizer」の新機能からご紹介しましょう。
■Elements Organizer の新機能
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強化された検索機能。類似するアイテム、重複する写真、オブジェクト検索が選択できます。 |
画像の整理や検索を担当する「Elements Organizer」では下記の機能が強化されています。
- 検索機能の強化
- 似ている写真をまとめて管理
- Facebook、YouTubeなどのオンラインサービスに投稿
です。
デジタルカメラの連写機能が向上し、たくさんの枚数の写真を撮るようになりました。整理するのも大変です。また、デジタルカメラにビデオ動画を録画する機能が装備され、写真だけでなく貯まる一方の動画ファイルも整理したいところです。こうしたユーザーのニーズに応えるのが「Elements Organizer」の検索に関する新機能です。
重複する写真の検索
表示されている写真の中から連写などを使用して撮られた重複する写真を自動的に判断して一覧表示します。ひとまとめで表示したい場合は「スタック」ボタンをクリックするだけでまとめたスタック表示にすることができます。スタック表示を使うと複数の写真を一覧上は束で表示することができ、連写写真やほぼ同じ写真を束にしておけばスッキリと整理できます。
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「重複する写真の検索」を実行した画面。Elements Organizerが同じような写真だと判断した写真は同行に表示します。ユーザーが「スタック」ボタンをクリックすると束にして管理できます。 |
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「スタック」ボタンをクリックして上から3行までの各写真群をスタック表示(束)したところ。「スタック解除」をクリックすれば簡単に解除できます。 |
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「スタック」機能自体は以前からある便利な機能。赤い枠がスタックしていない一般の表示画面。連写した写真が並ぶと余分なスペースをとってしまいます。 |
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「スタック」機能でまとめて表示したところ。写真の右の三角のアイコンをクリックすると全画面のように一般表示できます。(赤い枠の下の行の4枚の写真もスタック表示した状態です) |
類似する写真の検索
選択した写真を基準に、類似している写真を一覧表示します。類似している写真は類似度%が高い順に表示されます。その際、「カラー」で類似している写真を優先するか、「シェイプ」(画像内容の形状)での類似を優先するか、割合をスライダーで指定することができます。
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元になる写真をひとつ選択して「類似するアイテムの検索」を選択します。(画像拡大なし) |
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類似する写真が一覧表示されました。サムネイル(縮小画像)の左下に表示された類似度の高い順でリストされています。 |
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類似の判定の基準の割合で「シェイプ」を強くしました。画像の色合いより、画像内容のカタチで分析する度合いが高くなり、リストの順序が入れ替わりました。 |
オブジェクト検索
指定した範囲内の色形状を認識し、同じ被写体が含まれると判断した画像を表示します。
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オブジェクト検索をこのように指定したところ、ひきつった笑顔のアシカのほかの写真をみつけて表示しました。実際は同じ人物やペットの写真も自動判定する機能です。 |
FacebookやFlickrに投稿
整理した写真やレタッチした画像をPhotoshop Elements10から、FacebookやFlickrに投稿することができます。動画ファイルであればYoutubeに投稿ができます。Facebookでは友達リストを利用することもでき、タグ付けにも対応しています。
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Elements Organizerで指定した写真を一気にFacebookにアップロードして簡単に投稿できます。IDとパスワードはFacebookの連携機能に登録して記憶させておきます。 |
■Photoshop Elements 10 の新機能
Photoshop Elements 10は、Photoshop CSシリーズのようにツールバーやメニューから多彩な機能を選択し、写真を加工したりレタッチすることができるのですが、初心者ユーザーの中にはたくさんの機能がアイコン表示されたツールバーはトッツキにくいと感じる人もいます。そういったユーザーの声を踏まえてか、ここ最近のPhotoshop Elementsは「ユーザーがやりたいこと」から選択して順序よく補正や加工することができる「ガイド付き編集」機能を強化しています。
Photoshop Elements 10では前バージョンより更にガイド付き編集機能が豊富になり、より初心者が扱いやすい編集ソフトウェアになったと言えるでしょう。
特に新しく追加された機能の一部として
- オートン効果
- 被写界深度
- 写真のスタック
- スマートブラシの強化
があげられます。
オートン効果
オートン効果とはMicheal Orton氏が考案したフィルタ効果で被写体の一部から周囲をぼかし、コントラストを強めてノイズを加えることで、夢の中で見るイメージの景色のようなフンワリとした画像に仕上げるものです。
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オートン効果を使って補正した画面。人物写真だけでなく、ペット写真や風景写真などにも活用すると面白い機能です |
被写界深度
狭い範囲にピントが合って、背景が大きくボケている写真を「被写界深度が浅い」といい、逆に広範囲でピントが合っている写真を「被写界深度が深い」と呼びますが、この機能は主に被写界深度が浅い写真に加工したいときに使用します。手法は大きく分けて2通りが用意されていて、ひとつはピントが合う範囲を直線を引いて指定する方法で、線を引いた甲地点から乙地点へとグラデーションでピンボケしていきます。もうひとつはピントを合わせたい場所(被写体)を自動選択ツールで指定する方法です。
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画面右の操作ガイドから機能を選択できます。丁寧な説明も表示されているので確認しながら機能が選べます。「ピントが合う範囲を直線を引いて指定する方法」で背景や周辺をボカした画面です。 |
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もうひとつの「ピントを合わせたい場所(被写体)を自動選択ツールで指定する方法」で背景や周辺をボカした画面です。 |
写真のスタック
ここでいうスタックは複数の写真をひとまとめにするということではなく、合成することをいいます。
スマートブラシ
指定した部分だけ特定の効果を追加していける機能がスマートブラシです。スマートという名前がついている由縁は、一度指定した範囲を後から加えたり(塗りたし)、解除したりができるためです。例えば、コントラストを上げたり、モノクロにしたり、歯を白くしたり…今回新しく加わった効果には、降雪、鉛筆スケッチ、油性パステル等があります。スマートブラシに30の効果が追加され、合計100もの効果が利用できるようになりました。
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スマートブラシを使って、花瓶の花のほかをモノクロに加工した例です。 |
テキストツール
写真にただテキスト文字を載せるだけでなく、いわゆるワープ機能(アーチ)や凸凹に指定するだけでなく、様々な形状に沿って文字を表示させる…そんなニーズに応える機能「選択範囲に沿ったテキストの追加ツール」や「シェイプに沿ったテキストの追加ツール」「カスタムパスに沿ったテキストの追加ツール」です。
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シェイプに沿ったテキストの追加ツールを使って、円に沿って文字を入力した例です。 |
切り抜きガイド
気に入った写真はトリミングしてより良い構図に整えたいものです。その際、切り抜く構図決めの参考となるように三分割法や細かいマス目でグリッド線を表示したり、縦横比を黄金比率で固定して選択できる機能です。なお、黄金比最も美しいとされている比率で古くから様々な芸術家が建造物や美術品のデザインに用いてきたといわれています。
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切り抜きガイドで「三分割法」グリッドを表示したところです。点線を参考にして構図を決めて切り抜きます。 |
主な新機能をかいつまんで解説しましたが、新製品の概要はつかめたでしょうか。
機会があれば、好評連載のフォトショップエレメンツ de ゴーゴー! でも操作の詳しい解説や新機能の活用方法などを解説していきたいと思います。お楽しみに。
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※今回のレポートはPhotoshop Elements 10 のベータ版を使用しています。
製品版の画面や性能、仕様は変更になる場合があります。
ベータ版の使用、図版の使用はアドビシステムズ社の許諾を得て掲載しています。
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