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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第48回 空気の澄んだ時期と相性抜群!大阪パノラマ夜景の撮り方

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Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

前々回は気軽にお散歩感覚で楽しめる大阪の中之島の街夜景を取り上げました。今回の全国各地の夜景撮影の How to 講座は “ 大阪パノラマ夜景の撮り方 ” を取り上げました。今回は大阪パノラマ夜景スポットをご紹介いたします。それではご覧ください。 by 編集部

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11月に入ってから、東京では冬晴れになり、天気が安定してきました。今の時期は空気が澄んでいて、特に山間部や高台からのパノラマ夜景の撮影が最もおすすめ。いつもは東京の記事が中心になりますが、今回は大阪のパノラマ夜景を紹介。地元では知られた場所ばかりですが、遠方の人にも一度は見て欲しい夜景スポットをピックアップしました。

写真1 柏原市・こざみね橋からの夜景

こざみね橋

柏原市にある「こざみね橋」から月明かりと大阪平野の夜景を撮影。関東圏に比べて、平地と山間部が近く、街明かりを見渡せる夜景スポットが充実している。

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■大阪府の特徴

大阪府は神奈川県に次いで人口第3位の都市で、関西圏と関東圏で比較すると人口は2倍ほど差があるものの、平野と山間部の距離が近いこともあり、パノラマ系の夜景に関しては関東圏よりも条件に恵まれている。関西の夜景と言えば、誰もが日本三大夜景の神戸を浮かべるが、大阪にも全国屈指の夜景スポットが数多くあり、大阪市内に限らず、郊外にも夜景スポットが数多く存在する。特に地図の池田市・東大阪市(八尾市含む)・阪南市などに関西最大級の夜景スポットがあり、ドライブついでに夜景を観賞したり、撮影を楽しむことができる。

写真2 大阪の地図

大阪地図

大阪の有名な夜景スポット(特に展望ビル系)は大阪市内に集中するが、大阪府内全体で見ればパノラマ系の夜景スポットが数多く点在し、そのスケールは神戸と肩を並べるほどのエリアも。

(地図素材:CraftMap

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■大阪パノラマ夜景の撮影のポイント

大阪府内には信貴生駒系、五月山など、神戸の六甲山系と並んで、関西圏を代表するパノラマ夜景スポットがあり、撮影テクニックとしては特別難しいことはないが、撮影時期の見極めなどが重要になってくる。大阪市外は神戸のように夜景が観光地化されていないので、ある程度下調べをしてから現地に向かう必要がある。初めて撮影地に出向く場合は、できれば昼間にロケハンをしておくと良いだろう。

写真3 夜景スポットの駐車場(五月山)

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神戸の六甲山系と異なって、観光地化されていないため、鉄道やバスなど公共交通機関でのアクセスは限界がある。遠方からの訪問であれば、レンタカーを借りるのも良いだろう。

(1)秋~冬の空気が澄んだ時期を狙う

関西地方も関東と同様に秋~冬が夜景撮影のベストシーズン。関東に比べて日没が30分前後遅いため、夏場は撮影時間が非常に短くなる。また、夏に山間部を訪問すると虫除け対策などが必要になり、視界が悪い日も多いので要注意。

(2)車での移動が基本中の基本

大阪市内の展望ビルなどは電車だけで訪問できるが、山間部は最寄り駅からも相当離れており、車が無いと移動が困難。遠方から訪問する際はレンタカーを借りることになるが、宿泊施設を確保する際は、夜間でも車の出し入れが自由にできるホテルを選ぶと良いだろう。

(3)混雑を避けるなら平日の訪問がベター

大阪市内の展望ビルなどに比べれば休日でも混雑感は少ないが、五月山など人気スポットはそれなりに混雑する。撮影スポットは市街地から離れているため、平日と休日での光量差は出にくい。

(4)撮影機材は標準ズームレンズがメイン

パノラマ夜景の撮影にあたって、特別な機材は必要ないが、24-105mm前後(35mm換算)の標準ズームレンズがあると幅広いシーンで撮影できる。街の一部を切り取るなら70-300mm前後(35mm換算)の望遠ズームレンズがあると良いだろう。三脚は安定感あるものを用意したいが、撮影スポットによっては駐車場から少々歩くため、適度なバランスの三脚を用意したい。あとは、真っ暗な場所を歩くことが多いため、歩きやすい服装で懐中電灯の持参も忘れずに。

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■撮影スポット(1)五月山 秀望台

五月山ドライブウェイに併設する夜景スポットの中で、最も写真映えする展望台。街明かりがただ広がるだけでなく、高速道路や猪名川のカーブが良いアクセントになる。南西向きに視界が広がり、トワイライトタイムの夜景は特に美しい。レンズも広角から望遠まで使い分けて撮影するのも面白いだろう。展望台からは視界が狭いので、鳥居のある場所から撮影している。(地図

写真4 高速道路と街明かりを写す

五月山 秀望台

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:32mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:100 / WB:白色蛍光灯 ]
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■撮影スポット(2)五月山 五月平展望台下

五月山の中で最も人気のある夜景スポット。平日・休日問わず多くのカップルが夜景観賞を目的に集まる。秀望台と比べると、見た目は特徴が無いように見えるが、光量がとにかく多く、大パノラマに誰もが圧倒される。広角レンズで写すと空の余白が目立つため、標準レンズで街明かりを大きく入れる構図がおすすめ。駐車場から真っ暗な道を歩くので、懐中電灯を忘れずに。(地図

写真5 中国自動車道を中心に大阪平野を写す

五月平展望台下

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM / 焦点距離:50mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]
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■撮影スポット(3)阪南スカイタウン 展望緑地

泉州エリアでは最大級の夜景スポット。駐車場から15分ほど上るため、たどり着くには一苦労するが、苦労に見合うだけの夜景が見渡せる。手前には桃の木台の住宅地が広がり、遠くは大阪府内や関西国際空港が一望できる。広角~標準レンズで街全体を写すのも良いし、望遠レンズで関空や泉佐野方面を写すのも良いだろう。(地図

写真6 阪南市内の住宅地と関西国際空港を写す

阪南スカイタウン

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:CANON EF16-35mm F2.8L II USM/ 焦点距離:27mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:20秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]
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■撮影スポット(4)なるかわ園地 ぼくらの広場

関西では神戸の摩耶山と並ぶ夜景スポットで、夜景のスケールは関西最大級。目の前に大阪平野の大パノラマが広がり、あまりの迫力に誰もが圧倒される。トワイライトタイムであれば広角レンズも使えるが、真っ暗になると空の余白が目立つので、標準レンズでの撮影がメインとなってくる。国道308号線経由、もしくは信貴生駒スカイラインからアクセスする方法もあるが、真っ暗な山道を歩くため、昼間にロケハンをしておいた方が安全だ。懐中電灯もお忘れ無く。(地図

写真7 大阪平野の大パノラマを写す

なるかわ園地 ぼくらの広場

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-70mm F4L IS USM / 焦点距離:65mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]
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■撮影スポット(5)山頂展望台(十三峠駐車場)

信貴生駒スカイラインに併設された展望台で、駐車場の向かいにあるためアクセスが非常に楽。「ぼくらの広場」に比べると街明かりが少し遠く感じ、視界も木々の生長が少し気になるが、標準レンズで写すか、作例のように望遠レンズで街明かりの一部を切り抜くのも良いだろう。より迫力ある夜景を撮りたい方には「鐘の鳴る展望台」もおすすめ。(地図

写真8 明石海峡大橋・あべのハルカス方面を写す

山頂展望台

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:TAMRON SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2 / 焦点距離:182mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]
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■今月のお勧め夜景スポット「彩都なないろ公園」

2015年3月にオープンしたばかりの新しい公園。展望広場からは北摂エリアを中心とした夜景を一望でき、天気が良ければ遠くはあべのハルカスが見えるほど。彩都の街明かりも写すなら広角レンズの使用がおすすめ。19時以降は立入が規制されるので、まさに秋・冬限定の夜景スポットと言える。周囲は住宅街のため、訪問時はマナーなど配慮したい。

彩都なないろ公園
営業時間:9~19時まで
所在地:大阪府箕面市彩都粟生北2丁目3
アクセス:大阪モノレール「彩都西駅」から車で約5分(駐車場あり)
料金:無料
URL:https://www.nightview.info/yakei/detail/saitonanairo_park/

写真9 住宅街を中心とした明かりを写す

彩都なないろ公園

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:23mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F10 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。